
「突然、目の前にギザギザした光が出てきた」
「キラキラしたものが広がって、文字が読みにくくなった」
「しばらくしたら消えたけど、そのあと頭痛がきた」
「頭痛はないけど、これって大丈夫?」
閃輝暗点について、このようなご相談を受けることがあります。
初めて経験すると、かなりびっくりします。
目の前に突然、
キラキラ……
ギザギザ……
ピカピカ……
しかも少しずつ広がっていく。
「え?目がおかしくなった?」「脳の病気?」と心配になるのも当然です。
当院でも、「先生、これ何なんですか?」「目を閉じてもキラキラするんです」「頭痛が来る前に毎回出ます」と相談されることがあります。
閃輝暗点は、片頭痛の「前兆」としてよく知られている症状です。
ただし、「閃輝暗点=全部片頭痛」と決めてしまうのもよくありません。
目の病気や脳血管の病気など、似た症状を起こすものもあるからです。
この記事では、
- 閃輝暗点とは何か
- どんな見え方をするのか
- なぜキラキラ・ギザギザするのか
- そのあと頭痛が起こる理由
- 頭痛が起こらない閃輝暗点
- 片目だけに見える場合
- 飛蚊症との違い
- 出たときにどうすればいいのか
- 医療機関で確認した方がいいケース
について、できるだけ分かりやすくお話しします。
- 閃輝暗点とは?
- 「閃輝暗点」は頭痛の名前ではありません
- 閃輝暗点はどのくらい続くの?
- なぜギザギザした光が見えるの?
- 目を閉じても見えることがあります
- 閃輝暗点のあとに頭痛がくる
- 閃輝暗点が出ても頭痛が来ないことがあります
- 「片目に見える」のか「視界の片側に見える」のか
- 飛蚊症とは違うの?
- 閃輝暗点が出やすいタイミングはある?
- 天気が悪い日に閃輝暗点が出る方もいます
- 首こりが強いと閃輝暗点が出るの?
- 閃輝暗点が出たらどうすればいい?
- スマホで検索し続けなくても大丈夫です
- 閃輝暗点を繰り返す方は「記録」が役立ちます
- 当院では閃輝暗点そのものだけを見ません
- 強く首を揉めば閃輝暗点が治るわけではありません
- 「いつもの閃輝暗点」と思わない方がいい場合
- よくある質問
- まとめ|「キラキラ=怖い病気」と決めつけず、でも初めてなら確認を
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- 参考文献
閃輝暗点とは?
閃輝暗点は、「視界にキラキラした光やギザギザした模様が現れ、見えにくい部分が広がっていく」といった視覚症状です。
人によって表現はいろいろです。
- ギザギザした光
- 稲妻のような光
- キラキラしたもの
- 万華鏡のような模様
- 視界の一部が見えにくい
- 光の輪が広がっていく
- 文字の一部分が読めない
などがあります。

日本頭痛学会によると、片頭痛の前兆では視覚症状が最も多く、前兆を伴う片頭痛では「キラキラした光」「ギザギザした光」「見えづらくなる」といった閃輝暗点が代表的です。
「閃輝暗点」は頭痛の名前ではありません
ここは意外と勘違いされやすいところです。
閃輝暗点そのものが「頭痛の種類」ではありません。
片頭痛で起こることのある、「視覚の前兆」のひとつです。
片頭痛には、「前兆のない片頭痛」と「前兆のある片頭痛」があります。
ですから、片頭痛がある人全員に閃輝暗点が出るわけではありません。
逆に、閃輝暗点が出たあとに、必ず強い頭痛が来るとも限りません。
ここがまた少しややこしいところです。
閃輝暗点はどのくらい続くの?
典型的な片頭痛の前兆では、いきなり視界全部が真っ白になるというより、小さな光や見えにくい部分が現れ、数分かけて少しずつ広がっていくことがあります。
そして多くの場合、前兆症状は5~60分程度で消えていきます。
国際頭痛分類でも、典型的な前兆では「5分以上かけて徐々に広がる」「個々の前兆症状が5~60分続く」ことなどが特徴として挙げられています。
例えば、
最初は視界の真ん中あたりに小さなキラキラ。
↓
少しずつギザギザが大きくなる。
↓
横の方へ移動していく。
↓
20~30分ほどすると消える。
↓
そのあと頭がズキズキしてくる。
という方もいます。
まるで勝手に始まる光のショーです。
もちろん本人は、「ショーはいらんから普通に見せてくれ」という感じですが……。
なぜギザギザした光が見えるの?
