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うつ病の種類と特徴|双極Ⅰ型・Ⅱ型、軽躁、季節性、産後うつの違いと対策

うつ病の種類と特徴|双極性障害・軽躁・季節性うつ・産後うつなどを解説するイラスト

「最近ずっと気分が落ち込んでいる」
「何をしても楽しくない」
「以前はすごく元気だったのに、急に動けなくなった」

このような状態が続くと、「うつ病なのかな?」と不安になる方もいらっしゃると思います。

しかし、ひとことで「うつ」といっても、その経過や特徴は同じではありません。

特に大切なのが、「落ち込んでいる時」だけでなく「妙に元気だった時期がなかったか」という視点です。

うつ状態を繰り返しているように見えても、過去に「躁状態」や「軽躁状態」があれば、双極性障害が関係している可能性があります。

この記事では、

  • 一般的なうつ病
  • 双極Ⅰ型
  • 双極Ⅱ型
  • 軽躁状態
  • 持続性抑うつ
  • 季節性
  • 周産期・産後
  • 混合性の特徴

などについて、具体例を交えながら分かりやすく解説します。

状態わかりやすい特徴
一般的なうつ病落ち込み・楽しめない・やる気が出ない
双極Ⅰ型強い「躁状態」がある
双極Ⅱ型「軽躁」+強いうつ状態
持続性抑うつ長期間ずっと元気が出にくい
季節性毎年同じ季節に悪化しやすい
周産期・産後うつ妊娠中〜産後に抑うつや強い不安
混合性の特徴落ち込んでいるのに頭や身体は興奮
メランコリアの特徴楽しめない・朝つらい・早朝覚醒など
非定型の特徴過眠・過食・気分反応性など

※「季節性」「混合性」「メランコリア」などは、すべてが独立した別の病気という意味ではなく、うつ状態にみられる特徴を表すものもあります。

「うつ」は全部同じではありません

「うつ」という言葉は日常でもよく使われますが、医学的にはさまざまな状態があります。

ここで注意したいのは、「季節性」「混合性」「メランコリア」など、すべてが別々の病気の名前というわけではないことです。

病気そのものの分類だけでなく、「どのような特徴を伴っているのか」を表すものもあります。

一般的なうつ病では「気分」と「活動性」が下がる

うつ病では、単に「悲しい」というだけではありません。

代表的には、

  • 気分が落ち込む
  • これまで楽しめていたことを楽しめない
  • 疲れやすい
  • やる気が出ない
  • 集中できない
  • 眠れない、または眠りすぎる
  • 食欲が落ちる、または増える
  • 自分を責める

などがみられることがあります。

具体例

以前は休日になると友人と出かけていたAさん。

ところが最近は、

「着替えるのもしんどい」
「何をしても楽しくない」
「朝起きることがとてもつらい」

と感じるようになりました。

仕事から帰ると横になったままで、好きだったテレビを見る気力もありません。

当院に来られていた方では、とても好きだったアイドルグループへの興味が急に薄れ、以前は楽しみにしていたコンサートに行くことさえ億劫になった方がおられました。その後、強い気分の落ち込みもみられるようになりました。このように「これまで楽しめていたことに興味がわかなくなる」という変化も、一つのサインになることがあります。

双極性障害とは「上がる時期」と「下がる時期」がある状態

双極性障害では、躁状態・軽躁状態という「上がる時期」と、うつ状態という「下がる時期」がみられます。

単なる「気分屋」という意味ではありません。

気分だけでなく、

  • 睡眠
  • 活動量
  • 話す量
  • 考えるスピード
  • 自信
  • 行動

などが、普段の本人とは明らかに変わることがあります。

双極Ⅰ型とは?

双極Ⅰ型では、明確な「躁状態」がみられます。

躁状態では、

  • 睡眠が少なくても平気
  • 異常に活動的になる
  • 話し続ける
  • 考えが次々浮かぶ
  • 自信が非常に強くなる
  • 高額な買い物をする
  • 普段ならしない危険な行動をする

などが現れることがあります。

双極Ⅰ型の躁状態とうつ状態の特徴をわかりやすくまとめたイラスト

双極Ⅰ型は躁エピソードが特徴で、症状が非常に強い場合には入院が必要になることもあるといわれています。

具体例

普段は7時間ほど眠るBさん。

ところが、ある時期から毎日3時間程度しか寝ていないにもかかわらず、「全然眠くない!」「新しい事業を3つ同時に始めよう!」と急に活動的になりました。

しゃべるスピードも速くなり、高額な買い物も増えました。

ところが、その後、「何もしたくない」「仕事に行けない」という強いうつ状態になりました。

当院でも似た経過の方がおられ、身体面や生活面のサポートを行いました。

双極Ⅱ型とは?

