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学校には行けないのに部活には行けるのはなぜ?不登校の心理と親の対応

学校に行けず悩む女子高生と、バスケットボール部で楽しそうに活動する女子高生のイラスト。学校には行けないのに部活には行ける理由と不登校の心理を解説。

「学校には行けないのに、部活には行けるの?」

「昨日は学校に行けたのに、今日はまた休んでいる」

「夜中までゲームをしているから、朝起きられないんじゃないの?」

お子さんの様子を見て、こんなふうに悩んだことはありませんか?

学校を休んでいるのに、部活動には楽しそうに参加している。

そんな姿を見ると、親としては安心する気持ちもあれば、「本当は学校に行けるのでは?」と複雑な気持ちになるかもしれません。

実は、学校に行けないことと、好きなことができることは、必ずしも矛盾しないのです。

今回は、実際に当院でご相談を受けた学生さんのケースも交えながら、学校には行けないのに部活には行ける理由、起立性調節障害や予期不安との関係、そして親御さんに大切にしてほしいことをお伝えします。

こんなお悩みはありませんか?

  • 学校には行けないのに、部活には行きたがる
  • 朝になると頭痛やめまい、だるさを訴える
  • 学校へ行ける日と行けない日の差が大きい
  • 昼夜逆転して、夜中までゲームをしている
  • いじめはないのに、学校へ行きたがらない
  • 「また学校で具合が悪くなるかも」と不安が強い
  • 子どもの将来が心配で、親自身も疲れ切っている

ひとつでも当てはまるなら、今回の記事が何かのヒントになるかもしれません。

不登校全般の原因や親御さんの接し方については、こちらの記事でも詳しくお伝えしています。

▶ 不登校・ひきこもりで悩む子どもと親御さんへ

部活に行けるからといって、学校をサボっているとは限らない

最初にお伝えしたいことがあります。

それは、部活に行けることと、授業を受けられることは、まったく同じではないということです。

例えば、大人でもこんなことはありませんか?

「仕事に行くのはしんどい。でも、好きな友達と会うのは楽しい」

「会社の会議は緊張する。でも、趣味の集まりなら元気になれる」

これを聞いて、「それはおかしい!」と思うでしょうか。

おそらく、そんなことはありませんよね。

人間は、どんな場所でも同じように元気でいられるわけではありません。

学校の授業では強い緊張を感じても、好きなスポーツをしている時間には気持ちが楽になることがあります。

もちろん、部活に参加できるからといって、身体の不調がなくなったわけでもありません。

「部活には行けるんだから、授業にも行けるはず」

そう考える前に、なぜその違いが生まれているのかを一緒に考えてみましょう。

なぜ学校には行けないのに、部活には行けるのか?

1.教室と部活動では、求められることが違う

教室では、長時間座って授業を受け、先生の話を聞き、勉強についていかなければなりません。

テストの点数や成績も気になります。

一方、部活動では身体を動かしたり、仲間と声を掛け合ったり、好きなことに集中できたりします。

同じ学校の中でも、過ごし方はずいぶん違います。

特に勉強への苦手意識が強くなっている子どもにとって、教室は自分の苦手なことを意識しやすい場所になっているかもしれません。

でも、部活では自分の得意なことを発揮できる。

そんな違いがあるのです。

2.好きなことをしている時間は、気持ちが動きやすい

やる気がなくなっているように見える子どもでも、好きなことには興味を示す場合があります。

これは大人でも同じです。

疲れて何もしたくない日でも、好きな音楽を聴いたり、趣味のことを考えたりすると、少し元気になることがありますよね。

部活が、その子にとって数少ない楽しみや安心できる時間になっている可能性もあります。

だからこそ、部活に行けていることを、すぐに否定する必要はないと思います。

3.身体の調子がよい時間帯がある

起立性調節障害のある子どもでは、朝の起床時に強いだるさやめまい、頭痛などが出やすく、午後になると比較的動けることがあります。

すると、朝から始まる授業には参加できなくても、放課後の部活動には行ける場合があります。

これは気合いや根性だけで説明できることではありません。

身体の状態や活動する時間帯の違いにも目を向ける必要があります。

4.一度つらい経験をした場所が怖くなる

もうひとつ、見逃したくないのが「予期不安」です。

例えば、学校で一度めまいが起きて倒れた経験があるとします。

すると、次に学校へ行こうとしたとき、「また倒れたらどうしよう」「授業中に気分が悪くなったら?」そんな不安が浮かぶことがあります。

不安が強くなると、身体も緊張し、動悸や吐き気、腹痛などが出ることもあります。

つまり、学校に行こうとすること自体が、身体にとって大きな負担になっている場合があるのです。

学校で一度倒れた経験が、登校への恐怖につながることも

ここで、少し身近な例を考えてみましょう。

以前、電車の中で突然気分が悪くなった人がいたとします。

その人は、体調が回復した後も、電車に乗ろうとすると緊張するようになりました。

なぜでしょうか?

