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脊柱管狭窄症でゴルフができない|足のしびれ・間欠性跛行と上手につき合うために

脊柱管狭窄症で足のしびれがありゴルフができず悩む男性

「脊柱管狭窄症といわれています」
「歩くとお尻から足がしびれます」
「大好きなゴルフに行けないのが一番つらいです」

今回ご紹介するのは、病院で腰部脊柱管狭窄症と診断され、足の痛みとしびれのためゴルフを楽しめなくなっていた50代男性のケースです。

脊柱管狭窄症は、加齢などに伴う背骨の変化が関係する病気です。ただし「診断されたら必ず少しずつ悪くなる」というわけではありません。

この記事では、脊柱管狭窄症の特徴、進行性についての考え方、ゴルフや日常生活を続けるために知っておきたいことをわかりやすくお伝えします。

脊柱管狭窄症とは

脊柱管狭窄症の原因・間欠性跛行の経過・楽になるためのポイントを示した図解

背骨の中には神経が通るスペースがあります。加齢などによって椎間板や椎間関節、靱帯などが変化し、このスペースが狭くなることで、お尻や脚に痛みやしびれが出ることがあります。

特徴的なのが「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」です。

歩いていると、お尻や太もも、ふくらはぎなどに痛みやしびれが出てきますが、座ったり少し前かがみになって休むと楽になり、また歩けるようになります。

腰を反らすと症状が出やすくなったり、少し前かがみになると楽になったりする方もいます。

脊柱管狭窄症は必ず進行するのでしょうか?

私は以前、「脊柱管狭窄症は進行性の病気」と学びました。これは完全な間違いではありません。

加齢に伴う背骨の構造的な変化が進むことはあります。一方で、背骨の変化と痛みやしびれの経過は必ずしも同じではありません。

2017年に発表された、すぐに手術を必要としない中等度の腰部脊柱管狭窄症146人を対象にした研究では、約3.3年後の脚の痛みは次のようになりました。

脚の痛みの変化割合
改善した32%
ほぼ変わらない55%
悪化した13%

つまり、87%の方では、約3.3年後も脚の痛みは悪化していませんでした。

また、日本で34人を平均11.1年間追跡した研究でも、約30%で改善、約30%で大きな変化なし、約30%で悪化という結果でした。

ただし、「87%は脊柱管そのものが進行しなかった」という意味ではありません。あくまで症状の経過を調べた研究です。また、狭窄が強い場合や重い神経症状がある場合などでは経過が異なる可能性があります。

そのため「必ず進行する」と決めつける必要はありませんが、「放っておいても大丈夫」と考えるのも適切ではありません。

ゴルフができなくなった50代男性

初めて来院された頃は、10mほど歩くことも難しく、10分程度座っていることもつらい状態でした。

左のお尻に強い痛みがあり、太ももの外側から後ろ、ふくらはぎ、足先までしびれを感じていました。

しかし、一番のお悩みは痛みそのものではありませんでした。

「もう一生、ゴルフができなくなるかもしれない」

大好きなゴルフに行けないことが、とてもつらかったそうです。

趣味は単なる遊びではなく、その人にとって大切な楽しみや生きがいになっていることがあります。

私は診断名だけを見るのではなく、「何に困っているのか」「何をできるようになりたいのか」を大切にしています。

個人の感想です。すべての方が同じ経過ではございません。

腰だけではなく身体全体を確認しました

この方の場合、腰だけでなく、立ち方、歩き方、股関節、足首、足部、体幹の使い方などを確認しました。

足元では、立った時に足指をうまく使えていない「浮指」の状態もみられました。

ただし、浮指が脊柱管狭窄症の原因という意味ではありません。歩きやすさや身体の使い方を考えるうえで、足元も確認したということです。

当院では、狭くなった脊柱管そのものを整体で広げることはできません。

病院での検査や治療が必要なものは医療機関で診てもらい、そのうえで、腰を反らしすぎていないか、股関節や足首が動きにくくなっていないか、身体に必要以上の力が入っていないかなどを確認し、動きやすくするためのサポートを行います。