双極Ⅱ型では、軽躁状態+うつ状態という経過がみられます。

軽躁は躁状態ほど強くないため、本人も周囲も見逃しやすいのが特徴です。

軽躁の具体例

普段より、

  • 予定をたくさん入れる
  • LINEやSNSへの投稿が増える
  • 急に仕事がはかどる
  • 話す量が増える
  • 睡眠時間が短くなる
  • 自信が強くなる

といった変化が現れます。

本人は、「やっとうつが治った!」「最近すごく調子がいい!」と感じることもあります。

双極Ⅱ型の軽躁とうつ状態の特徴をわかりやすくまとめたイラスト

軽躁状態では本人が非常に調子よく、「なんか動けるやん」と感じ、問題に気づかない場合があるのが特徴です。そしてうつ状態が重症になることも多いといわれています。

双極Ⅰ型とⅡ型の違い

双極Ⅰ型双極Ⅱ型
上がる状態躁状態軽躁状態
程度強い躁より軽い
日常生活への影響大きくなることがある一見普通に生活できることも
本人の自覚病識が低下する場合も「好調」と感じやすい
うつ状態起こることがある重要な問題になりやすい

ここで注意していただきたいのは、「Ⅱ型=Ⅰ型より軽い病気」ではないということです。

Ⅱ型では躁状態が軽い一方、うつ状態による負担が大きくなる人もいます。

「軽い躁状態=軽躁」とは?

軽躁は、「明るい性格になった」「仕事ができるようになった」というだけではありません。

ポイントは、「普段のその人と比べて明らかに変わっているか」です。

たとえば、

  • 普段7時間寝ていた人が4時間睡眠でも元気
  • 普段はあまりSNSをしない人が、一日中投稿している
  • 普段慎重な人が、予定を何個も入れる
  • 普段あまり買い物をしない人が、急にたくさん購入する

こういった変化がまとまって現れる場合があります。

また軽躁や躁状態は、いつも「楽しくハイテンション」になるとは限りません。

非常にイライラしたり、怒りっぽくなったりすることもあります。

うつなのに頭が止まらない「混合性」の特徴

うつなのに頭が止まらない混合性の特徴を説明したイラスト

「身体はしんどい」「気持ちも落ち込んでいる」それなのに、「頭の中だけグルグルする」「じっとしていられない」「焦る」「イライラする」という状態があります。

うつ症状と躁的な症状が同時にみられる場合があり、「混合性の特徴」として評価されることがあります。双極性障害でも、躁症状と抑うつ症状が混在することがあります。

落ち込みと興奮が同時に出ることもある、と知っておくことが大切です。

持続性抑うつとは?

長期間気分の落ち込みが続く持続性抑うつの特徴を説明したイラスト

激しい落ち込みではなくても、

「何年もずっと元気が出ない」
「楽しいと感じにくい」
「ずっと自信がない」

といった状態が長期間続く場合があります。

長く続いていると、「これは自分の性格だから」と思ってしまう方もいます。

しかし、長期的な抑うつ状態が関係している場合もあります。

性格だけの問題と決めつけないことが大切です。

季節性うつ(季節性パターン)とは?

秋冬に気分が落ち込みやすい季節性うつの特徴と対策のイラスト

毎年、「秋から冬になると気分が落ち込む」「冬になると朝起きられなくなる」といったように、特定の季節と関連して繰り返すパターンもあります。

季節性のうつでは、日照時間の変化や睡眠・生活リズムとの関係が指摘されています。

「冬だから誰でも元気がなくなる」と決めつけないようにしましょう。

妊娠中・産後のうつにも注意

産後うつの特徴と日常生活でできる対策をまとめたイラスト

妊娠中や産後は、

  • 睡眠不足
  • 身体的疲労
  • 育児負担
  • 生活環境の変化
  • ホルモンの大きな変化

など、さまざまな変化が重なります。

「産後だから疲れて当たり前」と我慢し続けてしまう方もいます。

しかし、

  • 気持ちの落ち込みが続く
  • 何をしても楽しめない
  • 強い不安がある
  • 眠れる状況なのに眠れない

産後に「ほとんど眠らない」「急に活動的になる」「考えや行動が大きく変わる」など、普段とは大きく違う変化がみられることもあります。こうした変化にも注意しておきましょう。

メランコリアの特徴とは?

