
「病院で検査を受けても異常がないと言われたのに痛みが続く…」
「肩や腰だけでなく、全身が痛い」
「ストレスが増えると痛みも強くなる気がする」
このようなお悩みはありませんか?
慢性痛(慢性疼痛)は、単なるケガや炎症だけでは説明できないことがあります。
近年の研究では、脳や神経、自律神経の働き、ストレス、睡眠不足などが複雑に関係していることがわかってきました。
代表的な慢性痛には、線維筋痛症やCRPS(複合性局所疼痛症候群)などがあります。
また、痛みが長く続くことで身体が危険を警戒する状態になり、痛覚過敏や神経過敏が起こりやすくなることもあります。
この記事では、慢性痛と自律神経の関係、痛みが続く仕組み、そして当院が大切にしている考え方についてわかりやすく解説します。
慢性痛とは、痛みが長く続いて生活に影響する状態です
慢性痛とは、一般的に3か月以上続く痛みのことをいいます。
本来、痛みは身体を守るための大切なサインです。
例えば、捻挫や骨折をすると痛みが出ますが、傷が回復すると痛みも少しずつ落ち着いていきます。
しかし慢性痛の場合は、組織の回復後も痛みが続いたり、検査では大きな異常が見つからないにもかかわらず強い痛みを感じたりすることがあります。
代表的なものとして、
- 線維筋痛症
- CRPS(複合性局所疼痛症候群)
- 慢性的な腰痛
- 慢性的な肩こりや首こり
- 頭痛
などがあります。
慢性痛は身体だけの問題ではなく、
- 神経系
- 自律神経
- ストレス
- 睡眠
- 心理的負担
など様々な要素が関係すると考えられています。
そのため、レントゲンやMRIだけでは十分に説明できないケースも少なくありません。
| 急性痛 | 慢性痛 | |
|---|---|---|
| 期間 | 短期間 | 3か月以上 |
| 役割 | 身体を守る | 役割が薄れる |
| 特徴 | ケガや炎症 | 脳や神経の影響も大きい |
近年では「痛みは身体だけでなく脳や神経の状態も影響する」という考え方が広がっており、慢性痛を理解するうえで重要なポイントになっています。
痛みが長く続くと、脳や神経が過敏になり、わずかな刺激でも強い痛みとして感じることがあります。
慢性痛を理解するためには、「どこが悪いのか」だけでなく、「なぜ痛みが続いているのか」という視点も大切になります。
痛みが続くと身体は警戒モードになりやすい
慢性痛では、痛みが長く続くことで脳や神経が「危険な状態が続いている」と学習してしまうことがあります。
その結果、本来なら問題のない刺激にも敏感に反応し、痛みを感じやすくなることがあります。
これは決して「気のせい」ではありません。
近年では、慢性痛は身体だけの問題ではなく、脳や神経の働きも関係することがわかってきています。
脳は危険を学習する
例えば、転んで膝を強く打った経験があると、その後しばらくは膝をかばうようになります。
これは身体を守るための正常な反応です。
しかし痛みが長期間続くと、脳が「この場所は危険だ」と学習し続けることがあります。
その結果、組織の回復後も痛みを感じやすくなったり、必要以上に身体を守ろうとして筋肉が緊張したりすることがあります。
痛みの記憶が残ることがある
私たちの身体には、危険を知らせるための「警報装置」があります。
例えば家の火災報知器は、本当に火事が起きた時に鳴るようになっています。
最初は小さな火事だったとしても、何度も警報が鳴り続けると、だんだん火災報知器が敏感になりすぎてしまうことがあります。
すると、
- 少し料理の煙が出ただけ
- トースターを使っただけ
なのに、大きな音で警報が鳴ってしまいます。
身体の痛みもこれに少し似ています。
ケガや病気がきっかけで痛みが続くと、脳や神経が「ここは危険な場所だ」と覚えてしまうことがあります。
すると、本来ならそれほど問題のない刺激でも、強い痛みとして感じやすくなることがあります。
これを専門的には「痛覚過敏」や「中枢性感作」と呼びます。
痛覚過敏とは?
