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妊活を頑張るほど身体が緊張していませんか?ストレス・性欲と妊娠の関係

妊活を頑張るほど身体が緊張していませんか?ストレスや性欲、HPA軸・HPG軸と妊娠の関係を解説するイラスト。

妊活を頑張っているのに、なかなか思うようにいかない。

そんな方の中に、こんなことはありませんか?

  • 人に気を遣いすぎる
  • 頼まれるとなかなか断れない
  • 「ちゃんとしなきゃ」と思うことが多い
  • 人からどう思われているか気になる
  • 休んでいても何となく落ち着かない
  • 身体にいつも力が入っている
  • 排卵日が近づくと焦ってしまう

例えば美容院。

本当は何も話さず、ぼーっとしていたい。

でも沈黙になると、

「何か話した方がいいかな」
「美容師さんに悪いかな」
「気まずく思われないかな」

と気を遣って、つい話し続けてしまう。

身体は椅子に座っていても、頭の中ではずっと相手の表情や反応を気にしている。

妊活というと、年齢、子宮や卵巣、排卵、ホルモン、精子、栄養などに目が向きます。

もちろん、どれも大切です。

でも私はもう一つ、「その人が普段、どれくらい安心して生活できているのか」ということも、身体全体を見るうえで大切だと考えています。

今回は、ストレス、HPA軸、性欲、そして妊娠との関係について考えてみたいと思います。

妊活中の「ちゃんとしなきゃ」が身体を緊張させる

妊活を始めると、それまで以上に食事や睡眠、運動、冷えなど、自分の身体について考える機会が増えてきます。

身体にいいものを食べよう、できるだけ早く寝よう、身体を冷やさないようにしよう、適度に運動もしよう。さらに排卵日が近づけば、タイミングについても考えるようになります。

もちろん、どれも妊娠を望んで一生懸命だからこその行動です。

ただ、最初は身体のために始めたことでも、気がつけば「ちゃんとやらなきゃ」「失敗しないようにしなきゃ」という気持ちが強くなり、妊活そのものが新しいプレッシャーになってしまうことがあります。

特にもともと真面目で、人に気を遣い、何事もきちんとやろうとする方は、仕事や家事、人間関係でも頑張っていることが多く、そこに妊活という新しい課題が加わることになります。

身体のために頑張っているはずなのに、その頑張りによって身体がいつも緊張しているとしたら、少しもったいないですよね。

だからこそ妊活では、何をするかだけではなく、自分の身体が安心して休める時間があるかどうかにも目を向けてほしいと思います。

人に気を遣いすぎる人は、休んでいる時も休めていない?

例えば美容院に行った時、本当は何も考えずにぼーっと過ごしたいのに、沈黙になると美容師さんに悪いような気がして、自分から話題を探して話し続けてしまう方がいます。

これは美容院だけの話ではありません。

普段から相手の表情や機嫌を気にしたり、頼まれるとなかなか断れなかったり、疲れていても大丈夫なふりをしたりしていると、自分がどうしたいかよりも、相手がどう感じるかを優先することが増えていきます。

一つ一つは小さなことかもしれません。しかし、それが朝から晩まで積み重なれば、身体は休んでいるように見えても、頭の中では周囲の様子を確認し続け、どこかで緊張や警戒が抜けにくくなることがあります。