うつ状態の中には、メランコリアの特徴がみられることがあります。

代表的には、

  • 好きだったことを楽しめない
  • 良いことがあっても気分が変わりにくい
  • 朝につらさが強い
  • 早朝に目が覚める
  • 食欲が落ちる
  • 自分を強く責める

といった特徴があります。

「朝が特につらい」「何をしても楽しめない」という方は、このような特徴が関係していることもあります。

メランコリアは、うつ病の中で『喜びを感じにくい』『朝につらい』などが目立つ特徴です。

比較一般的なうつ状態メランコリアの特徴
気分落ち込む強く落ち込む
楽しさ少し感じられることもあるほとんど楽しめない
良いことがあった時少し気分が上がることもあまり気分が変わらない
つらいこともある朝に特につらいことが多い
睡眠不眠・過眠どちらも早朝に目が覚めやすい
食欲増える・減る両方食欲低下が多い

たとえば、

一般的なうつ
→「しんどいけど、孫に会うと少し嬉しい」

メランコリア
→「孫に会っても、好きなことをしても、ほとんど嬉しいと感じられない」

この違いです。

メランコリア=うつ病の中でも「喜びを感じにくい」「朝につらい」特徴が強いタイプ

非定型の特徴とは?

良いことがあると一時的に気分が軽くなる一方、眠りすぎる、食欲が増える、身体が重く感じる、人間関係で傷つきやすいなどの特徴がみられることがあります。
「楽しいことなら楽しめる=元気」という単純なものではなく、うつ状態にもさまざまな現れ方があります。

「新型うつ病」は正式な診断名なの?

テレビやインターネットで「新型うつ」という言葉を聞くことがあります。

しかし「新型うつ病」は、正式な医学的診断名ではありません。

「仕事中はつらいけれど休日には遊べる」というだけで、「新型うつだ」「甘えている」と判断することはできません。

症状だけでなく、これまでの経過や生活への影響を総合的に評価する必要があります。

うつ状態の人に「過去の元気な時期」を聞く理由

うつ状態で相談に来られた方に、「今どれくらい辛いですか?」と聞くのはもちろん重要です。

しかし、それと同じくらい、「これまで妙に元気だった時期はありませんでしたか?」という質問も重要です。

たとえば、「寝なくても全然平気だった」「急に仕事をたくさん始めた」「しゃべり続けていた」「買い物が急に増えた」「予定を詰め込んでいた」といった時期がなかったか。

現在の症状だけでなく、これまでの経過を伝えることが、双極性障害などを評価する手掛かりになります。

うつ病の対策は?

うつ病では症状の程度や背景によって治療法が異なります。

日本うつ病学会「うつ病診療ガイドライン2025」では、軽度うつ病について、

  • 支持的な傾聴
  • 生活における負担の軽減
  • 心理教育

などの基礎的介入を行い、必要に応じて認知行動療法、指導下での運動療法、抗うつ薬などが治療選択肢になるとしています。

「薬だけ」「休むだけ」「運動だけ」という単純なものではなく、その方の状態に応じて組み合わせます。

当院では、うつ病そのものを治療するのではなく、身体の緊張や呼吸のしやすさ、睡眠、運動、食事、生活リズムなどを一緒に確認しながら、心身への負担を減らすためのサポートを行っています。

「身体がしんどくて動けない」「眠りが浅い」「食生活が乱れている」など、その方によって抱えている問題は異なります。無理に頑張るのではなく、まずは身体と生活の土台を一つずつ整えていくことを大切にしています。