閃輝暗点は、一般的な片頭痛の視覚性前兆では「目そのもの」だけの問題というより、脳の視覚を担当する部分が関係していると考えられています。
現在は、脳の後ろ側にある視覚野などで神経活動の変化がゆっくり広がっていく現象が、片頭痛の前兆に関係すると考えられています。
専門的には「皮質拡延性抑制・皮質拡延性脱分極」などと呼ばれる仕組みです。
名前は難しいですが、脳の視覚を担当しているところで、「神経の活動の変化が波のように広がる」くらいのイメージで大丈夫です。
そのため、キラキラした光やギザギザした模様が少しずつ移動したり、広がったりすることがあります。
目を閉じても見えることがあります
これは相談でもよく聞かれます。
「先生、目を閉じてもキラキラしてたんです」目を閉じても見えると、「やっぱり目がおかしい?」と思うかもしれません。
片頭痛の視覚性前兆の場合は、脳の視覚を処理する部分が関係しているため、目を閉じても光や模様を感じることがあります。
もちろん、「目を閉じても見える=絶対に閃輝暗点」という診断方法ではありません。
ただ、閃輝暗点を経験した方が、「目を閉じても消えなかった」と話されること自体は不思議なことではありません。
閃輝暗点のあとに頭痛がくる
典型的なのは、
閃輝暗点
↓
しばらくして消える
↓
片頭痛
という流れです。
頭痛は、
- ズキズキする
- 脈打つように痛む
- 動くとつらい
- 吐き気がする
- 光がまぶしい
- 音がうるさく感じる
といった片頭痛の特徴を伴うことがあります。
日本頭痛学会では、典型的な前兆は通常5~60分続き、その後に頭痛が始まると説明されています。国際頭痛分類では、前兆に伴って、または前兆後60分以内に頭痛が起こることが診断上の特徴のひとつです。
閃輝暗点が出ても頭痛が来ないことがあります
これもよくある質問です。
「キラキラしたけど、頭痛は来なかったんです」「昔は頭痛が来てたのに、最近は閃輝暗点だけです」こういうこともあります。
国際頭痛分類には、「典型的前兆のみで頭痛を伴わないもの」も正式に分類されています。
つまり、「閃輝暗点が出たら必ず片頭痛が来る」というわけではありません。
ただし、今まで経験したことがなく、初めて視覚症状だけが出た場合などは、「頭痛がないから大丈夫」と自己判断せず、一度医療機関で確認しておいた方が安心です。
特に40歳以降で初めてこのような前兆が出た場合や、見えないだけの症状、いつもより極端に短い・長い症状などでは、ほかの病気との区別が重要になります。
「片目に見える」のか「視界の片側に見える」のか
ここは非常に大切です。
閃輝暗点の方から、「右目にキラキラが出ました」と言われることがあります。
ところが実際には、右目だけではなく、「両目で見たときの右側の視野」に出ていることがあります。
本人からすると、「右に見えるから右目」と思いやすいんです。
確認する方法
症状が出たとき、安全な場所にいるのであれば、片方の目を隠してみます。次に反対の目を隠します。
それでも同じ場所にギザギザが見える場合は、両目の視野に症状が出ている可能性があります。
一般的な片頭痛の視覚性前兆は、脳の視覚野が関係するため、両目の視野に影響します。
一方、「片方の目だけ明らかに見えない」「片目だけ暗くなる」「片目だけ視野が欠ける」という症状では、網膜や眼の血流など別の問題との区別が必要になります。網膜片頭痛はありますが比較的まれで、片目だけの視覚症状は一度眼科などで確認することが大切です。
飛蚊症とは違うの?
これもよく混同されます。
閃輝暗点
- キラキラする
- ギザギザする
- 光が広がる
- 視界の一部が見えにくい
- 数分かけて変化する
- 多くは5~60分程度で消える
飛蚊症
- 黒い点が見える
- 糸くずのようなものが見える
- 蚊が飛んでいるように見える
- 目を動かすと一緒についてくる
という違いがあります。
ただし、突然たくさんの黒い点が出た、ピカッと光る症状が急に増えた、視界にカーテンがかかったように見える、という場合は、単なる閃輝暗点と思わず眼科で確認してください。
閃輝暗点が出やすいタイミングはある?
片頭痛にはさまざまなきっかけがあります。
例えば、
- 睡眠不足
- 寝すぎ
- 強いストレス
- ストレスから解放されたとき
- 疲労
- 空腹
- 水分不足
- 生理周期
- 天候や気圧の変化
- 強い光
などです。
ただし、「これをしたら必ず閃輝暗点が出る」というものではありません。
同じ人でも、寝不足だけなら大丈夫、雨だけなら大丈夫。
でも、
寝不足
+
疲労
+
生理前
+
天気の変化
となった日に出る。
ということもあります。
体としては、「今日はメンバー揃いすぎやで」という状態ですね。
ですから、一つの原因だけを探すより、「出た日の共通点」を記録してみる方が分かりやすいことがあります。
天気が悪い日に閃輝暗点が出る方もいます
「台風前に閃輝暗点が出ます」「雨の前になると頭痛と一緒に出ます」という方もいます。
天候の変化は片頭痛のきっかけのひとつになることがあります。
ただ、「気圧が下がった=必ず閃輝暗点」という単純なものではありません。
睡眠、疲労、生理周期、食事、ストレスなどが重なっていることもあります。
首こりが強いと閃輝暗点が出るの?
