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トイレのあとに気持ち悪い・めまいがするのはなぜ?自律神経と便秘の関係

トイレのあとに吐き気やめまいを感じ、口元を押さえて壁に手をつく女性のイラスト。排便後に起こる気分不良を表現。

「トイレでいきんだら、急に気持ち悪くなった」

「排便したあと、冷や汗が出てフラフラする」

「トイレから立ち上がった瞬間、目の前が暗くなった」

そんな経験はありませんか?

トイレは本来、身体の中の不要なものを出して、スッキリする場所です。

ところが、スッキリするどころか、めまいや吐き気でグッタリ……。

これでは、トイレに行くのも怖くなってしまいますよね。

実は、こうした症状には、排便時の「いきみ」と血圧の変化、自律神経の働きが関係していることがあります。

そして、ここに意外な事実があります。

いきむと血圧は上がると思われがちですが、実は下がることもあるのです。

さらに、便秘や排便時の姿勢、ストレスなどが重なっている場合もあります。

今回は、25年以上にわたり身体の不調や自律神経の問題に向き合ってきた経験も踏まえ、トイレのあとに起こるめまい・吐き気・冷や汗の仕組みと、日常生活でできる対策をわかりやすく解説します。

このような方に読んでほしい記事です
  • トイレのあとにめまいや吐き気がする
  • 排便時に冷や汗が出ることがある
  • いきむと頭がフラフラする
  • トイレで倒れそうになった経験がある
  • 便秘で強くいきむことが多い
  • 毎日便が出ているのに残便感がある
  • 一度気分が悪くなってからトイレが怖い
  • 自律神経と排便の関係を知りたい

めまいや胃腸の不調について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

▶めまいの症状別まとめ

▶便秘・胃腸の不調に関するまとめ

トイレのあとにめまい・吐き気・冷や汗が出るのはなぜ?

結論からお伝えすると、排便時や排便後の気分不良には、血圧や心拍数の変化、自律神経の反射が関係している場合があります。

私たちの脳には、常に一定量の血液が届けられています。

ところが、何らかの理由で血圧が急に下がると、脳へ届く血液が一時的に減ってしまうことがあります。

すると、

  • 目の前が暗くなる
  • 頭がフワッとする
  • 冷や汗が出る
  • 吐き気がする
  • 顔色が悪くなる
  • 身体の力が抜ける

といった症状が現れることがあります。

こうした症状が強くなると、意識を失う場合もあります。

特に排便中や排便直後に起こる失神は「排便失神」と呼ばれ、状況によっては反射性失神の一つとして考えられます。

ここで大切なのは、排便後のめまいがすべて同じ原因とは限らないことです。

血圧の低下、立ち上がったときの血圧変化、脱水、薬の影響、不整脈など、さまざまな要因を考える必要があります。

では、なぜトイレで血圧が変化するのでしょうか?

その鍵になるのが「バルサルバ動作」です。

いきむと血圧は上がる?実は下がることもある!

バルサルバ動作とは?

バルサルバ動作とは、息を止めてお腹や胸にグッと力を入れる動作のことです。

例えば、

  • 硬い便を出そうと強くいきむ
  • 重い荷物を持ち上げる
  • 筋力トレーニングで息を止めて踏ん張る

こうした場面で起こります。

排便中に「うーん!」と力を入れる動作も、その一つです。

ここで、ちょっと質問です。

いきむと血圧はどうなると思いますか?

