
「最近、なかなか寝つけない」
「夜中に何度も目が覚める」
「朝起きても疲れが取れていない」
「夏が終わった頃から、体がだるくて朝がつらい」
「頭痛やめまい、食欲の低下も気になる」
秋になると、このような体調の変化を感じる方がおられます。
夏の厳しい暑さが少し落ち着き、「これで楽になる」と思っていたのに、なぜか9月から10月にかけて体調を崩してしまう。
そんな状態を一般的に「秋バテ」と呼ぶことがあります。
秋バテは正式な病名ではありません。夏の終わりから秋にかけて感じる、だるさ、疲労感、食欲低下、睡眠の乱れなどをまとめて表す言葉として使われています。
そして、秋に眠れなくなる原因を「自律神経が乱れているから」と一つだけに決めることもできません。
残暑、朝晩の気温差、夏に蓄積した睡眠不足、活動量の低下、光を浴びる時間の変化、ストレスなど、いくつもの要因が重なっていることがあります。
この記事では、秋になって「眠れない」「疲れが取れない」と感じる理由と、ご自宅でできる対策についてわかりやすくお伝えします。
不眠そのものについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
- 秋になってから寝つきが悪くなった方
- 夜中に何度も目が覚め、朝スッキリしない方
- 夏の疲れが残り、だるさや疲労感が続いている方
- 季節の変わり目に頭痛やめまい、食欲低下などを感じる方
- 秋の不調と自律神経・睡眠の関係を知りたい方
秋バテで「眠れない・疲れが取れない」と感じるのはなぜ?
秋になると必ず不眠になるわけではありません。
むしろ大切なのは、季節の変化によって「これまでと同じ生活をしていても、体にとっては環境が変わっている」ということです。
特に9月から10月頃は、昼間はまだ暑いのに朝晩は涼しくなるなど、一日の中でも気温が大きく変化します。
夏の間に寝苦しい夜が続いていた方では、睡眠不足や疲れが残ったまま秋を迎えていることもあります。
そこへ仕事や家事、子育て、季節の変わり目のストレスなどが重なることで、
- 朝起きてもスッキリしない
- 夜になっても頭が休まらない
- 寝つくまで時間がかかる
- 夜中に目が覚める
- 日中に体がだるい
- 頭痛やめまいを感じる
- 肩や首、背中がこわばる
- 食欲が落ちる
といった不調を感じることがあります。
もちろん、これらがすべて「秋バテ」で説明できるわけではありません。
不調が長く続く場合や症状が強い場合には、季節のせいと決めつけないことも大切です。
原因① 夏の睡眠不足や疲れが残っている
真夏は夜になっても気温が高く、寝室が暑かったり湿度が高かったりすると、眠りにくくなることがあります。
エアコンを使っていても、「暑くて目が覚める」「冷えすぎて目が覚める」「朝起きても体が重い」ということがあります。
さらに、暑さのため外へ出る機会が減り、日中の活動量が少なくなっていた方もいるでしょう。
このような生活が何週間も続いた後に秋を迎えると、気温が下がったからといって体調がすぐに元へ戻るとは限りません。
「秋になって急に悪くなった」と思っていても、実際には夏から続いていた睡眠不足や生活リズムの変化が影響している可能性もあります。
原因② 朝晩と昼間の気温差
秋は服装が難しい季節です。
朝は肌寒かったのに、昼になると汗をかくほど暑くなり、夕方からまた急に涼しくなることがあります。
私たちの体は、暑ければ汗を出したり皮膚の血流を変えたりしながら、体温を一定の範囲に保っています。
自律神経も、このような体温調節に関係しています。
そのため季節の変わり目は、「自律神経だけが悪い」というより、外の環境に合わせて体がさまざまな調節を続けている時期と考えるとわかりやすいでしょう。
外は暑いのにスーパーや電車の中は寒い、夜は薄着のまま寝てしまう、といったこともあります。
