
毎年、受験シーズンになると、試験を控えた学生さんが身体の調整に来院されます。
以前、受験前日に来院された学生さんから、こんな質問をいただきました。
「明日が受験なんです。何かやっておくことはありますか?」
「当日は何を食べたらいいですか?」
受験前は本人だけでなく、ご家族も心配になりますよね。
私は柔道整復師として、自律神経や分子栄養学の視点からも身体をみています。
そこで大切にしているのが、睡眠・食事・生活リズムといった「身体の土台」です。
受験当日に慌てて特別なことをするより、普段のコンディションを整えておくことが大切です。
今回は、受験前日から当日までに気をつけたいことを、わかりやすくお伝えします。
- 受験を控えている学生さん
- 受験生を支えているご家族
- 勉強しているのに集中が続かない方
- 朝起きられない、疲れやすい方
- 受験当日の食事に迷っている方
受験前日は睡眠と生活リズムを大切に
「明日は試験だから、今日は8時に寝なさい」
これは必ずしもおすすめしません。
普段12時に寝ている人が、突然8時から布団に入っても眠れないことがあります。
眠れないと、「早く寝ないと」「明日起きられなかったらどうしよう」と余計に焦ってしまいます。
大切なのは、受験前日だけ急に生活を変えることではありません。
できれば数日前から起床時間や就寝時間を整え、前日も普段に近い時間に眠るようにしましょう。
そして前日の夜まで詰め込むより、身体と頭を休ませることも受験対策の一つです。
受験生の集中力を支える食事と栄養
受験生にとって、勉強と同じくらい大切にしてほしいのが、毎日の食事です。
脳が働くためにはエネルギーが必要ですし、身体の調子を整えるためには、たんぱく質やビタミン、ミネラルなども欠かせません。
特別な食品を探すより、普段の食事で必要な栄養を補うことが大切です。
朝食を抜かず、食べ慣れたものを
緊張すると、「朝は食欲がない」という学生さんもいます。
しかし試験は朝から長時間続きます。
朝食を食べることは、午前中に活動するためのエネルギーや栄養を補う意味があります。
子どもや若者を対象とした研究でも、朝食を食べた場合は、朝食を抜いた場合と比べて、同じ午前中の注意力や記憶などで良い結果がみられた研究があります。
ただし、「この朝食を食べれば点数が上がる」というものではありません。
受験当日に大切なのは、普段食べ慣れた朝食を食べることです。(できれば和食をおすすめします)
例えば、
- ご飯
- 卵や魚
- 味噌汁
- バナナなどの果物
これくらいでも十分です。
糖質だけでなく、たんぱく質も組み合わせる
ここは誤解してほしくありません。糖質は悪者ではありません。
ブドウ糖は脳にとって重要なエネルギー源です。
受験生が糖質を極端に減らす必要はありません。
ただ、「菓子パン+甘い飲み物」「おにぎりだけ」「バナナだけ」というように糖質だけで終わらせず、卵、魚、肉、大豆製品なども組み合わせてほしいと思います。
例えば、おにぎりに卵や味噌汁を組み合わせるだけでも、糖質に加えてたんぱく質などを補える、バランスのよい朝食になります。
またビタミンB1などのビタミンB群は、身体が食べたものからエネルギーを作る代謝に関係しています。
だからこそ、単品だけではなく、普段からいろいろな食品を食べることが大切です。
頭が良くなる魔法の食べ物はない
ここは少し強く言います。
前日に青魚を食べたから、翌日の記憶力が突然上がるわけではありません。
チョコレートを食べれば、急に集中力が高くなるわけでもありません。
分子栄養学で大切なのは「魔法の食品」を探すことではなく、身体に必要な材料を普段から不足させないことだと私は考えています。
例えば、
- たんぱく質
- ビタミンB群
- 鉄
- DHAなどの脂肪酸
こうした栄養素は、身体や脳が働くためのさまざまな仕組みに関係しています。
だから受験対策は、試験当日だけではありません。
数週間、数か月という普段の食事が土台になります。
集中力が続かないときは身体の状態にも注目
当院ではここをとても大切にしています。
勉強しようと思っているのに、「頭がボーッとする」「すぐ疲れてしまう」「朝が起きられない」「立ちくらみがする」「集中が続かない」こんな学生さんもいます。
もちろん原因は一つではありません。
睡眠不足、精神的な緊張、運動不足、食事量など、いろいろな要因が考えられます。
その中の一つとして、鉄欠乏性貧血など身体の問題が隠れていることもあります。
鉄欠乏性貧血では、疲労感や集中しづらさなどがみられることがあります。
特に月経のある女子で、疲れやすさ、息切れ、立ちくらみなどが続いている場合は、「受験だから疲れているだけ」と決めつけず、医療機関に相談することも大切です。
ただし、症状だけで鉄不足と判断して、鉄のサプリメントを自己判断で大量に摂ることはおすすめしません。
受験当日の食事で気をつけたいこと
受験当日は、緊張でいつもより胃腸が敏感になる学生さんもいます。
そんな日に大切なのは、栄養をたくさん摂ろうと頑張ることではなく、食べ慣れたものを無理なく食べることです。
朝食だけでなく、昼食や休憩時間の補食についても、前もって考えておきましょう。
前日・当日はいつもの食事を基本に
受験当日に突然、「今日から玄米にしよう」「身体に良さそうだからプロテインを飲もう」「野菜をたくさん食べよう」と変える必要はありません。
