
「人に嫌われるのが怖い」
「見捨てられるのではないかと不安になる」
「人をなかなか信用できない」
「誰かに頼らないと自分で決められない」
「人付き合いがしんどくて、一人でいたい」
「周りからどう見られているのかが気になって仕方がない」
このようなことで、長い間悩んでいませんか?
外から見ると普通に仕事をして、家事をして、人と話していても、心の中ではずっと緊張している方がおられます。
そして、
「こんなことを考えているなんて言えない」
「自分の性格が悪いだけだ」
「もっと普通にできたらいいのに」
と、誰にも相談できずに隠していることもあります。
パーソナリティ障害は、単純に「性格が悪い」「わがまま」「気にしすぎ」といった話ではありません。
このページでは、パーソナリティ障害の10種類について、それぞれどのような生きづらさが起こりやすいのかを中心にわかりやすく紹介します。
詳しい内容については、それぞれの個別記事で解説しています。
パーソナリティ障害とは?
パーソナリティとは、その人らしい
- 考え方
- 感じ方
- 物事の受け止め方
- 人との関わり方
- 行動の傾向
などを含むものです。
もちろん、人にはそれぞれ個性があります。
心配性な人もいれば、人付き合いが好きな人、一人で過ごすのが好きな人、几帳面な人もいます。
こうした特徴があるからといって、パーソナリティ障害というわけではありません。
考え方や感じ方、人との関わり方などのパターンが長く続き、「人間関係がいつもうまくいかない」「仕事や家庭生活に大きな影響が出ている」「自分自身がとても苦しい」といった状態になっている場合に、医療の場でパーソナリティ障害(パーソナリティ症)が検討されることがあります。
つまり、性格の特徴があることと、パーソナリティ障害は同じではありません。
この記事を読んで「自分に当てはまる」と感じても、それだけで診断できるものではありません。
「本人は困っていない」とは限りません
パーソナリティ障害について調べると、「周りが振り回される」「付き合うのが大変」といった情報を目にすることがあります。
確かに、ご家族やパートナーが強いストレスを抱えているケースもあります。
しかし、本人もつらさを抱えていることがあります。
たとえば、
「嫌われたくない」
「見捨てられたくない」
「人から馬鹿にされたくない」
「失敗したくない」
「人を信用すると傷つけられるかもしれない」
「自分には価値がない」
そんな気持ちを誰にも言えず、人間関係の中でずっと緊張している場合があります。
表面に見えている行動だけでは、その人が抱えている不安までは分かりません。
だからこそ、単純に性格の問題として片づけないことが大切だと私は考えています。
パーソナリティ障害は大きく3つのグループに分けられます
DSM-5-TRでは、10種類のパーソナリティ障害を、特徴が似ているものごとにA群・B群・C群の3つに整理しています。
これはあくまで特徴を理解しやすくするための分類です。
A群
人との距離や考え方に独特の特徴がみられやすいグループです。
- 猜疑性パーソナリティ障害
- シゾイドパーソナリティ障害
- 統合失調型パーソナリティ障害
B群
感情や人間関係が大きく動きやすい特徴をもつグループです。
- 反社会性パーソナリティ障害
- 境界性パーソナリティ障害
- 演技性パーソナリティ障害
- 自己愛性パーソナリティ障害
C群
不安や恐れが強く関係しやすいグループです。
- 回避性パーソナリティ障害
- 依存性パーソナリティ障害
- 強迫性パーソナリティ障害
ここからは、それぞれの特徴を簡単に紹介します。
A群|人との距離や考え方に特徴がみられやすいタイプ
猜疑性パーソナリティ障害|人を信用することが難しい
「何か裏があるのでは?」「自分を悪く言っているのでは?」「騙されるかもしれない」
人を簡単には信用できず、相手の言葉や態度を疑ってしまうことがあります。
本人としては、自分を守ろうとして警戒している場合があります。
しかし警戒心が強くなるほど、人間関係で疲れたり、孤立してしまったりすることもあります。
「信じたいのに信じられない」というつらさを抱えている方もいます。
シゾイドパーソナリティ障害|人と距離を置き、一人でいるほうが楽