うつ病の予防・再発予防で大切な5つのこと

「これをすれば絶対にうつ病を予防できる」という方法はありません。

そのため「予防」というより、心身の負担を減らし、悪化や再発のリスクを下げる土台作りと考える方が適切です。

① 睡眠を整える

毎日の睡眠時間だけでなく、起きる時間が大きく乱れないようにします。

特に双極性障害では、睡眠や生活リズムの変化が重要です。

② 生活のリズムを大きく崩さない

食事、仕事、休憩、睡眠など、おおまかな生活リズムを整えます。

日本うつ病学会も、生活習慣として規則的な食事や睡眠衛生などを挙げています。

③ 無理のない運動

散歩など、自分の体力に合った活動から始めます。

軽度うつ病では、指導下での運動療法も治療選択肢の一つとされています。

「頑張って運動しなければ」と追い込む必要はありません。

④ 気分と睡眠を記録する

特に双極性障害では、「今日は落ち込んだ」だけでなく、

  • 睡眠時間
  • 気分
  • 活動量
  • 予定の数

などを記録しておくと、自分の波に気づきやすくなります。

日本うつ病学会でも「睡眠・覚醒リズム表」「ライフチャート」「ソーシャル・リズム・メトリック」などが公開されています。

⑤ 一人で抱え込まない

自分では「まだ大丈夫」と思っていても、家族や周囲の人が先に変化に気づくことがあります。

「最近、寝てないよね」「いつもより予定が多くない?」「しゃべるスピードが速いよ」という周囲からの言葉も、大切な情報になることがあります。

食事や栄養状態を見直すことも大切

朝食を抜いていないか、食事間隔が空きすぎていないか、食事量が極端に少なくなっていないかなど、日頃の食生活を確認することも大切です。

血液検査の結果をお持ちの場合は参考資料として拝見し、医師から貧血や甲状腺機能などについて説明を受けているかも伺います。

当院では、食事内容や生活習慣、血液検査の情報も参考にしながら、栄養面のアドバイスに活かしています。

こんな時は早めに医療機関へ

次のような状態では、セルフケアだけで対応しようとせず医療機関への相談を優先してください。

  • 「死にたい」「消えたい」という気持ちが強い
  • 自分を傷つける可能性がある
  • ほとんど眠らず活動し続けている
  • 極端な浪費や危険行動がみられる
  • 幻覚や妄想がある
  • 仕事・学校・家事など日常生活が大きく崩れている

特に自傷や自殺の危険が差し迫っている場合は、通常の予約を待たず、救急を含めた緊急の医療支援につなげる必要があります。

当院で大切にしているサポート

整体院では、うつ病や双極性障害を診断したり、直接、治療したりすることはできません。

また、処方されている薬について自己判断で中止・減量することも避けてください。

一方で、

  • 身体の緊張
  • 睡眠
  • 運動
  • 食生活
  • 生活リズム
  • 日常生活での負担

などを一緒に整理し、心身の負担を減らし身体の土台を安定させていくサポートはできます。

まとめ|「落ちている時」だけでなく「上がっている時」も見る

うつ症状について考える時、「今どれくらい落ち込んでいるのか」だけを見るのではなく、「これまでに普段とは違って元気すぎた時期がなかったか」を見ることも大切です。

特に、

  • 睡眠が大幅に減る
  • 予定が急に増える
  • 話す量が増える
  • 自信が急に強くなる
  • 買い物や活動量が増える

こうした変化を記録しておくと、自分の気分の波を振り返る手掛かりになります。

大切なのは、うつ=心が弱いと考えないことです。

心、身体、睡眠、生活環境、人間関係など、いくつもの要素が重なって心身が動きにくくなることがあります。

一人で何とかしようとせず、どうぞご相談ください。

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よくある質問

Q
双極Ⅱ型は双極Ⅰ型より軽い病気ですか?
A

単純に「軽い病気」とは言えません。Ⅱ型では躁状態が軽躁ですが、うつ状態が大きな負担になることがあります。

Q
軽躁の本人は自分で分かりますか?
A

気づかない場合があります。「調子がいい」「元気になった」と感じることもあるため、家族など周囲から見た変化も参考になります。

Q
うつ病と双極性障害は自分で見分けられますか?
A

自己判断だけで区別するのは困難です。現在の症状だけでなく、これまでの経過などを含めて医師が評価します。

Q
運動すればうつ病は治りますか?
A

運動だけで「治る」とは言えません。軽度うつ病では指導下の運動療法が治療選択肢の一つですが、症状に応じて心理療法や薬物療法などが検討されます。

Q
整体だけでうつ病や双極性障害を改善できますか?
A

整体はうつ病や双極性障害を診断・治療する医療行為ではありません。身体の緊張や生活習慣を整えるサポートと、精神科・心療内科などで行う医学的な評価・治療は区別して考えることが重要です。

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参考文献・出典

  • 日本うつ病学会『うつ病診療ガイドライン2025』
  • 日本うつ病学会『日本うつ病学会診療ガイドライン 双極性障害(双極症)2023』
  • 日本うつ病学会『双極症とつきあうために』
  • National Institute of Mental Health(NIMH)『Bipolar Disorder』
  • NICE『Bipolar disorder: assessment and management』
  • NIMH『Seasonal Affective Disorder』
  • NIMH『Perinatal Depression』
  • NICE『Antenatal and postnatal mental health』