痛覚過敏とは、痛みのセンサーが敏感になりすぎた状態です。
例えば、普通の人なら「肩を軽く押されたな」と感じる程度でも、痛覚過敏の状態では「痛い!」と感じてしまうことがあります。
例えるなら、日焼けをした後の肌を想像してください。
普段なら何ともないシャワーのお湯でも、「痛っ!」と感じることがあります。
服が触れるだけでもヒリヒリすることがあります。
肌が敏感になっているからです。
痛覚過敏も少し似ていて、本来なら問題のない刺激を痛みとして感じやすくなる状態です。
中枢性感作とは?
中枢性感作とは、脳や神経の警報装置が敏感になりすぎた状態です。
例えるなら、火災報知器の感度が上がりすぎている状態です。
本当の火事ではなくても、
- 湯気
- 少しの煙
だけで警報が鳴ってしまいます。
身体でも同じように、本来は危険ではない刺激に対しても、脳が「危ない!」と判断して痛みを出しやすくなることがあります。
大切なのは「痛み=壊れている」ではないこと
もちろん痛みがある時は、まず医療機関で原因を調べることが大切です。
しかし慢性痛では、
身体が壊れているから痛いのではなく、警報装置が敏感になっていることもあります。
そのため近年では、
- 身体の状態
- 睡眠
- ストレス
- 自律神経
- 安心感
などを含めて考えることが大切だとされています。
ストレスや睡眠不足も影響する
ストレスが続いたり、睡眠不足が重なったりすると、身体は常に緊張しやすい状態になります。
また、自律神経のバランスが乱れることで、
- 筋肉がこわばる
- 血流が低下する
- 呼吸が浅くなる
- 疲労が回復しにくくなる
といった変化が起こることがあります。
その結果、痛みに対する敏感さが高まり、症状が長引く要因になることもあります。
慢性痛を考えるときは、痛い場所だけを見るのではなく、睡眠やストレス、生活習慣、自律神経の状態も含めて全体をみていくことが大切です。
自律神経と慢性痛はお互いに影響します
慢性痛と自律神経は、それぞれ別の問題ではなく、お互いに影響し合う関係があると考えられています。
例えば、痛みが続くとストレスが増えたり眠れなくなったりします。
すると自律神経のバランスが乱れやすくなります。
反対に、自律神経が乱れることで身体が緊張しやすくなり、痛みを感じやすくなることもあります。
そのため慢性痛を考えるときは、痛い場所だけでなく、自律神経の状態にも目を向けることが大切です。
交感神経が優位になるとどうなる?
自律神経には、活動するときに働く「交感神経」と、休息や回復を助ける「副交感神経」があります。
ストレスや不安、痛みが続くと、身体は危険から身を守ろうとして交感神経が優位になりやすくなります。
すると、
- 筋肉が緊張する
- 肩や首がこりやすくなる
- 呼吸が浅くなる
- 身体が休まりにくくなる
といった変化が起こることがあります。
この状態が長く続くと、痛みの回復を妨げる要因になる場合もあります。
呼吸・睡眠・血流との関係
自律神経は、呼吸や睡眠、血流など、私たちが意識しなくても働いている機能を調整しています。
例えば緊張すると呼吸が浅くなり、眠りが浅くなることがあります。
また、身体がこわばることで血流が低下し、疲労が抜けにくくなることもあります。
すると、
「痛いから眠れない」
↓
「眠れないから疲れる」
↓
「疲れるからさらに痛みが気になる」
という悪循環に入りやすくなります。
慢性痛では、このような身体全体の状態も大切な視点になります。
ポリヴェーガル理論で考える慢性痛
ポリヴェーガル理論では、自律神経は単に交感神経と副交感神経だけではなく、「身体が安全を感じているかどうか」が重要だと考えます。
例えば、安心している時は呼吸が自然に深くなり、筋肉の緊張も和らぎやすくなります。
一方で、身体が危険を感じ続けていると、無意識のうちに警戒モードが続きやすくなります。
すると、
- 身体がこわばる
- 呼吸が浅くなる
- 疲れやすくなる
- 痛みに意識が向きやすくなる
といった状態が続くことがあります。
身体が安全と感じにくい状態になると、筋肉が緊張しやすくなり、痛みにも敏感になることがあります。