大勢で集まったり、深い人間関係をつくったりすることより、一人で過ごすことを好む傾向があります。
感情を表に出すことが少ないため、「何を考えているのか分からない」「冷たい」と思われることもあります。
ただ、本人は人嫌いというより、親密な人間関係そのものへの関心が低い場合があります。
統合失調型パーソナリティ障害|独特な考え方や人との関わりに悩む
独特な考え方や物事の捉え方があり、人とのコミュニケーションがうまくいかないことがあります。
周囲からは、「少し変わっている」「考えていることが分かりにくい」と思われることもあります。
人付き合いに強い不安を感じ、孤立しやすくなる場合もあります。
「人とつながりたいけれど、どう関わったらいいのか分からない」という悩みにつながることもあります。
B群|感情や人間関係が大きく動きやすいタイプ
反社会性パーソナリティ障害|社会のルールや他人の気持ちを軽視しやすい
「反社会性」という名前だけを見ると、犯罪をする人というイメージを持たれるかもしれません。
しかし、犯罪をする人=反社会性パーソナリティ障害ではありません。
他人の権利や社会的なルールを軽視した行動が繰り返されることなどが特徴としてみられます。
嘘をつく、衝動的な行動をする、責任を果たしにくいなどがみられる場合もあります。
本人だけでなく、家族や周囲の方が強く悩んでいることもあります。
境界性パーソナリティ障害|「見捨てられるのが怖い」
人間関係や感情が大きく揺れやすいことが特徴のひとつです。
「大好き」と思っていた相手に対して、ちょっとした出来事をきっかけに、「もう嫌い」「私のことなんてどうでもいいんだ」と感じてしまうことがあります。
その奥には、「見捨てられるのではないか」という強い不安が隠れていることもあります。
感情に振り回され、「どうして私はいつもこうなるんだろう」と、自分自身を責めてしまう方もいます。
演技性パーソナリティ障害|人から注目されていたい
人から注目されることを強く求めたり、感情を大きく表現したりする傾向があります。
周囲から見ると、「大げさ」「目立ちたがり」と思われてしまうことがあります。
しかし、その背景には、「自分を見てほしい」「認めてほしい」といった気持ちが関係していることもあります。
自己愛性パーソナリティ障害|認められたい気持ちと傷つきやすさ
自己愛性パーソナリティ障害というと、「自分が大好きな人」「自信満々な人」というイメージを持たれるかもしれません。
しかし、そんな単純なものではありません。
自分を高く評価してほしい、認めてほしいという気持ちが強い一方で、批判や失敗に強く傷つく場合があります。
周囲からは自信があるように見えても、その内側では自分の価値が揺らぎやすいこともあります。
当院では自己愛性について、本人向けと、ご主人・家族との関係で悩んでいる方向けの2つの記事に分けています。
自分自身のことで悩んでいる方へ
「人から認められたい」
「評価されないと腹が立つ」
「自分のことなのかもしれない」
そのように感じている方はこちらをご覧ください。
自己愛性の傾向がある夫・家族に悩んでいる方へ
一方で、
「夫の言動にいつも振り回される」
「何を言っても自分が悪いことにされる」
「外ではいい人なのに、家では違う」
など、家族側が疲れ切っていることもあります。
ご主人やご家族との関係で悩んでいる方はこちらをご覧ください。
C群|不安や恐れが強く関係しやすいタイプ
回避性パーソナリティ障害|人と関わりたいのに、傷つくのが怖い
人付き合いが嫌いだから避けているとは限りません。
本当は、「友達がほしい」「人と仲良くなりたい」と思っていても、「嫌われたらどうしよう」「馬鹿にされたらどうしよう」「自分なんか相手にされない」と不安になり、人との関わりを避けてしまうことがあります。
人が嫌いなのではなく、傷つくことが怖い。
そこが大切なポイントです。
依存性パーソナリティ障害|一人で決めることが怖い
自分一人で何かを決めることに強い不安を感じ、誰かに頼りすぎてしまうことがあります。
「これでいい?」
「どうしたらいい?」
「あなたが決めて」
と、人に判断を任せることが多くなる場合があります。
相手から離れられることへの不安が強く、自分の意見を我慢して相手に合わせ続けてしまうこともあります。
その結果、人間関係そのものが苦しくなることがあります。