カーディガンなど温度調節のできる服を一枚持っておく、寝室を暑すぎず寒すぎない状態にするなど、小さな工夫も大切です。
原因③ 光を浴びる時間と生活リズムの変化
睡眠を考えるうえで、意外と大切なのが「夜」よりも「朝から昼間の過ごし方」です。
私たちの体には、およそ一日の周期で睡眠と覚醒などを調節する体内時計があります。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、日中にできるだけ光を浴びることは体内時計の調節につながり、夜の入眠を促すことが示されています。
秋になると夏より日照時間が短くなり、朝も少しずつ暗くなってきます。
さらに、暑いからと一日中室内で過ごしていたり、朝起きてもカーテンを閉めたままだったりすると、日中に十分な光を浴びる機会が少なくなることがあります。
「眠れないから夜だけ何とかしよう」とするのではなく、朝起きてカーテンを開ける、日中に少し外へ出ることから始めてみてください。
原因④ 体を動かす機会が減っている
夏は熱中症予防のため、外出や運動を控えていた方も多いと思います。
もちろん、暑い時間帯に無理をして運動する必要はありません。
しかし、体をほとんど動かさない生活が続くと、日中と夜のメリハリが少なくなります。
厚生労働省の睡眠ガイドでも、適度な運動習慣は睡眠の改善に役立つ生活習慣の一つとして考えられています。
激しい運動である必要はありません。
涼しくなってきた朝や夕方に歩く、買い物まで少し遠回りする、自宅で軽く体操をする程度からでも構いません。
大切なのは「疲れ果てるほど運動すること」ではなく、自分の体力に合わせて日中に体を動かすことです。
原因⑤ 「眠らなければ」と考えすぎている
不眠で悩んでいる方とお話をしていると、「今日は7時間寝ないといけない」「また夜中に起きたらどうしよう」「明日の仕事があるから早く眠らなければ」と、睡眠そのものがプレッシャーになっていることがあります。
眠ろう、眠ろうと頑張るほど頭が冴えてしまった経験はありませんか?
日本睡眠学会でも、不眠が長く続くと「十分に眠らなければならない」という睡眠への期待や不安そのものが、不眠の悩みを強める場合があると説明しています。
睡眠時間だけを毎日厳しく採点する必要はありません。
途中で一度目が覚めたとしても、「また起きてしまった」ではなく、「まだ休める時間はある」くらいに考えてみてください。
睡眠を完璧にしようとしないことも、とても大切です。
秋バテで眠れないときに見直したい5つの習慣
ここからは、ご自宅で取り組みやすいものを5つに絞ります。
① 朝起きたら光を浴びる
まず最初に見直してほしいのが朝です。
起きたらカーテンを開けて、できるだけ自然な光を取り入れてください。
可能であれば午前中に少し外へ出るのもよいでしょう。
「夜に眠れないから夜だけ対策する」のではなく、朝から睡眠の準備は始まっていると考えてください。
ただし、朝6時や7時など特定の時間でなければ意味がないわけではありません。
生活時間に合わせながら、起床後から日中に光を浴びる習慣を作ることが大切です。
② 昼間に軽く体を動かす
暑い夏に運動量が減っていた方は、涼しくなってきたら少しずつ活動量を戻していきましょう。
ウォーキング、軽い自転車、ラジオ体操、ストレッチなどでも構いません。
最初から30分、1時間と頑張る必要はありません。
体力が落ちている方なら、まず5分から10分歩くところからでも十分です。
体調が悪い日に無理をしたり、動悸や息苦しさ、強いめまいなどがある状態で運動を続けたりする必要はありません。その場合は、まず医療機関に相談してください。
③ 寝る1~2時間前を目安に入浴する
「疲れているからシャワーだけ」という日が続いていませんか?
