

肩こりで悩んでいます。
肩甲骨が特に硬くて時々、背中まで痛くなります。
運動がいいと聞いたことがあるのですが、どんな運動をすればいいですか?
このようなお悩みを解決します。
ボクシングの「ジャブ」は、腕だけに力を入れるのではなく、肩甲骨や体幹を連動させながら動くことが大切だとされています。
この「力みを減らして、背中から腕を動かす感覚」は、肩こり対策を考えるうえでも参考になるかもしれません。
ただし、ジャブを打てば肩こりが解消するという意味ではありません。
肩や首に痛みがある方は無理にパンチを打たず、まずは痛みのない範囲で肩甲骨をやさしく動かすことから始めましょう。
- 肩こりや肩甲骨まわりの硬さが気になる方
- 肩に力が入りやすいと感じている方
- 自宅で無理なく体を動かしたい方
- ボクシングの動きと肩甲骨の関係を知りたい方
ボクシングの動きから肩こり対策を考える
ボクシングから学んだ肩こり解消法のお話です。
私はスポーツが好きで、テレビでボクシングが放送されていると、つい見入ってしまいます。
20代のころには、先輩に連れられて大阪府立体育館へプロレスを観に行ったこともありました。
そんな格闘技好きの私が注目したのが、ボクシングの「ジャブ」です。
ジャブは一見すると腕だけで打っているように見えます。
しかし、腕に力を入れすぎると、動きはかえって遅くなります。
肩こりも同じで、「動かさなければ」と頑張りすぎるほど、肩に力が入ってしまうことがあります。
今回はジャブの動きから、肩甲骨を力まずに動かすヒントを考えてみます。
ボクシングのジャブとは
ふとボクシングを見て「打ち方」について調べたことがありますので考察していきたいと想います。
ボクシングのジャブでは、腕や肩を力ませすぎず、足・体幹・肩甲骨・腕を連動させて動くことが大切です。
「肩甲骨から手が伸びる」という表現は、肩を無理に前へ突き出すという意味ではありません。
背中から腕までを一つにつなげるように、全身をなめらかに使うイメージです。
肩こりがある方も、腕だけを振り回すのではなく、背中や肩甲骨を一緒に動かすことを意識すると、余計な力みに気づきやすくなるかもしれません。
「あしたのジョー」という漫画もよく読みました。

肩を無理に前へ出さない
ふと私たちの施術と似た感覚があるんじゃないかな~と思いつきました。
ここで注意して頂かなければならないのは、「肩甲骨から伸びる」というのを誤解して、肩を入れてしまう方がおられるかもしれません。
肩を入れるというのは、パンチを打ちながら肩を前に出してしまう事です。
肩を無理に前へ突き出した状態でパンチを繰り返すと、肩や首に余計な負担がかかる可能性があります。
肩甲骨を動かそうとして、肩を大きくすくめたり、関節を無理に伸ばしたりしないようにしましょう。
肩甲骨から伸びるというのは、肩甲骨周りの柔らかさを感じ取ってノビノビと打つための表現です。ジャブの速い選手たちは皆さん、肩甲骨回りがリラックスしています。
もう一つ注意しなければならないのが、ジャブを速く打とうとして、一生懸命「腕」だけを速く動かそうとされる方もいます。
ですが、腕だけを速く動かそうとするのは止めた方がよさそうです。
腕だけを速く動かそうとすると、肩や腕に力が入りやすくなります。
肩こり対策として行う場合は、速さや強さを競う必要はありません。
呼吸を止めず、肩甲骨と腕が一緒に動く程度の小さな動きで十分です。
肩だけを意識して力を抜こうとすると、かえって肩に意識が集中してしまうことがあります。
そのようなときは、息をゆっくり吐きながら、背中や肩甲骨まわりを小さく動かしてみましょう。
「大きく動かすこと」よりも、「痛みのない範囲で力まず動かすこと」が大切です。
肩甲骨まわりの力みに気づく
力んでいる方は、肩をすくめる筋肉や、首から肩甲骨につながる筋肉が緊張していることがあります。
長時間のデスクワークやスマートフォン操作、精神的な緊張などが続くと、無意識に肩をすくめた姿勢になりやすい方もいます。
まずは「肩が上がっていないか」「呼吸を止めていないか」に気づくことが、力みを減らす第一歩です。
エキサイトマッチなどで世界のボクシングをご覧になられている方々は、一流のチャンピオンたちの肩甲骨回りがリラックスしている事に気づかれていると思います。
ボクシングに限らず、テニスやゴルフなどでも、腕だけではなく、肩甲骨や体幹を連動させる動きが重要です。
力んでいる人の特徴の一つとして、肩をすくませる(上げて見える)ようになっている人がおられます。
この状態と言うのは、まさに肩甲骨が肩周辺(僧帽筋付近)を押し上げている形です。
肩甲骨まわりをやさしく動かすことで、肩をすくめていることや、呼吸を止めていることに気づきやすくなる場合があります。
ただし、肩こりには姿勢、運動不足、睡眠、ストレス、肩関節や首の病気など、さまざまな要因が関係します。
肩甲骨を動かすだけですべての肩こりが変わるわけではありません。
肩こりの方が自宅でできる動き
肩の上げ下げ
では、どうすればいいのか!