「力を入れるんだから、上がるんじゃない?」

そう思いますよね。

実は正解は、上がることもあれば、下がることもある、です。

血圧と心拍が変化する4つの段階

バルサルバ動作による血圧変化は、一般的に4つの段階で説明されます。

排便時のいきみによるバルサルバ動作を4段階で解説。いきみ始めの血圧上昇、いきみ継続中の血圧低下、力を抜いた直後の一時的な低下、回復時の血圧上昇を示したイラスト。

第1段階:いきみ始め

息を止めて強くいきむと、胸の中の圧力が高まります。

その影響で血圧は一時的に上がります。

第2段階:いきみ続ける

胸の中の圧力が高い状態が続くと、心臓へ戻る血液の量が減少します。

すると、心臓から送り出される血液も減り、血圧が下がる局面があります。

身体はそれを補おうとして、心拍数を増やしたり、血管を収縮させたりします。

第3段階:いきむのをやめる

力を抜くと、胸の中の圧力が急に戻ります。

このとき血圧が一時的に下がることがあります。

第4段階:回復する

心臓へ戻る血液が増え、血圧が回復します。

一時的に通常より血圧が高くなり、その後、心拍数なども調整されていきます。

つまり、いきんでいる間から力を抜いたあとまで、血圧と心拍は変化しているのです。

「トイレで力を入れていたときは大丈夫だったのに、終わってからフラッとした」

そんな症状を考えるうえでも、知っておきたい仕組みです。

ただし、この4段階はバルサルバ動作の典型的な循環反応を説明したもので、排便後のめまいが必ずこの順番で起こるという意味ではありません。

なぜいきむのをやめたあとにも変化するのか

私たちの身体は、血圧を一定に保つため、常に細かな調整を行っています。

その調整役の一つが自律神経です。

いきんでいるときも、力を抜いたあとも、心臓や血管の働きを調整しています。

普段は意識することのない仕組みですが、トイレの中でも身体は一生懸命働いているんですね。

さらに、排便時には、こうした血圧の変化に加えて、自律神経の反射が関係することもあります。

それが、次に紹介する迷走神経反射です。

迷走神経反射とは?トイレで倒れそうになる仕組み

血圧が下がると脳への血流が一時的に減る

迷走神経は、脳から胸やお腹の臓器へつながる神経で、自律神経の副交感神経に深く関わっています。

排便、強い痛み、恐怖などをきっかけに、自律神経を介した反射が起こる場合があります。

その結果、心拍数が減少したり、血管が広がったりして、血圧が下がることがあります。

これが血管迷走神経反射と呼ばれる仕組みです。

排便時の迷走神経反射の仕組みを示すイラスト。自律神経の反射によって心拍数や血圧が低下し、脳への血流が一時的に減少することで、めまい・吐き気・冷や汗などが起こる様子を解説。

血圧が下がると、脳へ届く血液が一時的に不足し、めまいやふらつきが起こることがあります。

さらに強い場合には、意識を失うこともあります。

排便に伴う失神は、こうした反射が関係する「状況失神」に分類されることがあります。

なお、排便失神と血管迷走神経反射は完全に同じ意味ではなく、血圧低下や心拍変化には複数の仕組みが関わります。

冷や汗・吐き気・顔面蒼白は身体からのサイン

失神の前には、身体から次のようなサインが出る場合があります。

  • 急に気持ち悪くなる
  • 冷や汗が出る
  • 顔が青白くなる
  • 目の前が暗くなる
  • 耳が遠くなるように感じる
  • 身体の力が抜ける

これらは、意識を失う前に現れることがある症状です。

もしトイレでこうした症状が出たら、無理に立ち上がらないでください。

まずは転倒を防ぐことが大切です。

便秘で強くいきむことが、めまいのきっかけになる?

硬い便・長時間のいきみと身体への負担

便秘が続くと、便が硬くなり、排便時に強くいきむことがあります。

すると、バルサルバ動作による血圧変化が起こりやすい状況になります。

さらに、トイレで長時間座り続けたり、息を止めて何度も踏ん張ったりすると、身体への負担も増えてしまいます。

「便秘だから、とにかく力いっぱい出す!」そんな方もいらっしゃるかもしれません。

でも、トイレは筋力トレーニングの場所ではありません(笑)。

大切なのは、力任せに出すことではなく、できるだけ自然に排便できる状態をつくることです。

毎日便が出ていても「出口便秘」のことがある

ここで、もう一つ知っていただきたいことがあります。

便秘というと「何日も便が出ない状態」を想像しませんか?

実は、毎日便が出ていても、便秘のことがあります。

例えば、

  • 便意はあるのに、なかなか出ない
  • 肛門の近くで便が詰まっている感じがする
  • 強くいきまないと出せない
  • 排便後も便が残っている感じがする
  • トイレに長時間座ってしまう

こうした症状がある場合、便を外へ出す働きに問題がある可能性があります。

一般に「出口便秘」と呼ばれることがあり、医学的には排便困難型便秘や排便協調障害などが関係します。

通常、排便するときには、お腹に適度な圧力がかかる一方で、骨盤底筋や肛門周囲の筋肉が適切に緩む必要があります。

ところが、この協調がうまくいかないと、いくら踏ん張っても便が出にくくなります。

アクセルを踏んでいるのに、ブレーキも踏んでいるような状態ですね。

ここが、今回の記事でぜひ知っていただきたいポイントです。

便秘は腸の動きだけでなく、便を出すときの筋肉の協調も関係しているのです。

通常のトイレの座り方と、足台を使って膝を高くした排便姿勢を比較したイラスト。足台によって直腸と肛門の角度が緩やかになり、便を出しやすくなる仕組みを紹介。

足台を使って膝を少し高くし、上体を軽く前に倒す姿勢は、排便しやすくなる方もいます。

ただし、出口便秘の原因は筋肉の協調だけではありません。直腸や肛門の構造的な問題が関係する場合もあります。

甲状腺機能低下症や過敏性腸症候群も関係する?