もちろん、すべての慢性痛が自律神経だけで説明できるわけではありません。
しかし近年では、慢性痛の背景にストレスや自律神経の働きが関係している可能性も注目されています。
身体が安全と感じにくい状態になると、筋肉が緊張しやすくなり、痛みにも敏感になることがあります。
痛みのブレーキ「下行性疼痛抑制系」とは
私たちの身体には、痛みを感じる仕組みだけでなく、痛みを抑える仕組みも備わっています。
これを「下行性疼痛抑制系(かこうせいとうつうよくせいけい)」と呼びます。
少し難しい名前ですが、簡単にいうと「痛みのブレーキ」のようなものです。
脳には痛みを抑える仕組みがある
例えばスポーツの試合中に転んでケガをしたのに、その場ではあまり痛みを感じず、試合が終わってから痛みが強くなることがあります。
これは脳が一時的に痛みを抑えているためです。
このように脳には、必要に応じて痛みをコントロールする仕組みがあります。
痛みを感じるだけでなく、痛みを和らげる働きもしているのです。
セロトニンやノルアドレナリンとの関係
痛みのブレーキには、脳内の神経伝達物質が関係しています。
代表的なものが、
- セロトニン
- ノルアドレナリン
です。
これらは気分や睡眠、自律神経の働きにも関わっています。
そのため、
- 睡眠不足
- 強いストレス
- 疲労の蓄積
などが続くと、痛みのブレーキが十分に働きにくくなる可能性があります。
ストレスが続くと働きにくくなることがある
車で例えると、アクセルだけを踏み続けてブレーキが効きにくくなっている状態です。
ストレスや不安、睡眠不足が続くと、身体は警戒モードになりやすくなります。
すると痛みを抑える仕組みがうまく働かず、痛みを感じやすくなることがあります。
もちろん、すべての慢性痛がこれだけで説明できるわけではありません。
しかし近年では、慢性痛の背景には
- 痛覚過敏
- 中枢性感作
- 自律神経の乱れ
- 下行性疼痛抑制系の機能低下
などが複雑に関係していると考えられています。
そのため慢性痛では、痛い場所だけを見るのではなく、睡眠やストレス、自律神経の状態も含めて身体全体をみていくことが大切です。
線維筋痛症とCRPSで考えたい慢性痛の違い
慢性痛と一言でいっても、その原因や症状の現れ方はさまざまです。
その中でも代表的なものとして、「線維筋痛症」と「CRPS(複合性局所疼痛症候群)」があります。
どちらも強い痛みが続く病気として知られていますが、痛みの出方や特徴には違いがあります。
一方で、
- 痛みが長く続く
- 痛覚過敏がみられることがある
- 睡眠やストレスの影響を受けやすい
- 日常生活に大きな支障をきたすことがある
といった共通点もあります。
近年では、どちらの病気にも脳や神経の過敏状態(中枢性感作)が関係している可能性が指摘されています。
ただし、線維筋痛症とCRPSは同じ病気ではありません。
線維筋痛症は全身に痛みが広がりやすい特徴がある一方で、CRPSは骨折や手術などをきっかけに手や足など特定の部位に強い痛みが続くことが多いとされています。
また、CRPSでは
- 腫れ
- 発汗異常
- 皮膚温の変化
- 皮膚の色の変化
など、自律神経に関連する症状がみられることもあります。
それぞれ症状や経過は異なるため、まずは医療機関で適切な評価を受けることが大切です。
ここからは、線維筋痛症とCRPSそれぞれの特徴について、もう少し詳しくみていきましょう。
| 項目 | 線維筋痛症 | CRPS |
|---|---|---|
| 主な痛み | 全身 | 手足など局所 |
| きっかけ | 明確でないことも多い | 骨折や手術後が多い |
| 特徴 | 疲労感・睡眠障害 | 腫れ・皮膚変化 |
| 診療科 | リウマチ科など | ペインクリニックなど |
線維筋痛症でみられる痛みの特徴

線維筋痛症は、全身に広がる慢性的な痛みを特徴とする病気です。
血液検査やレントゲン、MRIなどで大きな異常が見つからないことも多く、「周囲に理解されにくい痛み」といわれることもあります。