肩に力が入っていると感じたときは、次のように動かしてみましょう。
- 息を吸いながら、両肩を痛くない範囲でゆっくり上げる
- 息を吐きながら、肩をストンと下ろす
- 力を入れず、肩甲骨を左右交互に小さく前後へ動かす
- 3〜5回を目安に繰り返す
強く力を入れる必要はありません。
痛み、しびれ、めまい、吐き気などが出る場合は中止してください。
背中の動きを意識することが出来るようになってくるのです。
筋力トレーニングをしている方も、重さを増やすことだけでなく、肩甲骨と腕が無理なく連動しているかを確認してみましょう。
ただし、肩に痛みがある状態で懸垂などの負荷が強い運動を行うと、症状が強くなる可能性があります。
痛みがある場合は、負荷の強い運動を控えてください。
肩甲骨を左右交互に動かす
では、どうやって動かすのか?
肩甲骨は左右一緒に動かしても、交互に動かしてもかまいません。
大切なのは、決められた形に無理に合わせることではなく、痛みのない範囲で呼吸を止めずに動かすことです。
運動を中止した方がよい症状
肩を動かす前に整形外科へ相談した方がよい症状
次のような症状がある場合は、無理に体操を続けず、整形外科などの医療機関へ相談してください。
- 急に強い肩の痛みが出た
- 腕が上がらない
- 転倒や衝突のあとから痛む
- 腕や手にしびれ、力の入りにくさがある
- 夜も眠れないほど痛む
- 腫れ、熱感、発熱がある
- 胸の痛みや息苦しさを伴う
- 体操をすると痛みが強くなる
肩こりだと思っていても、肩関節や首の病気などが隠れていることがあります。
強い痛みや動かしにくさがある場合は、セルフケアだけで判断しないことが大切です。
よくある質問
- Qボクササイズをしている方が「肩こりがなくなった」と言っていました。効果はあるのでしょうか?
- A
ボクササイズによって、肩こりが軽く感じられる方はいると思います。
ボクササイズでは、
- 肩甲骨や腕を大きく動かす
- 全身を使って運動する
- 同じ姿勢から離れられる
- 体が温まる
- 運動による気分転換ができる
といった要素が含まれます。
日本整形外科学会でも、肩こりの予防や対策として、同じ姿勢を長時間続けないことや、適度な運動・体操が挙げられています。
そのため、運動不足や長時間のデスクワークなどが関係する肩こりでは、ボクササイズが体を動かすきっかけになり、肩まわりが楽に感じられる可能性があります。
ただし、「ボクササイズをすれば肩こりが治る」という意味ではありません。
肩こりには、姿勢、運動不足、睡眠、ストレスだけでなく、肩関節や頚椎の病気などが関係することもあります。
ボクササイズが合う方もいれば、動かし方によって肩や首に負担がかかる方もいます。
- Qストレス発散のためにボクササイズをしたいのですが、どうですか?
- A
肩や首に強い痛みがなければ、ストレス発散を目的にボクササイズを行うのは、よい運動の選択肢の一つだと思います。
非接触型のボクシング運動について調べた研究では、気分、自信、集中力などへのよい影響や、ストレスを発散したと感じる可能性が報告されています。
一方で、ボクシングによる心への効果については、まだ研究数が十分とはいえず、誰にでも同じ効果が出るとは限りません。
初めて行う場合は、次のポイントを意識しましょう。
- 最初から強く打たない
- サンドバッグを全力でたたかない
- 呼吸を止めない
- 肩をすくめたまま打たない
- 10~15分程度の軽い運動から始める
- 翌日に痛みが残る場合は強度を下げる
ストレスを全部パンチに込めたくなる日もあります。
しかし、力いっぱい打ちすぎると、ストレスより先に肩や手首へ負担が届いてしまいます。
「強く打つ」よりも、「リズムよく楽しく動く」ことを優先してください。
- Q肩に痛みがあると、ボクシングで痛めそうです。何かよい方法はありますか?