電車そのものが危険だからではありません。

「また、あのときのようになったらどうしよう」という記憶が、不安を呼び起こすからです。

学校でも似たことが起こる場合があります。

一度倒れた経験があると、教室や登校という場面に不安が結びつくことがあります。

そして、学校に行こうとすると緊張する。

緊張すると身体の不調を感じる。

身体の不調を感じると、さらに学校が怖くなる。

このような悪循環が生まれることもあります。

ただし、めまいや失神には身体的な原因がある場合もあります。特に繰り返し倒れる場合は、小児科や医療機関で身体の状態を確認することが大切です。

思春期のめまいについては、こちらでも詳しく解説しています。

▶ 思春期のめまいと自律神経の関係

昼夜逆転とゲームへの没頭は、原因?それとも結果?

不登校のご相談で、よく耳にするのが生活リズムの問題です。

「夜中までゲームをしているんです」「朝になっても起きてきません」「ゲームを取り上げた方がいいでしょうか?」親御さんとしては、心配になりますよね。

でも、ここで考えてみてほしいことがあります。

ゲームをしているから学校に行けなくなったのでしょうか。

それとも、学校に行けなくなったことで、ゲームをする時間が増えたのでしょうか。

実は、どちらの影響も考えられます。

学校へ行けなくなると、友達と会う機会が減ったり、自信を失ったりすることがあります。

そんなとき、ゲームの世界では友達とつながれたり、目標を達成できたりする。

現実ではうまくいかないことが多くても、ゲームの中では自分の居場所を感じられる場合があるのです。

一方で、夜遅くまでゲームを続けると、睡眠時間がずれ、朝の体調がさらに悪くなることもあります。

つまり、原因と結果が絡み合っている可能性があります。

「ゲームをやめなさい!」と叱るだけでは、子どもがゲームに求めているものまで見えなくなってしまうかもしれません。

まずは、睡眠時間だけでなく、日中の過ごし方や気持ちの状態にも目を向けてみてください。

当院で経験した、部活には行けるのに授業には行けなかった高校生のケース

以前、当院に学校へ行けなくなった女子高校生のご相談がありました。

その方はバスケットボール部に所属していました。

ところが、授業にはなかなか参加できません。

学校に行ける日もありましたが、数日すると再びつらくなり、登校できなくなることを繰り返していました。

いじめがあったわけではありません。

ただ、学力が低下しており、学校で一度めまいのような症状で倒れた経験もありました。

その出来事が、学校に対する恐怖につながっていたように感じられました。

起立性調節障害の症状も強く、昼夜逆転がひどい状態でした。

夜中までゲームをしていることもありました。

一方で、バスケットボール部には参加できることがありました。

「学校には行けないのに、部活には行ける」周囲から見ると、不思議に思えるかもしれません。

しかし、私が接していて印象に残ったのは、決して自分のことしか考えていない子ではなかったということです。

自分自身もつらい状況なのに、家族のことを気遣う優しさがありました。

特に、日常生活で支援が必要なきょうだいのことを、よく気にかけていたのです。

その姿を見て、私は「この子は何も考えていないわけではないんだな」と感じました。

むしろ、自分のことで精いっぱいのはずなのに、周囲にも気を配っていたのです。

子どもの不登校を心配するお母さんも、疲れ切っていませんか?