ソファで横になっているから休めている、何もしていないからリラックスできている、とは限りません。

身体を休ませることと、安心して休めることは少し違います。

妊活を考える時にも、私はこの「安心して休めているか」という視点を大切にしたいと思っています。

ストレスを感じた時に働くHPA軸

ここで知っていただきたいのが「HPA軸」です。

少し難しい言葉ですが、仕組みはそれほど難しくありません。

私たちがストレスを感じると、

視床下部
↓
下垂体
↓
副腎
↓
コルチゾール

という流れで身体がストレスに対応します。

これをHPA軸(視床下部―下垂体―副腎系)といいます。

コルチゾールは悪者ではありません。

危険やストレスに対応し、私たちの身体を守るために必要なホルモンです。

ただ、強いストレスや慢性的なストレスが長く続けば、このストレス反応が続きやすくなります。

そしてストレスに関係するHPA軸は、生殖機能を調節する仕組みとも無関係ではありません。

HPA軸と妊娠に関係するHPG軸

もう一つ知っていただきたいのが「HPG軸」です。

HPG軸(視床下部―下垂体―性腺系)は、女性では排卵や女性ホルモンなど、生殖機能を調節する重要な仕組みです。

簡単にすると、

視床下部
↓
下垂体
↓
卵巣

という連携です。

ここで興味深いのは、「ストレスに関係する仕組み」と「生殖に関係する仕組み」は、身体の中で完全に別々に働いているわけではないということです。

HPA軸とHPG軸は互いに影響し合っており、慢性的なストレスと生殖機能との関係についても研究されています。

だからといって、「ストレスがあるから妊娠できない」という単純な話ではありません。

妊娠には年齢、卵巣機能、卵管、子宮、精子、ホルモンなど、さまざまな要因が関係します。

ただ私は、「この方の身体は、普段どんな状態で生活しているのだろう?」という視点も持っていたいと思っています。

実は大切な「性欲」の話

少し書きにくいテーマですが、妊活を考えるうえで大切なので、あえて触れたいと思います。

妊活を始める前は、「触れたい」「一緒にいたい」「したい」という自然な気持ちから始まっていた夫婦の時間。

ところが妊活を続けているうちに、「今日が排卵日」「今日がタイミング」「今日しなきゃ」となることがあります。

「したい」が「しなきゃ」になっていませんか?

妊活を続けていると、二人にとって自然な時間だった性行為が、少しずつ「妊娠するための時間」に変わってしまうことがあります。排卵日を意識することはもちろん大切ですが、「今日はタイミングを取らないと」「今回を逃したくない」という気持ちが強くなるほど、本来の「したい」という気持ちよりも「しなきゃ」が前に出てしまうことがあります。

これは女性だけではなく男性も同じで、排卵日に合わせることが続けば、男性側にもプレッシャーがかかります。お互いに妊娠を望んでいるからこそ頑張っているのに、その頑張りによって二人の時間まで緊張するものになってしまうこともあるのです。

性欲は気持ちだけで起こるものではなく、その日の疲れや睡眠、ストレスなど身体の状態にも影響されます。仕事で疲れ、人間関係でも気を遣い、さらに妊活のことが頭から離れない状態が続いているのであれば、性欲だけを切り離して考えるのではなく、その人が普段どんな状態で生活しているのかまで一緒に見ていくことが大切だと思います。

妊活そのものがストレスになることもある

最初は「赤ちゃんが欲しい」という気持ちから始まった妊活。

ところが、

妊娠したい
↓
身体を整えよう
↓
食事に気をつける
↓
排卵日を調べる
↓
タイミングを取る
↓
結果を待つ
↓
生理が来る
↓
落ち込む
↓
もっと頑張らなきゃ

という循環になることがあります。

さらにインターネットには「妊娠しやすい食べ物」「妊娠した人がやっていたこと」など、たくさんの情報があります。

真面目な人ほど全部やろうとします。

しかし、「これもやらなきゃ」「これは食べちゃダメ」「早く寝なきゃ」と増えていけば、妊活そのものが新しいストレスになってしまうことがあります。

「リラックスしなきゃ」も新しいストレスになる

では、ストレスをなくせばいいのでしょうか。私は、ストレスをなくすことを目標にする必要はないと思っています。

妊活中に「ストレスはよくない」と聞くと、今度はストレスをためないように気をつけたり、できるだけリラックスしようと頑張ったりする方がいます。しかし、それでは妊活のために気をつけることが、また一つ増えてしまいます。

イライラしたり不安になったりした時に、それを悪いことのように考えてしまうと、自分を責めることにもつながります。妊活中だからといって、いつも穏やかに過ごせるわけではありませんし、仕事や人間関係で疲れる日があるのも当然です。

私は不安やパニックで悩む方にも、不安を完全になくそうとするのではなく、不安があっても大丈夫だったという経験を増やしていくことが大切だとお話ししています。ストレスについても同じで、疲れたりイライラしたりする自分を何とかしようとするより、そんな時にも少し休めたり、自分を追い込まずに過ごせたりすることの方が大切ではないかと思います。

