

中学校の教員をしています。
子供との関係、親との関係で、毎日、ストレスが強すぎて、「うつ病」になってしまいました。
食欲不振で10kg痩せて、円形脱毛症になってしまいました。
職場である学校にも行けなくなり、この先、どうなってしまうんだろうと不安になります。
できたら職場復帰したいと思っています。
「もう一度、仕事に戻れるのだろうか…」
うつ状態や強いストレスで休職すると、多くの方がそのような不安を抱えます。
今回ご紹介するのは、中学校の教員をされていた50代女性の症例です。
生徒や保護者との関係に悩み続け、ある日突然、涙が止まらなくなりました。
その後、
- 学校へ行けなくなった
- 食欲がなくなり10kg以上体重が減った
- 頭痛やめまい、吐き気が続いた
- 円形脱毛症が見つかった
という状態になり、心療内科でうつ状態と診断されました。
「できればもう一度、教壇に立ちたい」
その想いを持ちながらも、体も心も限界に近い状態でした。
その後、医療機関での治療を続けながら、身体の回復、体力づくり、考え方や感情との向き合い方に少しずつ取り組み、最終的には復職することができました。
もちろん、すべての方が同じ経過をたどるわけではありません。
しかし、
「今はとても働ける状態ではない」
「復職できる気がしない」
「このまま一生治らなかったらどうしよう」
と悩んでいる方にとって、何か一つでも希望やヒントになれば幸いです。
教員や医療職、介護職など責任感の強い方では、強いストレスが続くことで心身の不調が現れることがあります。
社会適応障害について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
どのようなお悩みでしたか?
今回ご紹介するのは、中学校の教員をされていた50代女性の症例です。
生徒や保護者との関係、職場での人間関係など、日々大きな責任とストレスを抱えながら働いておられました。
もともと真面目で責任感が強く、自分のことよりも周りを優先することが多かったそうです。
しかし、長期間にわたって心身に負担がかかり続けた結果、ある日突然、電車の中で涙が止まらなくなりました。
頭痛や吐き気、めまいも強くなり、その日から学校へ行くことができなくなったそうです。
病院では循環器や呼吸器に大きな異常は見つからず、その後、心療内科でうつ状態と診断されました。
「少し休めば元に戻ると思っていた」
そう話されていましたが、休養を続けても思うように回復せず、「また仕事に戻れるのだろうか」「このまま一生治らなかったらどうしよう」という不安を抱えておられました。
さらに食欲不振で体重は10kg以上減少し、円形脱毛症も見つかりました。
心だけでなく身体にも大きな負担が現れていた状態でした。
当時の症状
- 学校へ行けない
- 涙が止まらない
- 食欲不振で10kg減少
- 円形脱毛症
- 頭痛
- めまい
- 吐き気
なぜ休んでも回復しなかったのか?
休職すると職場のストレスから離れることができます。もちろん休養はとても大切です。
しかし実際には、「仕事を休んでいるのに良くならない」「ゆっくりしているのに元気が出ない」という方も少なくありません。この方も同じでした。
学校へ行かなくなったことでストレスは減りましたが、身体は思うように回復しませんでした。

当院では、症状は「ストレスの大きさ」と「身体や心の耐性」のバランスで考えています。
ストレスが大きくても耐性が高ければ耐えられることがあります。
反対に、ストレスが減っても耐性が大きく低下していると、なかなか回復できないことがあります。
この方の場合も、長期間にわたり頑張り続けた結果、心も身体もエネルギー不足の状態になっていたと考えられました。
ストレスが減ってもエネルギーが戻らなかった
休職によって学校へ行く必要はなくなりました。
しかし、
- 睡眠の質が低下していた
- 食欲が落ちていた
- 10kg以上体重が減っていた
- 常に緊張していた
- 体力が大きく低下していた
という状態は続いていました。
スマートフォンで例えるなら、充電がほとんど残っていない状態です。
アプリを閉じても、すぐに充電が満タンになるわけではありません。
人の身体も同じです。