このケースで、私がもうひとつ気になったのは、お母さんの状態でした。

学校に行けないお子さんのことが心配。

さらに、下の弟さんには自閉症があり、日常生活でもさまざまな対応が必要でした。

お母さんは、家族のことをいつも考え、気を張っているように感じられました。

子どもが学校へ行けなくなると、親御さんはどうしても子どものことばかり考えてしまいます。

「明日は学校へ行けるかな」「このままで将来は大丈夫かな」「私の育て方が悪かったのかな」そんな思いが、頭から離れなくなることもあるでしょう。

お母さんだって、ひとりの人間です。心配することにも、体力が必要なんです。スマートフォンだって、充電がなくなれば動かなくなります。

ところが、お母さんは充電が残りわずかでも、家族のために動き続けてしまう。

それでは、いつか疲れ切ってしまいますよね。

私が、お母さんの施術に力を入れた理由

このケースでは、お子さんへの施術で劇的な改善がみられたわけではありませんでした。

それでも、私はご家族との関わりの中で、お母さんの心身の負担がとても気になっていました。

そこで、お母さんご自身の身体を整えることにも力を入れました。

そして、こんなことをお伝えしていました。

「お母さんも、好きなことをしてくださいね」

子どものことが心配だからといって、自分の楽しみをすべて我慢する必要はありません。

好きな音楽を聴く。

友達とお茶をする。

行きたかった場所へ出かける。

ほんの少しでも、自分のために時間を使ってほしかったのです。

これは、お母さんが元気になれば子どもが必ず学校へ行ける、という話ではありません。

子どもを支えている人自身にも、安心できる時間が必要だということです。

私は、子どものことだけでなく、その子を支える家族の心と身体も大切にしたいと考えています。

学校に戻ることだけが、ゴールではない

その学生さんは、最終的に全日制高校を離れ、通信制高校へ移りました。

その子にとって必要だったのは、元の学校に戻ることだけではなく、自分に合った環境を見つけることだったのかもしれません。

しかし、その後の生活には変化がありました。

現在は喫茶店でアルバイトをしていて、機嫌よく通っているそうです。

このお話を聞いて、私はうれしく思いました。

もちろん、通信制高校へ移れば誰でも元気になるということではありません。

ただ、その子に合う環境が、最初に通っていた学校とは違う場所にあることもあります。

学校へ行けなかった時期があったとしても、その子の人生がそこで終わるわけではありません。

人生には、いろいろな道があります。

大きな道路が渋滞していたら、別の道を選ぶこともありますよね。

少し遠回りに見えても、その道の方が気持ちよく進めることだってあります。

大切なのは、周囲と同じ道を歩くことではなく、その子自身が少しずつ前へ進めることではないでしょうか。

親ができる5つの関わり方

1.部活に行けることを責めない

「部活には行けるのに、どうして授業には行けないの?」

そう聞きたくなる気持ちは分かります。

でも、部活がその子にとって大切な居場所になっている可能性もあります。

まずは、部活に行けていることを、その子の「できていること」として見てあげてください。

部活への参加方法については、本人の体調や学校の方針も踏まえて相談していくとよいでしょう。

2.登校できた日だけを評価しない

学校へ行けた日は褒める。

学校へ行けなかった日はがっかりする。

そんな反応が続くと、子どもは「学校に行けない自分には価値がない」と感じてしまうことがあります。

学校に行けなかった日にも、できたことはあるかもしれません。

朝ごはんを食べた。

家族と話をした。

少し外へ出られた。

小さなことでも、生活の中にある前向きな変化に目を向けてみてください。

3.睡眠と生活リズムを一緒に見直す

昼夜逆転が続くと、朝の活動がさらに難しくなることがあります。

ただし、起立性調節障害がある場合は、単に早寝早起きを命じるだけではうまくいかないこともあります。

まずは現在の睡眠時間や起床時の体調を確認しましょう。

朝に光を浴びる、食事の時間をある程度そろえる、夜のゲーム時間を少しずつ見直すなど、取り組めることから始めるのがおすすめです。

4.学校と相談して、参加できる方法を探す

授業には参加できなくても、部活動や別室での活動なら参加できる場合があります。

学校側と相談しながら、本人が無理なく関われる方法を探してみましょう。

「毎日すべての授業に出る」か「まったく学校へ行かない」か。

必ずしも、その二択だけではありません。

5.親自身も好きなことをする

これは、私が特にお伝えしたいことです。

子どものことが心配なときほど、親御さん自身の生活が後回しになりがちです。

でも、お母さんやお父さんにも、休む時間や楽しむ時間が必要です。

子どものために何かをすることだけが、子どもを支える方法ではありません。

親御さん自身が、自分の人生を大切にすることも忘れないでほしいのです。

おおくま整骨院で大切にしていること

私はこれまで25年以上、身体の不調だけでなく、不安や緊張、生活習慣など、さまざまなお悩みを抱えた方と向き合ってきました。

不登校のお子さんのご相談でも、単に「学校へ行けるようにする」ということだけを目標にはしていません。

  • 身体の緊張はどうか
  • 睡眠は取れているか
  • 朝のめまいやだるさはどうか
  • 学校で何か怖い経験はなかったか
  • 家庭ではどんな気持ちで過ごしているか
  • そして、親御さん自身は疲れ切っていないか