甲状腺機能低下症と便秘

甲状腺は、身体の代謝を調整するホルモンをつくっています。

このホルモンが不足する甲状腺機能低下症では、腸の動きが鈍くなり、便秘が起こることがあります。

ほかにも、疲れやすさ、寒がり、むくみ、皮膚の乾燥などがみられる場合があります。

便秘が長く続き、こうした症状も重なっている場合には、甲状腺の働きが関係していないか確認することも大切です。

医療機関では、TSHやFT4などの血液検査で甲状腺機能を評価します。

過敏性腸症候群(IBS)と腹痛・排便の関係

過敏性腸症候群は、腹痛と便通の変化が繰り返される病気です。

下痢が中心の方もいれば、便秘が中心の方、両方を繰り返す方もいます。

ストレスによって症状が強くなる場合もあり、脳と腸の相互作用が関係しています。

また、強い腹痛や排便時の不快感が、自律神経の反射を引き起こすきっかけになる場合もあります。

ただし、IBSや甲状腺機能低下症があるからといって、必ず排便後のめまいが起こるわけではありません。

今回の症状を考えるときには、こうした病気が便秘や腹痛の背景にないか、という視点が役立ちます。

一度トイレで気分が悪くなると、次から怖くなる理由

「また倒れたらどうしよう」という予期不安

一度トイレで強いめまいや吐き気を経験すると、その記憶が残ることがあります。

「また気持ち悪くなったらどうしよう」

「トイレで倒れたら誰も気づいてくれないかも」

「外出先のトイレだったら困る」

こうした不安が生まれるのは、決して不思議なことではありません。

人間の脳には、怖かった出来事を覚えて、次に同じことが起こらないよう警戒する働きがあります。

ところが、その警戒が強くなりすぎると、まだ何も起きていないのに、トイレへ行くだけで緊張してしまう場合があります。

これが予期不安と呼ばれる状態の一つです。

予期不安については、こちらの記事で詳しく解説しています。

▶「また体調が悪くなったらどうしよう」が頭から離れない

不安と身体の緊張が重なる悪循環

不安になると、呼吸が浅くなったり、肩やお腹に力が入ったりすることがあります。

すると、身体の小さな変化が気になりやすくなります。

少しお腹が張るだけで「また気持ち悪くなるかも」と感じる。

心拍が少し変わっただけで「倒れる前触れでは?」と心配になる。

そして、さらに身体が緊張する。

こうした悪循環が起こることがあります。

大切なのは、最初の身体症状と、その後に生まれた不安を分けて考えることです。

身体の問題を確認しながら、不安に対しても少しずつ安心できる経験を増やしていく。

この両方の視点が役立ちます。

トイレで気持ち悪くなったときの対処法

無理に立ち上がらず、安全な姿勢をとる

トイレで急に気分が悪くなったときは、まず転倒を防ぐことが大切です。

めまいや冷や汗がある状態で、慌てて立ち上がるのは避けましょう。

いきむのをやめ、安全を確保してください。

意識が遠のきそうな場合は、可能であれば周囲の人に助けを求め、横になれる安全な場所で休みます。

立ち上がって移動することで転倒しそうな場合は、無理に移動しないことが大切です。

便秘と強いいきみを減らす生活習慣

排便時の負担を減らすには、日頃の便通を整えることも重要です。

例えば、

  • 水分を適度にとる
  • 食物繊維を食事に取り入れる
  • 朝食後など、便意が起こりやすい時間を活用する
  • 軽い散歩などで身体を動かす
  • 便意を我慢しすぎない
  • トイレに長時間座り続けない