特に緊張するとお腹が痛くなったり、下痢をしたり、お腹が張ったりする人は、普段食べ慣れたものが安心です。
そして毎年言いたくなるのが、「受験に勝つ!」と前日の夜に大盛りのカツ丼を食べなくても大丈夫です。(笑)
脂っこい食事で胃がもたれやすい人は、いつもの食事にしてください。
試験前日は「特別なことをしない」。これは食事でも同じです。
昼食と補食のおすすめ
午後まで試験が続く場合は、昼食も大切です。
おすすめは難しく考えなくても大丈夫です。
- おにぎり
- 卵焼き
- 鮭
- 鶏肉
- 豚肉
など、普段食べているお弁当で十分です。
空腹が心配な場合は、試験会場のルールを確認したうえで、バナナや小さなおにぎりなど、食べ慣れたものを補食として準備しておくのも一つです。
「集中力を上げるために食べる」というより、空腹で試験に集中できなくなるのを避けるための準備と考えてください。
受験前の身体の緊張が強い方へ
受験前になると長時間座って勉強する時間が増えます。
肩や首がガチガチになったり、呼吸が浅く感じたり、緊張で胃腸の調子を崩したりする学生さんもいます。
当院では、受験生の成績を上げるために整体をするわけではありません。
身体の緊張が強い方に対して、その方の状態に合わせて無理のない身体の調整を行い、少しでも落ち着いた状態で本番を迎えられるようサポートしています。
また、食事や睡眠、生活リズムなどについても一緒に確認しています。
受験前の緊張をやわらげる簡単セルフケア
試験前は、緊張で肩に力が入ったり、呼吸が浅くなったりすることがあります。
そんなときにおすすめなのが、肩をすくめてから一気に力を抜く方法です。
やり方は簡単です。
- 椅子に座り、両足を床につけます。
- 肩を耳に近づけるように、ぎゅーっと持ち上げます。
- 3秒ほど力を入れたら、ストンと肩を落とします。
- 肩の力が抜けた感覚を味わいましょう。
これを2〜3回繰り返してください。
次に、鼻から軽く息を吸い、口からゆっくり吐いてみましょう。
大切なのは、無理に大きく呼吸することではなく、楽に呼吸できる状態をつくることです。
試験の直前や、勉強の合間にも簡単にできます。
「緊張してはいけない」と考えるよりも、「少し身体の力を抜いてみよう」と意識するのがおすすめです。
よくある質問
- Q受験前日は何時に寝るのがいいですか?
- A
普段より何時間も早く寝ようとすると、かえって眠れず焦ることがあります。できれば数日前から生活リズムを整え、前日は普段に近い時間に寝ましょう。中高生は8〜10時間の睡眠が目安です。前日だけ頑張るより、普段から十分な睡眠を確保することが大切です。
- Q緊張して朝ごはんが食べられない場合はどうしたらいいですか?
- A
無理にたくさん食べる必要はありません。おにぎり、卵、味噌汁、バナナなど、普段食べ慣れたものを少量から試しましょう。朝食は午前中に必要なエネルギーを補う役割があります。緊張で胃腸が敏感になる方は、食事の量や時間にも余裕を持つことが大切です。
- Q試験前にチョコレートを食べると集中力が上がりますか?
- A
チョコレートを食べれば、急に記憶力や集中力が高まるわけではありません。空腹時に少量食べるのは一つの方法ですが、食べすぎには注意しましょう。試験直前の特別な食品よりも、普段から糖質・たんぱく質・ビタミン・ミネラルなどをバランスよく摂ることが大切です。
- Q疲れやすい受験生は鉄のサプリメントを飲んだ方がいいですか?
- A
疲れやすさや集中力の低下には、睡眠不足やストレスのほか、鉄欠乏性貧血などが関係する場合もあります。特に月経量が多い女子学生で、立ちくらみや息切れが続く場合は注意が必要です。ただし、症状だけでは鉄不足と判断できません。血液検査などで確認し、必要に応じて補充を考えましょう。
- Q受験前に整体を受けると集中力が上がりますか?
- A
整体で試験の点数が上がるとは言えませんが、長時間の勉強による首や肩のこり、身体の緊張でお悩みの方には、やさしい身体の調整が役立つ場合があります。当院では呼吸のしやすさや睡眠、生活習慣にも目を向け、落ち着いた状態で受験を迎えられるようサポートしています。
まとめ
受験前日や当日に大切なのは、特別なことをするのではなく、普段の生活リズムを大きく崩さないことです。
睡眠を十分にとり、食べ慣れた食事で必要な栄養を補い、身体の緊張をやわらげることも受験準備の一つです。
これまで積み重ねてきた努力を発揮できるように、身体のコンディションも大切にしてくださいね。

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参考文献
- 『健康づくりのための睡眠ガイド2023』:厚生労働省
- 『日本人の食事摂取基準(2025年版)』:厚生労働省
- 『The Effects of Breakfast and Breakfast Composition on Cognition in Children and Adolescents: A Systematic Review』:Katie Adolphusほか
- 『Iron – Fact Sheet for Health Professionals』:NIH Office of Dietary Supplements
- 『Thiamin – Fact Sheet for Health Professionals』:NIH Office of Dietary Supplements