ストレスが減ることは大切ですが、それだけで失われた体力や回復力がすぐに戻るわけではありません。
復職には「休養」以外も必要だった
この方が回復していく中で感じたのは、休養だけでは復職は難しいということでした。
休むことは回復のスタートです。
しかし、その後は
- 睡眠を整える
- 食事を摂れるようにする(特に朝食が大事)
- 少しずつ体力を回復する
- 感情を我慢しすぎる癖に気づく
- 自分を責め続ける考え方を見直す
といった取り組みも必要でした。
実際に復職できた方の多くは、単に症状が落ち着いただけではなく、「もう一度働くための土台」を少しずつ作っています。
この方も身体と心の両面から回復を積み重ねることで、少しずつ前を向ける時間が増えていきました。
復職に向けて取り組んだこと
この方の場合、症状をなくすことだけが目標ではありませんでした。
最終的な目標は、「もう一度、安心して仕事に戻れる状態になること」でした。
そのため、身体と心の両面から少しずつ回復を目指していきました。
①まずは呼吸・睡眠・食欲を整える
最初に取り組んだのは、身体を回復させるための土台づくりでした。
当時は、
- 呼吸が浅い
- 夜中に何度も目が覚める
- 朝から疲れている
- 食欲がない
という状態でした。
まずは整体によって身体の緊張を緩め、呼吸がしやすい状態を目指しました。
すると少しずつ眠れる日が増え、食事も摂れるようになってきました。
うつ状態や強いストレスが続いている方は、まず身体を回復させるためのエネルギーを作ることが大切です。
②体力を少しずつ回復する
睡眠や食事が改善してきた頃から、体力づくりにも取り組みました。
なぜ体力が必要なのか
復職すると、
- 通勤する
- 人と関わる
- 授業をする
- 会議に参加する
など、多くのエネルギーを使います。
症状が落ち着いただけでは、仕事に戻った時に再び体調を崩してしまうことがあります。

そのため当院では、「働ける体力が戻っているか」という視点も大切にしています。
当院で目安にしたこと
この方には、「2時間程度続けて歩ける体力」を一つの目安にしていただきました。
もちろん個人差はありますが、ある程度の体力が戻ってくると、
- 外出への不安が減る
- 自信がつく
- 疲れにくくなる
といった変化がみられることがあります。
実際に少しずつ散歩や外出ができるようになり、表情も明るくなっていきました。
③感情を我慢しすぎる癖を見直す
この方は、とても優しい方でした。
しかしその反面、
- 嫌と言えない
- 断れない
- 自分より相手を優先する
- 我慢してしまう
という傾向もありました。
長期間にわたって感情を抑え続けると、心も身体も大きな負担を抱えることがあります。
そこで、「本当はどう感じているのか」「何を我慢しているのか」を少しずつ整理していきました。
また、自分と相手との境界線を意識し、「相手の問題まで背負いすぎないこと」も大切なテーマになりました。

さらに、自分を大切に扱う感覚(自己尊重感)を育てることにも取り組みました。
④自分を責め続ける考え方を見直す
うつ状態の方に多いのですが、
- 自分が悪い
- もっと頑張らなければ
- 迷惑をかけている
と自分を責め続けてしまうことがあります。
この方も、「私の努力が足りなかった」「もっと頑張れば良かった」と何度も話されていました。
そこで心理ワークを行いながら、出来ていないことではなく、「出来ていること」「少しずつ前進していること」にも特に目を向けられるようサポートしました。
最初は小さな変化でしたが、少しずつ表情が柔らかくなり、「前よりも気持ちが楽になりました」と言われることが増えていきました。
身体の回復と心の回復は別々ではありません。
両方が少しずつ整っていったことで、復職への自信も育っていきました。
円形脱毛症との関係
この方は、うつ状態による休職だけでなく、円形脱毛症も発症されていました。
髪の毛を隠すために工夫をしなければならず、見た目の悩みも大きなストレスになっていたそうです。
ストレスだけが原因ではない
円形脱毛症はストレスだけで起こるものではありません。
現在では、
- 自己免疫との関係
- 遺伝的な要因