といった工夫があります。

ただし、便秘の種類によっては食物繊維を増やすだけでは改善しない場合もあります。

特に出口便秘では、便の硬さだけでなく、排便時の筋肉の使い方が関係することもあります。

足台・姿勢・呼吸で排便しやすい環境をつくる

排便時には、足台を使って膝を少し高くし、上体を軽く前に倒す姿勢を試してみてもよいでしょう。

また、息を長く止めて強くいきむのではなく、呼吸を止めすぎないことも大切です。

便が出ないからといって、何度も力いっぱい踏ん張る必要はありません。

「頑張って出す」より、「出やすい環境をつくる」。

そんな発想に変えてみましょう。

医療機関で確認したい症状と検査

排便後のめまいや吐き気には、自律神経の反射以外の原因が関係する場合もあります。

特に、実際に意識を失った場合、繰り返し倒れそうになる場合、胸痛や強い動悸を伴う場合などは、医療機関で原因を確認することが大切です。

突然の激しい腹痛、血便、強い脇腹の痛みなどがある場合も、別の病気が関係している可能性があります。

医療機関では、症状に応じて血圧測定、心電図、血液検査などが行われます。

便秘が長く続く場合には、必要に応じて甲状腺機能の検査や、排便機能を調べる検査が検討されることもあります。

原因を確認することは、安心して日常生活を送るためにも大切な一歩です。

おおくま整骨院で大切にしていること

東大阪市のおおくま整骨院では、身体の不調を一つの原因だけで考えないことを大切にしています。

例えば、便秘や胃腸の不調がある方でも、

  • 呼吸が浅くなっていないか
  • お腹や背中に強い緊張がないか
  • 姿勢や身体の使い方に無理がないか
  • 睡眠は十分にとれているか
  • 食事や生活リズムはどうか
  • 不安やストレスを抱えていないか

といった点を確認します。

自律神経は、心臓や血管だけでなく、胃腸の働きにも関係しています。

そして、身体の緊張と心理的な不安は、お互いに影響し合うことがあります。

当院では、やさしい身体調整やオステオパシーなどを通じて、身体の緊張を和らげ、呼吸や姿勢、生活習慣を見直すお手伝いをしています。

また、必要に応じて栄養面や心理面からもアプローチを考えます。

「またトイレで気持ち悪くなったらどうしよう」

そんな不安を抱えている方が、少しずつ安心して日常生活を送れるよう、身体と心の両面からサポートすることを大切にしています。

よくある質問

Q
トイレのあとにめまいがするのは自律神経失調症ですか?
A

排便時の血圧や心拍の変化、自律神経の反射が関係する場合があります。ただし、めまいがあるからといって自律神経失調症とは限りません。起立性低血圧、不整脈、脱水なども考えられるため、症状の出方を確認することが大切です。

Q
いきむと血圧は上がるのですか?
A

いきみ始めには血圧が一時的に上がりますが、いきみが続くと下がる局面もあります。これはバルサルバ動作と呼ばれ、力を抜いたあとにも血圧が変化します。排便時に強くいきみすぎないことが大切です。

Q
便秘がなくても迷走神経反射は起こりますか?
A

はい。迷走神経反射は、排便時のいきみだけでなく、強い痛み、恐怖、長時間の立位などをきっかけに起こる場合があります。便秘がない方でも排便中や排便後に気分が悪くなることはあります。

Q
毎日便が出ていても出口便秘の可能性はありますか?
A

あります。便が毎日出ていても、強くいきまないと出ない、残便感がある、出口で詰まる感じがする場合には、排便困難型便秘などが関係している可能性があります。排便回数だけでなく、出しやすさも大切です。

Q
トイレで一度倒れそうになったら病院へ行くべきですか?
A

実際に意識を失った場合や、繰り返し倒れそうになる場合は、医療機関で原因を確認してください。胸痛、強い動悸、激しい腹痛などを伴う場合も注意が必要です。血圧や心電図などで確認することがあります。

まとめ

トイレのあとにめまいや吐き気、冷や汗が出る場合、排便時のいきみや血圧変化、自律神経の反射が関係していることがあります。

そして、今回ぜひ覚えていただきたいのは、いきむと血圧は上がるだけではなく、下がる局面もあるということです。

さらに、便秘や出口便秘、甲状腺機能低下症、過敏性腸症候群などが、排便時の負担や不快感に関係している場合もあります。

一度トイレで気分が悪くなると、次から不安になることもありますよね。

だからこそ、身体の仕組みを知り、無理ない排便習慣を身につけ、安心できる経験を少しずつ増やしていくことが大切です。

トイレは、本来スッキリする場所。

身体に無理をさせず、安心して過ごせる時間にしていきたいですね。

東大阪市のおおくま整骨院では、自律神経や胃腸の不調、不安などについて、身体と心理の両面からご相談をお受けしています。

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参考文献

  • 『便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症』:日本消化管学会 編集
  • 『標準生理学』:本間研一 監修
  • 『標準内科学』:北村聖・高久史麿 監修
  • 『失神の診断・治療ガイドライン(2012年改訂版)』:日本循環器学会ほか
  • 『過敏性腸症候群(IBS)診療ガイドライン2020』:日本消化器病学会 編集