入浴によって一度体が温まった後、寝る頃に体から熱が逃げていくことは、眠りに入るための自然な体温変化と関係しています。
厚生労働省も、就寝の約1~2時間前に入浴して体を温めてから寝床に入ることを、良質な睡眠につながる方法の一つとして紹介しています。
ただし、熱すぎるお湯に長時間入る必要はありません。
「気持ちいい」と感じられる温度で、無理のない範囲で入浴してください。
④ 夜のスマホ・カフェイン・寝酒を見直す
寝る直前までスマートフォンを見続けている方は、一度使い方を見直してみてください。
夜間に強い光を浴び続けることは、睡眠と覚醒のリズムに影響する可能性があります。
厚生労働省は、寝室にスマートフォンやタブレット端末を持ち込まず、できるだけ暗い環境で眠ることを勧めています。
カフェインにも注意が必要です。
コーヒーだけではなく、緑茶、紅茶、エナジードリンクなどにも含まれます。カフェインの影響には個人差がありますが、夕方以降の摂取は夜の睡眠に影響しやすいため、眠れない方は飲む時間を少し早めてみましょう。
また「お酒を飲むと眠れる」という方もいますが、寝酒は途中で目が覚めたり、睡眠の質を低下させたりする可能性があります。
⑤ 朝晩の気温差に合わせて調整する
秋は「冷やさないこと」だけを意識すればよいわけではありません。
暑すぎても寒すぎても眠りにくくなります。
大切なのは、自分が心地よく眠れる寝室環境を作ることです。
朝晩が冷えるようになってきたら薄手の掛け物を準備する、暑さが残る日はエアコンを上手に利用するなど、その日の気温に合わせて調整してください。
「9月だからエアコンを使ってはいけない」「秋だから厚着しないといけない」と季節だけで決める必要はありません。
その日の気温と自分の体調を基準にしてください。
食事も「特別なもの」より生活リズムを大切に
睡眠のために、特定の食品やサプリメントを大量に摂る必要はありません。
まず大切なのは、食事時間が極端に乱れていないか、朝食を抜いて夕食だけ大量に食べるような生活になっていないかを振り返ることです。
ご飯、魚や肉、卵、大豆製品、野菜、海藻類などを組み合わせ、できる範囲でバランスよく食べてください。
朝食は、一日の生活リズムを作るきっかけにもなります。
食欲がない方なら、最初からたくさん食べる必要はありません。味噌汁や卵、少量のご飯など、食べられるものから始めてもよいでしょう。
一方で、「鉄を飲めば眠れる」「マグネシウムを摂れば不眠が治る」というように、一つの栄養素だけで考えないようにしてください。
鉄不足などが気になる場合には、自己判断で大量のサプリメントを飲むのではなく、必要に応じて医療機関で血液検査を受けることをおすすめします。
秋バテだと思って放置しない方がよい症状
ここはとても大切です。
「季節の変わり目だから仕方がない」と考えていた症状の背景に、睡眠障害や内科的な病気などが隠れていることもあります。
次のような場合は、一度医療機関への相談をご検討ください。
- 強い倦怠感が続いている
- 原因のわからない体重減少がある
- 発熱が続いている
- 動悸や息苦しさが強い
- 強いめまいや失神がある
- 日中に我慢できないほど眠くなる
- 大きないびきや睡眠中の無呼吸を指摘された
- 気分の落ち込みが続いている
- 不眠が続き、仕事や家事など日常生活に支障が出ている
厚生労働省も、睡眠不足や「眠っても休めた感じがしない」という状態の背景には、睡眠時無呼吸症候群をはじめとする睡眠障害などが隠れている可能性があるとして、必要に応じた医療機関への相談を勧めています。
当院でお手伝いできること
眠れない状態が続くと、「また今日も眠れないかもしれない」という不安が強くなり、体も無意識に緊張しやすくなります。
肩や首に力が入り、呼吸が浅くなったり、寝る前になっても頭の中で考え事が止まらなかったりする方もおられます。
おおくま整骨院では、不眠そのものを診断・治療するのではなく、体の緊張や生活習慣、日中の活動量、呼吸、ストレスなども確認しながら、体が休みやすい環境づくりを一緒に考えています。
また、食事について気になる方には、分子栄養学の考え方も参考にしながら、普段の食事内容を確認することがあります。
ただし、睡眠時無呼吸症候群やうつ病、甲状腺疾患、貧血など医療機関での検査や治療が必要と考えられる場合には、整体だけで対応するのではなく、医療機関への相談をおすすめしています。
整体でできることと、医療機関で確認すべきことを分けて考えることが大切です。
よくある質問
- Q秋になって急に眠れなくなりました。秋バテでしょうか?