- アレルギーとの関係
なども指摘されています。
そのため、円形脱毛症になったからといって、「すべてストレスが原因だった」と決めつけることはできません。
心身の負担が重なっていた可能性
ただ、この方の場合は、
- 強い職場ストレス
- 睡眠不足
- 食欲不振
- 10kg以上の体重減少
- うつ状態による心身の疲労
などが続いていました。
そのため、身体に大きな負担がかかっていた可能性は考えられます。
実際に身体の緊張が和らぎ、睡眠や食欲が改善してくるにつれて、円形脱毛症も少しずつ落ち着いていきました。
医療機関での治療も継続しながら取り組んだ
この方は医療機関での治療も継続されていました。
当院では医療機関での治療を否定するのではなく、必要に応じて並行して受けていただくことを大切にしています。
そのうえで、
- 身体の緊張を和らげる
- 睡眠や食欲を整える
- 体力を回復する
- ストレスへの対処を身につける
といったサポートを行いました。
円形脱毛症だけを見るのではなく、心と身体の状態を含めて整えていくことが大切だと考えています。
復職までの経過
回復は一直線ではありませんでした。
体調が良い日もあれば、不安や落ち込みが強くなる日もありました。
それでも焦らず、一歩ずつ身体と心を整えていくことで少しずつ前へ進むことができました。
初期|起き上がるのもつらい
来院当初は、朝起きることもつらく、外出もほとんどできない状態でした。
頭痛やめまい、吐き気があり、食欲も低下していました。
「このまま仕事に戻れないかもしれない」という不安も強く、将来への希望を持ちにくい時期だったそうです。
まずは無理に頑張ろうとせず、身体を休ませながら睡眠や食事を整えることを優先しました。
中期|睡眠や食欲が改善
少しずつ身体の緊張が和らぎ、睡眠や食欲にも変化が現れてきました。
以前より眠れる日が増え、食事も摂れるようになってきました。
また、「今日は少し調子が良い」「前よりも身体が楽かもしれない」と感じられる日も増えていきました。
もちろん波はありましたが、少しずつ回復の土台ができていった時期でした。
後期|外出や運動ができるようになった
睡眠や食事が安定してくると、少しずつ体力づくりにも取り組めるようになりました。
散歩や外出ができるようになり、以前よりも疲れにくくなっていきました。
また、自分の気持ちや考え方を整理できるようになり、「以前ほど自分を責めなくなった」「少し自信が戻ってきた」という変化も見られました。
身体だけでなく心にも回復の兆しが現れ始めた時期でした。
復職|別の学校へ復職
その後、体力や気力が回復し、別の学校へ復職することができました。
復職後も最初から順調だったわけではありません。
それでも、身体の状態を整えること、無理をしすぎないこと、自分の気持ちを大切にすることを意識しながら仕事を続けられるようになりました。
現在は教員として再び現場に立ち、元気に過ごされています。
身体と心の回復には時間が必要です。
焦らず一歩ずつ積み重ねていくことで、再び前を向けるようになることもあります。
この症例からわかったこと
今回の症例を通して感じたのは、回復や復職は「気合い」や「根性」だけでできるものではないということです。
もちろん個人差はありますが、この方の回復を振り返ると、いくつか大切なポイントがありました。
- 休むことも大切
- 体力も大切
- 感情を我慢しすぎない
- 一歩ずつ回復していく
- 復職を焦らない
よくある質問
- Qうつ病で休職したのですが、病院での治療だけでは不安です。整体と併用した方がいいですか?何が違うのですか?
- A
うつ病やうつ状態で休職されている場合、まずは医療機関での診察や治療を大切にしてください。
整体は、診断やお薬の調整を行う場所ではありません。
当院でできることは、身体の緊張、呼吸の浅さ、睡眠の質、食欲、体力低下など、回復の土台となる部分を整えるサポートです。
病院では医学的な治療を受け、整体では身体面や生活面から回復しやすい状態を目指す、という考え方です。
不安が強い場合は、主治医にも相談しながら併用されると安心です。
- Q円形脱毛症はストレスが原因だと聞きましたが本当ですか?どうやって治るのですか?