ゴルフを続けるために意識したいこと

大切なのは「痛くなるまで頑張る」ことではありません。

この方にもお伝えしたのが、「先に休む」という考え方です。

たとえば30m歩くとしびれが強くなるなら、20m程度で一度休みます。症状が落ち着いたら、また歩きます。

ゴルフでも全部歩くことにこだわらず、カートを利用しながら楽しむ方法があります。

無理のない範囲で活動を続けること、腰を反らしすぎないこと、股関節や足首の動きを保つことも大切です。

運動中に痛みやしびれが強くなる場合は、無理に続けないでください。

このような症状は医療機関を優先してください

脊柱管狭窄症では、整体やセルフケアより医療機関での評価を優先した方がよい場合があります。

特に注意したいのは、急に脚の力が入りにくくなった、排尿や排便がしにくい・漏れるようになった、股の間やお尻周辺の感覚がおかしい、歩行が急に難しくなった場合などです。

このような症状がある場合は、早めに整形外科などの医療機関へ相談してください。

よくある質問

Q
脊柱管狭窄症でもゴルフはできますか?
A

診断されたからといって、すべての方がゴルフをやめる必要があるわけではありません。症状や筋力、歩行能力などによって異なるため、症状が強い場合は主治医に相談してください。カートや休憩を上手に使う方法もあります。

Q
歩いた方がいいですか?安静にした方がいいですか?
A

長期間まったく動かないことが必ずしもよいとは限りません。一方、強い痛みやしびれを我慢して歩き続ける必要もありません。症状が強くなる前に休む「先に休む」という方法もあります。

Q
ストレッチや筋トレはした方がいいですか?
A

適切な運動は保存的な対応の一つですが、状態によって内容は変わります。腰を反らす運動で症状が強くなる方もいますので、痛みやしびれが強くなる運動は無理に続けないでください。

Q
脊柱管狭窄症は必ず進行しますか?
A

背骨の加齢性変化が進むことはありますが、症状が必ず悪化するとは限りません。中等度の症状を対象にした研究では、約3.3年後に脚の痛みが悪化した人は13%でした。ただし、重症度によって経過は異なります。

Q
脊柱管狭窄症は治りますか?整体ではどんなことをしますか?病院のリハビリとはどう違いますか?
A

狭くなった脊柱管そのものを整体で元に戻すことはできません。ただし、痛みやしびれが軽くなったり、歩きやすくなったりする方もいます。

病院では画像や神経の状態を確認し、薬・注射・リハビリ・手術などを検討します。

当院では、病院での診断を大切にしながら、姿勢・歩き方・股関節・足首などを確認し、日常生活や趣味を続けやすい身体づくりをサポートします。

まとめ

脊柱管狭窄症では、背骨の構造的な変化が進むことはあります。しかし、症状まで必ず悪化していくわけではありません。

大切なのは、診断名だけで将来を決めてしまわないことです。

「どれくらい歩けるのか」「どの姿勢で症状が出るのか」「何をすると楽なのか」、そして「これから何を続けたいのか」を考えていきます。

今回の方にとって、それは大好きなゴルフでした。

症状が強い場合や筋力低下、排尿・排便の異常などがある場合は、まず医療機関で状態を確認してください。そのうえで、身体の動きや姿勢についてお困りでしたらご相談ください。

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参考文献

  • 『腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021(改訂第2版)』:日本整形外科学会・日本脊椎脊髄病学会
  • 『標準整形外科学 第15版』:井樋栄二・津村弘 監修/田中栄・髙木理彰・松田秀一 編集
  • 『今日の整形外科治療指針 第8版』:土屋弘行・紺野愼一・田中康仁・田中栄・岩崎倫政・松田秀一 編集
  • 『Central lumbar spinal stenosis: natural history of non-surgical patients』:Wessberg P, Frennered K
  • 『The natural clinical course of lumbar spinal stenosis: a longitudinal cohort study over a minimum of 10 years』:Minamide A, Yoshida M, Maio K