- A
肩に痛みがある場合は、痛みを我慢してパンチを打つことはおすすめできません。
まずは、パンチを打たずにできる動きから始めましょう。
1.足だけでステップを踏む
腕を振らず、その場で左右に軽くステップを踏みます。
肩への負担を抑えながら、全身運動と気分転換ができます。
2.肘を伸ばさず、小さく構える
脇を締め、肘を軽く曲げた状態で、小さく前後へ動かします。
拳を遠くまで伸ばす必要はありません。
3.肩を上げて下ろす
息を吸いながら両肩を軽く上げ、息を吐きながらゆっくり下ろします。
力いっぱい上げるのではなく、痛みのない範囲で3~5回行います。
4.振り子運動をする
机などに痛くない側の手をつき、上半身を少し前へ傾けます。
痛い側の腕をだらんと下げ、体を使って腕を小さく前後・左右に揺らします。
肩そのものを無理に動かすのではなく、腕の重さを利用してやさしく動かします。
肩の痛みに対する運動では、痛みの状態に応じて、振り子運動や補助を使った小さな動きなどが案内されています。
ただし、次の症状がある場合はボクササイズを控え、整形外科へ相談してください。
- 急に強い痛みが出た
- 転倒や衝突のあとから痛む
- 腕を上げられない
- 夜も眠れないほど痛む
- 腕や手にしびれがある
- 握力が低下した
- 肩が腫れている、熱を持っている
- 胸の痛みや息苦しさを伴う
肩こりだと思っていても、頚椎や肩関節の病気が隠れている場合があります。
- Q肩こりにおすすめの運動は何ですか?
- A
肩こり対策では、特別な運動を1回行うよりも、軽い運動を無理なく続けることが大切です。
おすすめは次の5つです。
1.歩く
20~30分程度の散歩は、全身を動かし、長時間の同じ姿勢から離れるきっかけになります。
腕は大きく振らなくても構いません。
2.肩の上げ下げ
両肩をゆっくり上げ、息を吐きながら下ろします。
3~5回を目安に行います。
3.肩甲骨を前後に動かす
腕を体の横へ下ろしたまま、肩を小さく前後へ動かします。
胸を無理に張ったり、肩甲骨を強く寄せたりする必要はありません。
4.壁を使った腕立て伏せ
壁に両手をつき、体をまっすぐにしたまま、肘をゆっくり曲げ伸ばしします。
通常の腕立て伏せよりも負荷が軽く、肩甲骨まわりを動かしやすい運動です。
肩に痛みがない範囲で、5~10回から始めます。
5.こまめに立ち上がる
デスクワーク中は、30~60分に一度を目安に立ち上がり、少し歩きます。
肩こり対策では、どの運動を選ぶかだけでなく、同じ姿勢を長時間続けないことも重要です。
日本整形外科学会も、肩こりの予防として適度な運動や体操、長時間同じ姿勢を避けることを案内しています。
肩こりがあるからといって、肩を強く回したり、無理に伸ばしたりする必要はありません。
気持ちよく動かせる範囲から、少しずつ始めましょう。
運動によって痛みが増える場合や、しびれ、腕の動かしにくさがある場合は、セルフケアだけで判断せず、整形外科へ相談してください。
まとめ
ボクシングのジャブから学べるのは、強くパンチを打つことではありません。
「腕だけで頑張らず、肩甲骨や体幹と一緒に動く」という考え方です。
肩こりが気になる方は、
- 肩をすくめていないか確認する
- 呼吸を止めずに肩を動かす
- 痛みのない範囲で小さく動かす
- 同じ姿勢を長く続けない
ことから始めてみましょう。
大きく動かそう、しっかり伸ばそうと頑張りすぎると、また肩に力が入ってしまいます。
肩こり対策なのに、肩に力を入れて頑張る。
少し不思議ですよね。
まずは「頑張って動かす」よりも、「力まず動ける範囲を見つける」ことが大切です。
痛みやしびれ、腕の動かしにくさがある場合は、無理に体操を続けず、医療機関へ相談してください。

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参考文献
- 『肩・首・腰・頭 デスクワーカーの痛み全部とれる 医師が教える最強メソッド』:遠藤健司
- 『運動脳』:アンデシュ・ハンセン
- 『「脳の疲れ」がとれる生活術』:有田秀穂
- 『からだは嘘をつかない』:アレクサンダー・ローエン
- 『手の治癒力』:山口創