痛みの感じ方には個人差がありますが、
- 全身が痛い
- 身体のあちこちが痛む
- 服が触れるだけでも痛い
- 軽く押されるだけでも痛い
と表現される方もおられます。
また、痛みだけでなく、
- 強い疲労感
- 睡眠障害
- 頭痛
- めまい
- しびれ感
- 集中力の低下
などを伴うこともあります。
「痛みのセンサー」が敏感になっている可能性
線維筋痛症では、身体に大きな異常が見つからなくても強い痛みが続くことがあります。
そのため近年では、脳や神経の痛みを感じる仕組みが過敏になっている可能性が注目されています。
例えば、日焼けした肌は服が触れるだけでもヒリヒリすることがあります。
同じように、神経が敏感になることで、本来なら問題のない刺激でも強い痛みとして感じやすくなることがあります。

自律神経との関係も注目されている
線維筋痛症の原因はまだ完全には解明されていません。
しかし近年では、
- ストレス
- 睡眠不足
- 自律神経の乱れ
- 中枢性感作(実際よりめっちゃ痛く感じる)
などが関係している可能性が研究されています。
もちろん、すべての方に当てはまるわけではありませんが、身体だけでなく睡眠や生活習慣、心身のストレスなども含めて考えることが大切です。
線維筋痛症は「気のせい」や「怠け」ではありません。
つらい症状に悩まれている方は、一人で抱え込まず、まずは医療機関へ相談することをおすすめします。
CRPSでみられる痛みの特徴

CRPS(複合性局所疼痛症候群)は、骨折や捻挫、手術などのケガをきっかけに発症することがある慢性痛の一つです。
線維筋痛症が全身に痛みが広がりやすいのに対して、CRPSは手や足など特定の部位に強い痛みが続くことが多いとされています。
特徴的なのは、ケガの程度からは説明しにくいほど強い痛みが続くことがある点です。
例えば、
- 軽く触れただけでも痛い
- 洋服が触れるだけでも痛い
- 風が当たるだけでも痛い
と感じることがあります。
痛み以外の症状がみられることもある
CRPSでは痛みだけでなく、
- 腫れ
- 皮膚の色の変化
- 皮膚温の変化
- 発汗異常
- 関節の動かしにくさ
などがみられることがあります。
これらは自律神経の働きとも関係している可能性があると考えられています。
神経が過敏な状態になっている可能性
CRPSでは、痛みを感じる神経や脳の働きが過敏になっている可能性が指摘されています。
例えば、家の火災報知器が敏感になりすぎると、少しの煙でも大きな警報音が鳴ることがあります。
同じように、神経の警報装置が過敏になることで、本来なら大きな問題のない刺激にも強く反応してしまうことがあります。
これが「痛覚過敏」や「中枢性感作」(ブレーキが壊れた状態)と呼ばれる考え方です。
早めの相談が大切です
CRPSは早期から適切な診断や治療を受けることが大切だと考えられています。
強い痛みが続く場合や、ケガの後に
- 腫れが引かない
- 痛みが強くなっている
- 皮膚の色や温度が変わる
などの症状がみられる場合は、早めに医療機関へ相談することをおすすめします。
当院で大切にしている慢性痛への考え方
慢性痛は、痛い場所だけをみれば解決するものではないと当院では考えています。
もちろん、まずは医療機関で適切な検査や診断を受けることが大切です。
そのうえで、慢性痛が長く続いている方の中には、
- ストレスが続いている
- 睡眠の質が低下している
- 身体の緊張が抜けにくい
- 疲労が蓄積している
といった状態が重なっていることも少なくありません。
そのため当院では、痛みのある場所だけでなく、身体全体の状態をみることを大切にしています。
身体・栄養・心を総合的に考える
当院では、
- 身体の状態
- 栄養状態
- 心身のストレス
という3つの視点を大切にしています。
例えば、身体の緊張が続いているのか。
睡眠や食事によって回復力が低下していないか。
頑張りすぎや不安によって身体が休まりにくくなっていないか。
このような点も含めて整理していきます。
痛みだけでなく「安全感」も大切にする
近年では、慢性痛と自律神経の関係も注目されています。