そうしたことを丁寧に伺いながら、身体と心の両面から考えるようにしています。

当院では、強い刺激を加えず、身体の緊張をやわらげるような施術を大切にしています。

また、睡眠、栄養、生活リズム、心理面についても、一緒に考えていきます。

子どもが学校に行けないとき、親御さんは「何とかしなければ」と頑張りすぎてしまうことがあります。

でも、親御さんがすべてを背負う必要はありません。

ご家族の中で誰かひとりが頑張り続けるのではなく、それぞれが少しでも安心して過ごせることを大切にしたいと思っています。

よくある質問(FAQ)

Q
学校には行けないのに部活に行くのは甘えですか?
A

部活に行けることだけで、甘えとは判断できません。教室と部活動では、求められることや感じる緊張が違います。例えば、勉強への不安が強くても、好きなスポーツをしている時間には気持ちが楽になることがあります。また、起立性調節障害などで朝の体調が悪く、午後には動ける場合もあります。「部活には行けるんだから学校にも行けるはず」と決めつけず、本人がどんな場面でつらくなるのかを一緒に考えることが大切です。

Q
不登校でも部活だけ参加させてよいのでしょうか?
A

部活動が本人にとって大切な居場所になっていることもあります。仲間と会い、好きなことに取り組む時間が、気持ちの支えになる場合もあるでしょう。一方で、部活動への参加方法は学校の方針や本人の体調によって異なります。担任や顧問と相談しながら、無理のない方法を考えてみてください。部活に参加できたことを責めるのではなく、本人にとってどのような意味がある時間なのかを知ることも大切です。

Q
昼夜逆転してゲームばかりしています。どうすればよいですか?
A

ゲームの時間だけを問題にするのではなく、睡眠や日中の過ごし方、本人の気持ちにも目を向けてみましょう。学校に行けなくなったことで、ゲームが友達とのつながりや安心できる場所になっている場合もあります。ただし、夜更かしが続けば、朝の体調に影響することもあります。急にすべてを禁止するより、まずは現在の生活リズムを把握し、食事や起床時間など、できることから少しずつ整えていくことが大切です。

Q
起立性調節障害があると学校に行けなくなりますか?
A

起立性調節障害では、朝のだるさ、めまい、頭痛、立ちくらみなどによって登校が難しくなる場合があります。午後になると比較的元気になることもあるため、周囲からは「朝だけ怠けている」と誤解されることもあります。しかし、本人にとってはつらい身体症状です。症状が続く場合は医療機関で相談し、学校とも体調に合わせた対応を考えてみましょう。無理に登校させることだけを目標にせず、身体の状態を理解することが大切です。

Q
通信制高校に転学することは逃げなのでしょうか?
A

通信制高校への転学は、逃げと決めつける必要はありません。全日制高校の生活が合わなくても、学び方や生活環境を変えることで、自分のペースを取り戻せる方もいます。今回ご紹介した学生さんも、通信制高校へ移った後、アルバイトに通うようになりました。学校に戻ることだけが、人生のゴールではありません。大切なのは、周囲と同じ道を選ぶことではなく、本人の体調や希望に合った進路を一緒に考えていくことだと思います。

まとめ

学校には行けないのに、部活には行ける。

その姿だけを見ると、親御さんは戸惑うかもしれません。

でも、その背景には、身体の不調、学校での怖い経験、学力への不安、生活リズムの乱れなど、いくつもの事情が重なっている場合があります。

今回ご紹介した学生さんも、学校に行けない時期がありました。

施術で劇的に改善したわけではありませんでしたが、その後、学ぶ環境を変え、今ではアルバイトにも通っています。

私は、子どもが学校に行けるようになることだけが、すべてではないと思っています。

そして、子どもを支えている親御さんにも、自分の時間を大切にしてほしいのです。

子どもが笑顔になることも大切。

でも、お母さんやお父さんが笑顔になることだって、同じくらい大切です。

「子どものことが心配で、自分のことは後回しになっている」

そんな方は、まずご自身の身体にも目を向けてみてくださいね。

おおくま整骨院では、お子さんの身体の不調や不安だけでなく、子育てに疲れた親御さんからのご相談もお受けしています。

ひとりで抱え込まず、どうぞお気軽にご相談ください。

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参考文献

  • 『改訂 起立性調節障害の子どもの正しい理解と対応』田中英高/中央法規出版/2017年
  • 『不登校は1日3分の働きかけで99%解決する』森田直樹/リーブル出版/2011年
  • 『僕の児童精神科外来の覚書』田中康雄/日本評論社/2022年
  • 『スマホ脳』アンデシュ・ハンセン/新潮社/2020年
  • 『完全版 不安のメカニズム』クレア・ウィークス/筑摩書房/2016年