これも当院では聞かれることがあります。
閃輝暗点がある方の中には、「その日は首がすごくこっていました」「後頭部がガチガチでした」という方もいます。
ただ、「首こりが閃輝暗点を起こしている」と単純に決めることはできません。
片頭痛では、頭痛が起こる前の予兆として頸部の凝りを感じる方もいます。
つまり、首がこったから片頭痛になっただけではなく、片頭痛の一連の変化の中で首こりを感じている可能性もあるということです。
ですから当院では、「首をほぐせば閃輝暗点がなくなる」という見方はしていません。
閃輝暗点が出たらどうすればいい?
まず、慌てて動き回らないことです。
特に運転中なら、安全な場所に車を止めてください。
視界が欠けたり、ギザギザした光が広がった状態で運転を続けるのは危険です。
可能であれば、
- 安全な場所で座る
- 強い光を避ける
- スマホやパソコンを見るのを一旦やめる
- 症状が始まった時間を見る
- 何分で消えたか記録する
- 片目ずつ隠して見え方を確認する
- そのあと頭痛が出たか記録する
といったことをしておくと、医療機関で説明するときにも役立ちます。
頭痛薬や片頭痛治療薬については、使用する薬によって飲むタイミングが異なるため、処方を受けている方は医師から指示されている方法で使用してください。
スマホで検索し続けなくても大丈夫です
閃輝暗点が出ると不安になります。
その気持ちはよく分かります。
でも視界がギザギザしている最中に、「閃輝暗点 脳梗塞」「閃輝暗点 危険」「閃輝暗点 死ぬ」とスマホで検索し続けると、
- 目もしんどい
- 不安も増える
- 頭も痛くなる
なかなか忙しい状態になります。
- まず安全なところで休む
- 症状の時間を確認する
- いつもの閃輝暗点なのか、初めてなのかを見る
それから必要に応じて医療機関へ相談してください。
閃輝暗点を繰り返す方は「記録」が役立ちます
おすすめなのが簡単な頭痛日記です。
- 閃輝暗点が出た日
- 何時ごろ出たか
- 何分続いたか
- どんな見え方だったか
- そのあと頭痛があったか
- 吐き気はあったか
- 光や音がつらかったか
- その日の睡眠
- 食事
- 生理周期
- 天気
- 仕事やストレス
全部書く必要はありません。
「9月3日 15時 ギザギザ20分 その後頭痛」この程度でも十分スタートになります。
何回か記録すると、「あれ?寝不足の翌日に多いな」「生理前と雨が重なった日に多いな」という自分のパターンが見えてくることがあります。名探偵になる必要はありません。
ヒントが少し見つかれば十分です。
当院では閃輝暗点そのものだけを見ません
閃輝暗点は片頭痛の前兆として起こることが多いため、まず医療機関での診断や治療が重要です。
当院で閃輝暗点を診断することはできません。
一方で、実際にご相談を受ける方では、
- 首肩の緊張が強い
- 後頭部が硬い
- 呼吸が浅い
- 睡眠不足が続いている
- 仕事で長時間パソコンを使う
- 食いしばりが強い
- 運動量が少ない
- 生理周期で体調が変化する
- 不安やストレスが続いている
などが重なっていることがあります。
そこで当院では、「閃輝暗点だけを何とかする」というより、その方がどんなときに頭痛を繰り返しているのか、普段どのくらい体が緊張しているのか、睡眠や食事、運動、ストレスはどうなのか、首肩や後頭部、背中、顎、呼吸などにどんな特徴があるのか、といったところまで確認します。
強く首を揉めば閃輝暗点が治るわけではありません
閃輝暗点がある。首もこっている。すると、「首の血流が悪いからや!」と思って強く揉みたくなるかもしれません。
でも閃輝暗点は、そんなに単純な話ではありません。
特に片頭痛の発作中は、強い刺激、光、音、匂いなどがつらく感じる方もいます。
当院では、頭痛の状態を確認しながら、揺らしやSCS、オステオパシーなどの考え方を取り入れ、強い刺激を避けて体全体をみていきます。
「いつもの閃輝暗点」と思わない方がいい場合
閃輝暗点を何度も経験している方は、「あ、また来た」と分かるようになることがあります。
ただし、次のような場合は一度医療機関で確認してください。
- 人生で初めてこのような症状が出た
- 40歳以降になって初めて出た
- いつもの症状と明らかに違う
- 突然、視野が欠けた
- 片目だけ見えなくなった
- 視覚症状が長時間続いて戻らない
- いつもより極端に短い、または長い
- 手足に力が入りにくい
- 顔や手足のしびれが強い
- 言葉が出にくい、ろれつが回らない
- 意識がおかしい
- 突然の激しい頭痛を伴う
特に視覚症状だけで頭痛がない場合は、片頭痛の前兆なのか、一過性脳虚血発作など別の原因なのかを区別することが大切になります。
よくある質問
- Q寝すぎると閃輝暗点が起こることがあるといわれていますが、なぜそうなるのですか?