- A
秋バテの可能性だけで決めることはできません。残暑や気温差、夏からの睡眠不足、ストレス、運動量や生活時間の変化などが重なっていることがあります。まず生活リズムを整え、それでも不眠が続く場合は医療機関への相談もご検討ください。
- Q夜中に何度か目が覚めます。問題がありますか?
- A
年齢とともに睡眠は浅くなりやすく、途中で目が覚めること自体が直ちに異常というわけではありません。目覚めた回数だけで判断せず、日中の眠気や疲労感、生活への支障があるかも確認してください。強い症状が続く場合は医療機関へ相談しましょう。
- Q6時間くらいしか眠れません。もっと眠った方がいいですか?
- A
必要な睡眠時間には個人差があります。「必ず8時間眠らなければ」と考えすぎる必要はありません。睡眠時間だけではなく、朝の目覚めや日中の眠気、疲労感なども一緒に考えることが大切です。
- Q睡眠薬を飲むのが怖いのですが大丈夫でしょうか?
- A
睡眠薬には複数の種類があり、症状や年齢、持病、ほかに服用している薬などによって選択が異なります。自己判断で開始・中止・増減するのではなく、処方した医師に相談してください。日本睡眠学会でも、安全性を考えながら適切に使用することが重要とされています。
- Q眠れないときは布団の中で頑張って寝た方がいいですか?
- A
「早く眠らなければ」と頑張るほど緊張してしまう方もいます。眠れないことへの不安を強くしすぎず、時計を何度も確認しないことも大切です。不眠が長期間続き、日常生活に支障がある場合には医療機関へ相談してください。
まとめ|秋は「頑張って眠る」より生活のリズムを整える
秋バテは正式な病名ではありません。
それでも、夏の暑さが終わり、朝晩の気温差が大きくなるこの時期に、「なんとなく体がだるい」「眠りが浅い」「朝起きても疲れている」「食欲が落ちてきた」という変化を感じる方はおられます。
そんなとき、特別な健康法をたくさん始める必要はありません。
- まずは朝起きて光を浴びる
- 日中に少し体を動かす
- 夜はお風呂に入る
- 夕方以降のカフェインや寝酒を見直す
- 寝る直前までスマートフォンを見続けない
そして、その日の気温に合わせて寝室や服装を調節する。
このような基本的なことから一つずつ始めてみてください。
そして何より、「今日こそ絶対に眠らないと」と睡眠を頑張りすぎないことも大切です。
眠れない日があっても、それだけで体がおかしくなったわけではありません。
季節が変わる時期だからこそ、体の声を聞きながら少しゆっくり過ごしてみてください。
それでも不眠や強い疲労感が続く場合には、「秋バテだから」と我慢せず、必要に応じて医療機関へ相談しましょう。
体の緊張や生活習慣、自律神経に関することでお困りの場合には、おおくま整骨院でも一緒に考えさせていただきます。

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参考文献・参考資料
- 厚生労働省『健康づくりのための睡眠ガイド2023』
- 厚生労働省『睡眠対策』
- 日本睡眠学会『睡眠障害の基礎―不眠症の治療』
- 日本睡眠学会『睡眠薬の安全で安心な使用法について』
- 『「脳の疲れ」がとれる生活術』有田秀穂
- 厚生労働省『健康づくりのための睡眠ガイド2023』