「安心できる時間」を少し増やしてみる

妊活中は身体のために何かを増やすことばかり考えがちですが、反対に、頑張ることを少し減らしてみるのも一つの方法です。

例えば美容院で、本当はぼーっとしていたいのに相手に気を遣って話していることに気づいたら、その日は無理に会話を続けず静かに過ごしてみる。疲れている日は家事を一つやめてもいいですし、気が進まないことを断ったり、誰かに頼ったりしてもいいと思います。

こうした小さな選択は、自分の気持ちや身体を優先する練習にもなります。普段から周囲に気を遣うことが多い方ほど、自分で休むことを選んだり、やらないことを決めたりする経験は大切です。

また、安心は気持ちだけで感じるものではありません。布団に横になった時に背中が支えられている感覚や、手の温かさ、床に触れている足の感覚など、身体の中にも安心できる場所があります。無理に全身をリラックスさせようとせず、まずは自分が少し楽だと感じるところに目を向けてみてください。

いきなり緊張をなくそうとする必要はありません。安心できる感覚が少しでも見つかれば、それを日常の中で少しずつ増やしていく。私はそのくらいから始めてもいいと思っています。

まとめ

妊活では、年齢、子宮や卵巣、排卵、ホルモン、精子、栄養など、確認しておきたいことがたくさんあります。

そして私はそこに、

  • ストレス
  • 性欲
  • 夫婦関係
  • 「~しなきゃ」という考え方
  • 身体の緊張
  • 安心できる時間

という視点も加えていいのではないかと思っています。

「ストレスがあるから妊娠できない」という話ではありません。

「もっとリラックスすれば妊娠できる」という話でもありません。

「休んでもいい」「黙っていてもいい」「断ってもいい」「今日はできなくてもいい」妊活のためだけではなく、その人自身が少し楽に生活するために。

そんな小さな安心を身体に増やしていくことも、妊活中の身体を考える大切な一つの視点だと思っています。

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よくある質問

Q
ストレスが強いと妊娠できないのでしょうか?
A

ストレスがあるから妊娠できない、という単純な関係ではありません。ただ、ストレス反応に関係するHPA軸と、生殖機能に関係するHPG軸は互いに影響し合っています。妊活では子宮や卵巣だけでなく、普段のストレスや生活の状態にも目を向けてみてください。

Q
妊活中はストレスをなくした方がいいですか?
A

ストレスをなくそうと頑張りすぎると、今度はリラックスすることまで新しい課題になってしまいます。疲れたりイライラしたりする日があっても構いません。ストレスをゼロにするより、安心して過ごせる時間を少しずつ増やしていくことを大切にしてください。

Q
ストレスで性欲が落ちることはありますか?
A

慢性的なストレスや疲労、睡眠不足、心理的なプレッシャーは、性欲や性的反応とも関係します。性欲だけを切り離して考えるのではなく、仕事や人間関係で疲れていないか、眠れているか、妊活そのものが負担になっていないかなど、生活全体を見ることが大切です。

Q
排卵日の性行為がプレッシャーになっています。どう考えればいいですか?
A

妊活が続くと、二人の自然な時間だった性行為が、妊娠するための予定のようになってしまうことがあります。これは女性だけでなく男性にとってもプレッシャーになります。お互いが今どんな気持ちなのかを話せる時間も大切にしてみてください。

Q
自律神経を整えれば妊娠しやすくなりますか?
A

自律神経を整えれば妊娠できる、という単純なものではありません。ただ、睡眠や食事、運動、ストレス、身体の緊張などを見直し、安心して過ごせる時間を増やしていくことは、妊活に限らず身体全体の健康を考えるうえで大切だと思います。

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参考文献

  • 『ストレスと生殖機能の関係』:Whirledge S、Cidlowski JA
  • 『HPA軸とHPG軸の相互作用』:Acevedo-Rodriguez A ほか
  • 『慢性的なストレスと女性の性機能』:Hamilton LD、Meston CM
  • 『ストレスと生殖軸の関係』:Toufexis D ほか