身体が危険を感じ続けている状態では、筋肉が緊張しやすくなり、呼吸も浅くなりやすくなります。
反対に、身体が安全だと感じられると、呼吸や血流が落ち着きやすくなります。
もちろん、これだけで慢性痛が説明できるわけではありません。
しかし当院では、身体が少しでも安心しやすい状態を目指すことも大切だと考えています。
症状だけでなく「症状が出やすい状態」にも目を向ける
当院では、「なぜ症状が出たのか」だけでなく、「なぜ今、症状が出やすくなっているのか」という視点も大切にしています。
精神的なストレス、身体の負担、睡眠不足、栄養の偏りなど、様々な要因が重なることで身体の余裕が少なくなり、症状が現れやすくなることがあります。
そのため、痛みだけを追いかけるのではなく、身体全体のバランスを整えることを大切にしています。
慢性痛でお悩みの方は、一人で抱え込まず、まずは現在の身体の状態を整理するところから始めてみてください。
セルフケアで大切なのは「頑張る」より「安全に戻る」こと
慢性痛が続くと、
「もっと運動しなければ」
「気合いで頑張らなければ」
「痛みに負けてはいけない」と思ってしまう方も少なくありません。
もちろん適度な運動や生活習慣の見直しは大切です。
しかし、身体が疲れ切っている状態や強い痛みが続いている状態では、無理を重ねることでかえって負担になることもあります。
そのため当院では、「頑張ること」よりも「身体が安全だと感じられる状態を増やすこと」を大切にしています。
呼吸を整える
ストレスや痛みが続くと、無意識のうちに呼吸が浅くなることがあります。
呼吸が浅くなると身体は緊張しやすくなり、疲れも抜けにくくなります。
まずは大きく息を吸うことよりも、「ゆっくり息を吐く」ことを意識してみてください。
長く吐くことで、身体が落ち着きやすくなる場合があります。
睡眠を優先する
睡眠は身体を回復させる大切な時間です。
慢性痛の方では、
- 寝つきが悪い
- 夜中に目が覚める
- 朝から疲れている
という方も少なくありません。
完璧な睡眠を目指す必要はありません。
まずは、
- 決まった時間に起きる
- 朝日を浴びる
- 寝る前のスマホを減らす
など、できることから始めてみましょう。
「できること」を少しずつ増やす
痛みがあると、「できるか、できないか」で考えがちです。
しかし慢性痛では、「少しならできる」という範囲を見つけることも大切です。
例えば、
- 5分だけ散歩する
- ベランダに出る
- 軽く身体を動かす
など、小さな成功体験を積み重ねることで、自信につながることがあります。
安心できる時間や人とのつながりを大切にする
- 好きな音楽を聴く
- 自然の中を散歩する
- 家族や友人と話す
- 趣味の時間を楽しむ
このような時間は、身体に「今は安全だよ」というメッセージを送るきっかけになることがあります。
慢性痛では、痛みそのものだけに意識が向きやすくなります。
だからこそ、「何をすると少し楽になるのか」「どんな時に安心できるのか」にも目を向けてみてください。
セルフケアで大切なのは、自分を追い込むことではありません。
少しずつ身体の余裕を取り戻し、安全だと感じられる時間を増やしていくことが大切だと当院では考えています。
医療機関に相談した方がよいサイン
慢性痛の中には、医療機関での検査や治療が必要な病気が隠れている場合もあります。
次のような症状がある場合は、早めに医療機関へ相談してください。
- 今まで経験したことのない強い痛み
- 急に始まった激しい痛み
- 手足の麻痺や力が入りにくい
- 発熱を伴う痛み
- 原因不明の体重減少
- 安静にしていても続く強い痛み
- 夜中に目が覚めるほどの痛み
- 排尿や排便の異常
- 骨折やケガの後に強い痛みや腫れが続く
- 痛みによって日常生活に大きな支障が出ている
慢性痛では、検査で異常が見つからない場合もあります。
しかし、「異常がない=つらさが存在しない」という意味ではありません。
不安な場合は一人で抱え込まず、まずは医療機関へ相談することをおすすめします。
よくある質問
- Q慢性痛は治らないのでしょうか?