- A
円形脱毛症は、ストレスだけが原因とは言い切れません。
自己免疫、遺伝的要因、アレルギー、体質、心身の負担など、いくつかの要因が関係すると考えられています。
そのため、まずは皮膚科など医療機関での診察を受けることが大切です。
当院では、円形脱毛症そのものを治療するのではなく、強い緊張、睡眠不足、食欲不振、慢性的な疲労など、身体にかかっている負担を軽くすることを目指します。
心身の状態が整うことが、結果的に回復を支える一つの要素になる可能性があります。
- Q復職のタイミングはいつがいいのですか?目安などがあれば教えて欲しいです。
- A
復職のタイミングは、必ず主治医や職場と相談して決めることが大切です。
目安としては、
- 睡眠がある程度安定している
- 食事が摂れている
- 日中に活動できる時間が増えている
- 外出しても強く疲れすぎない(2時間連続で歩ける)
- 通勤に近い行動が少しできる
- 不調が出た時の対処法がある
などが参考になります。
症状が少し落ち着いただけで急いで復職すると、再び体調を崩すこともあります。
「働ける体力が戻っているか」を確認しながら、段階的に考えることが大切です。
- Q少しマシになっても、モンスターペアレンツや嫌な上司がいる場所では、またうつになりそうです。どうしたらいいですか?
- A
その不安は自然なものだと思います。
体調が少し回復しても、同じ環境に戻ることを考えると怖くなる方は少なくありません。
大切なのは、ただ我慢して戻るのではなく、
- 相談できる人を作る
- 業務量を調整してもらう
- 苦手な相手との距離を考える
- 境界線を意識する
- ひとりで抱え込まない
という準備をしておくことです。
場合によっては、配置転換や勤務内容の調整が必要なこともあります。
復職は「元の自分に戻ること」ではなく、「無理をしすぎない働き方を作り直すこと」と考えるとよいかもしれません。
- Q自分はストレスには強いと思っていたのですが、なぜこんなことになったのか不思議で涙が止まりません。整体で良くなりますか?
- A
ストレスに強いと思っている方ほど、限界まで我慢してしまうことがあります。
「まだ大丈夫」
「自分が頑張ればいい」
「弱音を吐いてはいけない」と続けているうちに、心より先に身体が限界を知らせてくれることがあります。
整体でうつ病そのものを治すとは言えません。
ただし、身体の緊張、呼吸の浅さ、睡眠の乱れ、食欲低下、疲労感などを整えることで、回復の土台づくりをサポートできる場合があります。
涙が止まらないほどつらい時は、無理に強くなろうとしなくて大丈夫です。
医療機関での治療を大切にしながら、身体と心を少しずつ休ませていくことが大切です。
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まとめ
今回ご紹介した方は、
- 学校へ行けない
- 涙が止まらない
- うつ状態による休職
- 円形脱毛症
という大変つらい状態を経験されました。
しかし、
- しっかり休養を取る
- 身体の回復を優先する
- 少しずつ体力を取り戻す
- 感情や考え方と向き合う
ことを積み重ねながら、最終的には別の学校へ復職されました。
もちろん回復のスピードや経過には個人差があります。
ですが、「もう仕事に戻れないかもしれない」と思うほどつらい時期があっても、少しずつ前へ進める可能性はあります。
もし現在、
- 休職中で不安が強い
- 復職できるか心配
- 病院では異常がないと言われた
- 心と身体の両方がつらい
という方は、一人で抱え込まずにご相談ください。
当院では医療機関での治療を大切にしながら、身体の緊張や睡眠、体力の回復などをサポートしています。
まずはご相談ください。

参考文献
- 『うつ病の認知療法・認知行動療法 治療者用マニュアル』:大野裕
- 『いやな気分よ、さようなら―自分で学ぶ「抑うつ」克服法』:デビッド・D・バーンズ
- 『職場復帰支援(リワーク支援)に関する手引き』:厚生労働省
- 『アダルト・チルドレンと愛着障害』:岡田尊司
- 『円形脱毛症診療ガイドライン2024』:日本皮膚科学会