強迫性パーソナリティ障害|「きちんとしなければ」が強すぎて疲れる
「間違ってはいけない」「ちゃんとしなければ」「こうあるべき」という気持ちが強く、完璧さやルール、順序などに強くこだわることがあります。
責任感が強く、仕事では高く評価される方もいます。
しかし、「人に任せられない」「予定通りでないとイライラする」「休んでいても仕事のことが気になる」など、自分自身が疲れ切ってしまうことがあります。
なお、強迫性パーソナリティ障害と強迫症(強迫性障害)は別のものです。
10種類を「悩み」から探してみましょう
病名では分かりにくい方は、今困っていることから探してみてください。
人を信用することが難しい
→ 猜疑性パーソナリティ障害
人との距離が近くなることが負担
→ シゾイドパーソナリティ障害
独特な考え方や人付き合いの難しさがある
→ 統合失調型パーソナリティ障害
社会のルールや他人とのトラブルを繰り返してしまう
→ 反社会性パーソナリティ障害
見捨てられることが怖く、感情が大きく揺れる
→ 境界性パーソナリティ障害
注目されていないと不安になる
→ 演技性パーソナリティ障害
認められたい気持ちが強く、批判されると強く傷つく
→ 自己愛性パーソナリティ障害
嫌われるのが怖くて、人付き合いを避けてしまう
→ 回避性パーソナリティ障害
一人で決めるのが不安で、誰かに頼りすぎてしまう
→ 依存性パーソナリティ障害
完璧にしようとして、自分も周囲も疲れてしまう
→ 強迫性パーソナリティ障害
もちろん、人はこのようにきれいに10種類に分かれるわけではありません。
いくつかの特徴が重なることもありますし、体調やストレスの状態によって普段とは違う反応が出ることもあります。
この一覧は「自分はどの病気なのか」を決めるためではなく、「なぜ自分はこんなにしんどいのだろう」と考えるきっかけとして使ってください。
「性格を直さなければ」と考えなくてもいい
長年続いている考え方や人との関わり方を、「明日から全部変えよう」としても難しいものです。
むしろ、「またできなかった」「やっぱり私はダメだ」と自己否定が強くなってしまうことがあります。
まず大切なのは、「自分はどんな時に苦しくなるのか」を知ることです。
たとえば、
- 人から否定された時
- 一人になった時
- 予定が変わった時
- 自分の思い通りにならなかった時
- 失敗した時
- 相手の表情が少し曇った時
同じ出来事でも、受け止め方は人によって違います。
自分のパターンに気づくことは、自分を責めるためではありません。
これまで長い時間をかけて身についてきた考え方や反応を、一度整理してみる。
そこから始めてもいいのではないでしょうか。
心の緊張が続くと、体もしんどくなることがあります
人間関係で常に緊張していたり、「嫌われないように」「失敗しないように」「相手を怒らせないように」と気を張り続けていると、体にも力が入りやすくなります。
そのため、
- 首や肩がいつもガチガチ
- 呼吸が浅い
- 寝つきが悪い
- 途中で目が覚める
- 動悸がする
- 胃腸の調子が悪い
- 頭痛がする
- 疲れが抜けない
といった身体の不調を一緒に感じている方もおられます。
もちろん、このような症状すべてがパーソナリティ障害や自律神経によるものとは限りません。
身体症状が続く場合は、必要に応じて医療機関で原因を確認することも大切です。
おおくま整骨院で大切にしていること
当院は、パーソナリティ障害を診断する場所ではありません。
また、整体でパーソナリティ障害そのものを治すという考えでもありません。
私が大切にしているのは、「その人が何に困っているのか」です。
病名だけを見るのではなく、
- いつからつらくなったのか
- どんな時に不安や緊張が強くなるのか
- 人間関係で何が起こっているのか
- 体はどのくらい緊張しているのか
- 眠れているのか
- 食事はとれているのか
- 普段から無理をしすぎていないか
などを一緒に整理していきます。
身体面については、強い刺激を使わず、体の緊張状態を確認しながらやさしく整えていきます。
心理面についても、必要に応じて考え方の癖や不安になる場面を一緒に整理します。
「病院へ行くほどなのか分からない」「まず自分の状態を整理したい」「誰にも話せずにずっと抱えてきた」そのような段階でご相談いただくこともあります。