- A
慢性痛の原因や状態は人によって異なります。症状が長く続く場合でも、適切な治療や生活習慣の見直しによって日常生活が送りやすくなることがあります。まずは医療機関で相談することをおすすめします。
- QレントゲンやMRIで異常がないのに痛みが続くことはありますか?
- A
あります。慢性痛では、画像検査だけでは説明できない場合もあります。近年では、脳や神経の働き、自律神経、睡眠、ストレスなども関係している可能性があると考えられています。
- Qストレスで痛みが強くなることはありますか?
- A
ストレスが続くと身体が緊張しやすくなり、睡眠や自律神経にも影響を与えることがあります。その結果、痛みを感じやすくなる場合があると考えられています。ただし、痛みの原因がすべてストレスというわけではありません。
- Q線維筋痛症とCRPSは同じ病気ですか?
- A
どちらも慢性痛の代表的な疾患ですが、同じ病気ではありません。線維筋痛症は全身に痛みが広がりやすい特徴があり、CRPSは骨折や手術などをきっかけに手足など特定の部位に強い痛みが続くことが多いとされています。
- Q慢性痛の時は運動した方が良いのでしょうか?
- A
状態によります。無理な運動はかえって負担になることもありますが、体調に合わせて少しずつ身体を動かすことが役立つ場合もあります。不安がある場合は医療機関や専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
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まとめ
慢性痛は、単に「痛い場所」の問題だけではなく、
- 脳や神経の働き
- 自律神経
- 睡眠
- ストレス
- 生活習慣
などが複雑に関係していることがあります。
近年では、
- 痛覚過敏
- 中枢性感作
- 下行性疼痛抑制系
- 自律神経
といった仕組みが注目されており、「なぜ痛みが続いているのか」を身体全体から考えることが大切だとされています。
また、線維筋痛症やCRPSなどの慢性痛では、検査で大きな異常が見つからなくても、強い痛みに悩まれている方も少なくありません。
まずは医療機関で適切な診断や治療を受けることが大切です。
そのうえで、身体の緊張や睡眠、ストレス、自律神経の状態などを含めて整えていくことも、慢性痛と向き合うための一つの考え方です。
一人で抱え込まず、少しずつ身体の余裕を取り戻していきましょう。
「病院では異常がないと言われたけれど痛みが続く」
「線維筋痛症やCRPS、自律神経との関係について相談してみたい」
「自分の場合は何から取り組めばよいのかわからない」
そのような方は、一人で悩まずお気軽にご相談ください。
当院では、身体だけでなく、
- 自律神経
- 睡眠
- 栄養
- ストレス
なども含めて、現在の状態を一緒に整理するお手伝いをしております。
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参考文献
- 『線維筋痛症がよくわかる本』:戸田克広
- 『ソマティック・エクスペリエンシング入門』:ピーター・A・ラヴィーン/アン・フレデリック
- 『不安のメカニズム』:クレア・ウィークス
- 『痛みからの解放』:ピーター・A・ラヴィーン/マギー・フィリップス
- 『身体に閉じ込められたトラウマ』:ピーター・A・ラヴィーン
- 『痛みの考え方』:丸山一男



