
「女性ホルモンが乱れやすい」「生理前や更年期がつらい」「乳がんが心配」——そんな女性の体の中で、密かに頑張っているのがCOMT酵素(コムト酵素)です。
この酵素が元気だと、エストロゲンやストレスホルモンのバランスが保たれやすく、乳がんリスクの軽減にも役立つと言われています。
今回はCOMTのはたらきと、自然に高めるための食事・生活法をやさしく解説します。

えっ…うちの家系、乳がんの人多いんだけど…遺伝のせい?
たしかに、遺伝も関係する可能性があります。
でも、最近の研究では「コムト酵素の働きの違い」も影響すると言われています。遺伝子によって、エストロゲンをうまく分解できない体質の人もいます。
コムト酵素がうまく働けないと「エストロゲン」が代謝されにくく多くなりすぎるということになってしまいます。すると乳がんのリスクが高くなってしまうことがあるのです。
- 乳がん検査でひっかかったことがある
- 乳がん手術をしたことがある
そもそも“酵素”ってなに?
こんな声をよく聞きます。実は「コムト酵素」は、体の中でホルモン(特にエストロゲン)を分解してくれるお掃除屋さんみたいな存在なんです。
コムト酵素の働き
コムト酵素は、あなたの体の中にある「ゴミ収集車」や「お掃除ロボット」みたいなものなんです。
- エストロゲン(女性ホルモン)が使われて、もういらなくなった
- ストレスで出たノルアドレナリンが、もう必要なくなった
そういう「使い終わったもの」を分解してスッキリ流してくれるのが、コムト酵素のお仕事なんです。
コムト酵素と乳がんの関係
研究によると、コムト酵素の働きが弱い人は、エストロゲンがうまく分解されず、乳がんのリスクが高くなる可能性があるといわれております。特に「Val158Met」という遺伝子の違いが、コムト酵素の働きに影響を与えることがわかっています。この違いによって、酵素の働きが強い人と弱い人がいます。
どんな検査をするの
- 唾液の遺伝子検査で酵素の働きの強さがわかる(弱くても生活習慣と栄養で対策できるよ)
- 血液検査でASTとALTとの関連性・リスクがわかる(予防として!診断・判断はできません)
参考リンク
大阪では北野病院などで検査していただけます。
肝臓の数値をみてみる
ALTとASTが10以下ではないですか?
この数値は肝臓の酵素の働きの数値です。簡単にいうと「肝臓が元気に働いてくれているか」の数値です。代謝力の目安ともいえます。
この数値が低いと酵素の材料である「タンパク質」と「ビタミンB6」が不足している可能性があります。
コムト酵素もビタミンB6、B12、葉酸、マグネシウムといったことに関係しています。つまり、あまり食べていない女性、欠食している女性などは、「栄養が足りず、代謝酵素全体の元気がない状態」の可能性がありコムト酵素も弱っている可能性が高いということが間接的には言えるのです。
コムト酵素を元気にする方法

体に良いって言われても、結局、何を食べたらいいの?
大丈夫!身近な食材でOKです。
コムト酵素の働きを助けるために、以下のような生活習慣が効果的です。
- 適度な運動をする:毎日少しずつ体を動かすことが大切
- 野菜をたくさん食べる:特にブロッコリーやキャベツなどの緑の野菜がオススメ
- ビタミンB群の補給:ビタミンB6やB12、葉酸などが含まれる食品を食べる(メチル化:神経やホルモンの代謝に関係:鶏むね肉、バナナ、さつまいもがオススメ)
- タンパク質の補給(材料となる:鶏むね肉、卵、納豆がオススメ)
- マグネシウムの補給(補酵素:助けてくれる:玄米、アーモンド、わかめ、ひじきがオススメ)
- ストレスを減らす:リラックスする時間を持つことで、酵素の働きが良くなる
乳がんの検診について

検診って痛いって聞くし、怖いから後回しにしちゃう…
その気持ち、よくわかります。でも、乳がんは“早く見つける”ことで治りやすくなります。
40歳を過ぎたら、2年に1回のマンモグラフィが推奨されています。
最近では、痛みが少ないタイプの検査機器も出てきています。また、自分で胸を触ってしこりがないかを確かめる「自己検診」も役立ちます。
乳がんの治療方法

もし乳がんって言われたらどうしよう…全部切るの?
今は「できるだけ乳房を残す手術」や「がん細胞だけを狙うお薬」など、治療方法がたくさんあります。あなたの体や希望に合わせた選択ができる時代になっています。
参考として乳がんの治療には、以下のような方法があります。
- 手術:がんを取り除くための手術です。
- 放射線治療:がん細胞を小さくするために放射線を使います。
- 薬物療法:抗がん剤やホルモン剤を使って、がんの成長を抑えます。
- 新しい治療法:最近では、がん細胞だけを狙って攻撃する「分子標的治療薬」などもあります。
治療方法は、がんの種類や進行度、患者さんの体の状態によって異なります。医師と相談しながら、自分に合った治療を選ぶことが大切です。
参考文献
- Qin, X., et al. (2012). Association of COMT Val158Met polymorphism and breast cancer risk: an updated meta-analysis. Diagnostic Pathology, 7, 136.
- 日本乳癌検診学会. (2022). 乳がん検診の精密検査実施機関基準.
- American Cancer Society. (n.d.). Treatment Options for Breast Cancer.
再発予防にも有効
乳がんの一部のタイプ(特にホルモン受容体陽性の乳がん)は、エストロゲン(女性ホルモン)に反応して再発しやすいことがあります。
コムト酵素は、体の中のエストロゲンを「無害なかたち」に分解してくれるため、再発リスクを下げる手助けをしてくれる可能性があります。
こんなメリットもあるよ
- ホルモン治療との相性もよくなることがある(代謝がスムーズになりやすい)
- 更年期のホルモンバランスの乱れを整えるサポート
- 全身の解毒(デトックス)機能にも関与しているので、抗がん剤などの影響を受けた体の回復にも良い影響が期待できる
再発しないために
すでに治療を受けた方でも、以下のような方法でコムト酵素をサポートできます。
- 軽い運動や深呼吸で自律神経を整える
- 葉酸・ビタミンB6・B12を意識してとる(例:納豆、レバー、ほうれん草、卵 など)
- ブロッコリーやキャベツなどのアブラナ科野菜を食べる
- ストレスを溜めずにリラックス
自分でできる対策
- カフェイン:1日1杯まで or デカフェ
- プラスチック容器は温めない
- 避けられる添加物は避ける
- カテキン(お茶)の摂取のしすぎ
- カカオ(チョコレート)の摂取のしすぎ
コムト酵素の働きの邪魔をするものは控える
過剰な摂取は控えてください。
- チョコレート(カカオに含まれるテオブロミンがエストロゲン代謝の働きの邪魔をする)
- お茶などのカテキン(ホルモン代謝が不安定になる)
- カフェイン(交感神経過剰になりホルモンの代謝を低下させる)
乳がんの後にも注意
特にこれらの病気が、乳がん診断後1年以内に多く発症するリスクが高かいという報告があります。どうぞ予防をして注意されてください。
- 心不全
- 心房細動
- 骨粗鬆症性骨折、その他の骨折
- 消化管出血
- 肺炎
- 尿路感染症
- うつ、不安
まとめ
- 乳がん予防と再発防止にコムト酵素を元気にさせる
- 遺伝子検査やALTとASTの検査数値を参考にする
- ビタミンB群やタンパク質、マグネシウムなどを摂取する
- カフェインやチョコレートやカテキンは控える