- A
寝すぎそのものが直接、閃輝暗点を起こすと分かっているわけではありません。
ただ片頭痛では、寝不足だけでなく寝すぎや普段と違う睡眠リズムが発作のきっかけになることがあります。その結果、前兆として閃輝暗点が出る方がいます。
休日だけ長く寝る方は、起床時間や朝食、水分、疲労なども一緒に確認してみてください。
- Q目の前がキラキラします。閃輝暗点以外にもキラキラする病気はありますか?
- A
あります。
飛蚊症に伴う光視症、網膜裂孔や網膜剥離、眼の病気、まれに脳血管の病気などでも光が見えることがあります。
特に「片目だけ」「急に光や黒い点が増えた」「カーテンがかかったように見える」「視野が戻らない」場合は、閃輝暗点と決めつけず眼科などで確認してください。
- Q閃輝暗点は頭痛の前兆ですが、予防できますか?
- A
完全に防ぐ方法があるわけではありませんが、片頭痛を起こしにくくすることで閃輝暗点の回数が減る可能性があります。
睡眠時間を大きく変えない、食事を抜かない、水分をとる、疲労やストレスをためすぎないなどが基本です。
繰り返す場合は頭痛日記をつけ、自分がどんな日に出やすいのか確認するのもおすすめです。
- Q緊張型頭痛では、なぜ閃輝暗点は起こらないのですか?
- A
片頭痛と緊張型頭痛では、頭痛が起こる仕組みが違うからです。
閃輝暗点は、脳の視覚を担当する部分の神経活動の変化によって起こる「片頭痛の前兆」と考えられています。
一方、緊張型頭痛は首肩や頭まわりの緊張、痛みの感じやすさなどが関係する頭痛で、閃輝暗点は基本的な特徴ではありません。
ただし、片頭痛と緊張型頭痛の両方を持っている方はいます。
- Q頭痛では「温める」「冷やす」と逆の対処法がありますが、なぜですか?
- A
頭痛のタイプによって、楽になる刺激が違うからです。
片頭痛では、こめかみや頭を冷やして暗く静かな場所で休むと楽になる方がいます。
一方、首肩の緊張が強い緊張型頭痛では、首や肩を温めることで楽になる方がいます。
ただし絶対ではありませんので、自分が楽に感じる方法を選んでください。
まとめ|「キラキラ=怖い病気」と決めつけず、でも初めてなら確認を
突然、視界にギザギザした光が現れたら、誰でもびっくりします。
「目がおかしくなった?」「脳は大丈夫?」そう思うのも当然です。
閃輝暗点は、片頭痛の代表的な視覚性前兆のひとつです。
多くの場合、
キラキラ・ギザギザした光
↓
少しずつ広がる
↓
5~60分ほどで消える
↓
そのあと片頭痛
という経過をたどります。
ただし、頭痛が来ない方もいます。
そして、初めて出た症状、片目だけの視覚異常、いつもと違う症状、麻痺や言葉の異常を伴う場合などは、「いつもの片頭痛だろう」と決めつけないことも大切です。
一度きちんと確認したうえで、「自分の場合はどんなときに出やすいのか」を知っていく。
それだけでも、不安はかなり変わってきます。
当院でも閃輝暗点について相談されることがあります。
東大阪・若江岩田周辺で、閃輝暗点とともに片頭痛、首肩こり、後頭部の緊張、睡眠やストレスなども気になっている方はご相談ください。
医療機関で確認するべきことと、日常生活や身体から見直せることを分けながら、一緒に考えていきます。

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参考文献
- 『頭痛の診療ガイドライン2021』:日本頭痛学会・日本神経学会・日本神経治療学会 監修
- 『国際頭痛分類 第3版(ICHD-3)日本語版』:日本頭痛学会・国際頭痛分類委員会
- 日本頭痛学会「片頭痛」
- International Headache Society「ICHD-3 Migraine with aura」
- 『頭痛は消える。』:清水俊彦