ご家族が悩んでいる場合もあります
パーソナリティの問題では、本人だけではなく、
夫
妻
親
子ども
兄弟姉妹
職場の人
など、周囲の方が悩んでいる場合もあります。
特に、
「何を言っても怒られる」
「相手の機嫌ばかり気にしている」
「自分が全部悪いような気がしてきた」
「離れたいけれど離れられない」
という状態が続いているなら、ご家族自身がかなり疲れている可能性があります。
相手を変えることだけを考えるのではなく、まず自分がどれくらい疲れているのかを確認することも大切です。
ご本人が来院されなくても、ご家族からご相談いただくことは可能です。
一度、医療機関への相談を考えてほしい場合
パーソナリティの特徴だけで診断することはできません。
日常生活や仕事、人間関係への影響が大きく、
- 自分ではどうにもできないほど苦しい
- 強いうつ状態や不安が続いている
- 自分を傷つけたい気持ちがある
- 死にたい気持ちがある
- 自分や周囲の安全が心配
といった場合は、精神科・心療内科などの医療機関へ相談してください。
緊急性がある場合は、ためらわず救急へ相談してください。
よくある質問
- Qパーソナリティ障害は性格が悪いということですか?
- A
違います。
性格の良し悪しを決めるものではありません。
物事の捉え方や感情、人との関わり方などに一定のパターンがあり、それによって本人が強く苦しんだり、生活や人間関係に大きな支障が出たりしている状態が問題になります。
- Q特徴が当てはまったらパーソナリティ障害ですか?
- A
それだけでは判断できません。
誰にでも多少は似た特徴があります。
ネットの記事やチェックリストだけで、自分や家族をパーソナリティ障害と決めつけないことが大切です。
- Q複数のタイプに当てはまることはありますか?
- A
あります。
人の性格や考え方は10種類にきれいに分かれるものではありません。
複数の特徴をあわせ持っていることもあります。
- Q家族だけで相談してもいいですか?
- A
はい。
実際には、本人より先にご家族が困って相談されることもあります。
特に家族関係の中で疲れている場合は、まず相談する方自身の状況を整理することも大切です。
- Q整体でパーソナリティ障害は治りますか?
- A
整体はパーソナリティ障害を診断したり、治療したりするものではありません。
当院では、身体の緊張や睡眠、生活習慣などを確認しながら、心身の負担を減らすためのサポートを行っています。
必要に応じて医療機関への相談もおすすめしています。
まとめ|「自分がおかしい」と一人で抱えないでください
パーソナリティ障害という言葉を見ると、「怖い病気なのでは」「自分は普通ではないのでは」と思ってしまうかもしれません。
でも大切なのは、名前をつけることではありません。
今、何に困っているのか。そこを見ることです。
- 人を信用できない
- 見捨てられるのが怖い
- 嫌われるのが怖い
- 一人では何も決められない
- 人と関わるだけで疲れる
- 完璧にしようとして苦しくなる
- 認めてもらえないと、とても傷つく
こうした悩みは、外からはなかなか分かりません。
だからこそ、誰にも言えず何年も抱えている方もいます。
「こんなことを相談してもいいのかな」と思うようなことでも構いません。
まずは自分の状態を知るところから始めてみてください。
このページから、今の自分に近い記事を読んでいただければと思います。

参考文献・参考資料
- 『パーソナリティ障害』:岡田尊司
- American Psychiatric Association:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition, Text Revision(DSM-5-TR)
- MSDマニュアル「パーソナリティ症群の概要」
- National Institute of Mental Health(NIMH)「Personality Disorders」「Borderline Personality Disorder」
※この記事は、パーソナリティ障害について一般の方にわかりやすく知っていただくための情報提供を目的としています。診断を目的としたものではありません。



