
「膝の下が痛くて走れない」
「病院ではオスグッド、成長痛と言われたけれど、どうしたらいいのかわからない」
「部活を全部休まないといけないの?」
「もうすぐ大事な試合があるので、できれば練習を続けたい」
成長期にスポーツをしている小学生・中学生・高校生では、このようなご相談があります。
オスグッド病は、成長期に多くみられる膝のスポーツ障害のひとつです。
特に、サッカー、バスケットボール、バレーボール、陸上競技など、走る・ジャンプする・蹴る動作を繰り返すスポーツをしている子どもに起こりやすいとされています。
「成長痛だから仕方がない」「とにかく部活を全部休むしかない」と考えてしまう方もおられますが、必ずしもそうとは限りません。
まず大切なのは、本当にオスグッド病なのかを整形外科で確認してもらうこと。
そのうえで、痛みの程度や競技動作などを確認しながら、練習量や身体への負担を調整していくことが大切です。
当院でも、膝だけを見るのではなく、股関節や足首の動き、太ももの筋肉の状態、走る・しゃがむ・ジャンプする・着地するといった動作まで確認しています。
この記事では、
- オスグッド病とは何か
- なぜ成長期に膝の下が痛くなるのか
- 運動を休んだ方がいいのか
- 自宅では何をしたらいいのか
- どのような場合に整形外科を受診した方がいいのか
- 当院ではどのようなところを確認しているのか
について、できるだけわかりやすくお伝えします。
オスグッド病とは?
オスグッド病の正式名称は「オスグッド・シュラッター病(Osgood-Schlatter disease)」です。
成長期の子どもに多くみられる、膝のスポーツ障害のひとつです。
痛くなる場所は、膝のお皿そのものではありません。
膝のお皿の少し下にある「脛骨粗面(けいこつそめん)」という、すねの骨の出っ張った部分に痛みや腫れが出ることが特徴です。
この部分を押すと痛かったり、走ったりジャンプしたりすると痛みが強くなったりします。
人によっては、膝の下の骨がポコッと出っ張ってくることもあります。
日本整形外科学会でもオスグッド病は膝に起こる疾患のひとつとして案内されています。
単に「背が伸びるから起こる成長痛」というより、成長期の身体にスポーツなどの繰り返す負荷が加わることで起こりやすいスポーツ障害と考えた方がわかりやすいでしょう。
なぜ成長期に膝の下が痛くなるのでしょうか?
オスグッド病を理解するポイントは「太ももの筋肉」と「膝の下の成長部分」です。
太ももの前側には、大腿四頭筋という大きな筋肉があります。
この筋肉は膝のお皿を介して膝蓋腱につながり、その膝蓋腱が脛骨粗面についています。
つまり、
- 太ももの前の筋肉が働く
- 膝蓋腱を介して膝の下に力が伝わる
- 走る、跳ぶ、蹴る、しゃがむ動作を繰り返す
- 成長途中の脛骨粗面に繰り返し牽引力がかかる
- 痛みや腫れが起こりやすくなる
という仕組みです。
特に成長期は、骨・筋肉・腱などが変化している時期です。
急に身長が伸びる時期に練習量が増えたり、走る・ジャンプする動作を繰り返したりすると、膝の下にかかる負担が大きくなることがあります。
そのためオスグッド病では、「成長しているから仕方がない」だけではなく、「成長期の身体に、どのくらいスポーツの負荷がかかっているのか」という視点も大切です。
オスグッド病ではどんな症状が出ますか?
よくみられるのは膝のお皿の少し下の痛みです。
- 膝のお皿の下が痛い
- 膝の下を押すと痛い
- 膝の下が腫れている
- 骨の出っ張りが目立ってきた
- 走ると痛い
- ジャンプすると痛い
- しゃがむと痛い
- 階段の上り下りで痛い
- 運動後に痛みが強くなる
- 練習後に足を引きずることがある
片側だけに症状が出ることもあれば、両膝に出ることもあります。
症状の強さにも個人差があります。
普段の生活ではほとんど痛くないけれどスポーツをすると痛む子もいれば、症状が強くなると歩くだけでも痛みを感じる場合があります。
膝の下が痛ければ、すべてオスグッドなのでしょうか?
いいえ。
成長期の子どもの膝の痛みには、オスグッド病以外の原因もあります。
そのため、膝の下が痛いからといって自分たちだけで「オスグッドだろう」と判断しないことが大切です。
当院では特に、まだ医療機関を受診されていない場合には、まず整形外科で一度確認していただくことをおすすめしています。
整骨院・整体院では、レントゲンなどの画像検査を行うことはできません。
急なケガによる骨折など、ほかの問題が隠れていないかを確認するためにも、まず医療機関での評価が大切です。
特に、
- 強い痛みで体重をかけられない
- ケガをした直後から強く痛む
- 膝が大きく腫れている
- 膝が曲げ伸ばしできない
- 膝が引っかかる、ロックする
- 安静にしていても強く痛む
- 発熱など膝以外の症状を伴っている
などの場合には、早めに整形外科へ相談してください。
オスグッドになったら運動を全部休まないといけませんか?
ここは、スポーツをしている子どもや保護者の方から非常によく聞かれるところです。
結論からいうと、「オスグッドだから、全員が同じ期間スポーツを完全に中止する」というわけではありません。
痛みの程度によって対応は変わります。
日常生活ではほとんど痛みがなく、運動中や運動後にも強い痛みが残らない場合には、練習内容や量を調整しながらスポーツを続けられるケースもあります。
一方で、
- 走ると強く痛む
- 運動後に足を引きずる
- 翌日まで痛みが強く残る
- 日常生活や階段でも痛い
という状態で無理に練習を続けることはおすすめできません。
そのような場合には、ランニングやジャンプなど負担の大きい練習を一時的に減らしたり、休んだりする必要があります。
「休むか、続けるか」の二択ではなく、「今の状態なら、どの程度ならできるのか」を考えることが大切です。
成長期の選手にとって、試合や大会、レギュラー争いが大切なのはよくわかります。
だからこそ、痛みを我慢して全部やるのではなく、今必要な練習と減らせる練習を整理することが、結果的にスポーツを長く続けるためにも重要だと考えています。
自宅でできるオスグッドへの対処
症状があるときは、まず膝にかかっている負担を減らします。
運動量を調整する
痛みが強くなる動作を確認しましょう。
例えば、
- 全力ダッシュ
- 繰り返すジャンプ
- 深いスクワット
- 急激な切り返し
- ボールを強く蹴る
- 長時間の練習
などで症状が増える場合には、その動作の量を一時的に減らす方法があります。
完全に運動をやめる必要があるかどうかは、痛みの程度や医療機関での評価によって異なります。
運動後に痛みがある場合は冷やす
運動後に膝の下が痛んだり熱っぽく感じたりする場合には、タオル越しに冷却する方法があります。
氷を直接皮膚に長時間当てることは避けてください。
皮膚の感覚が低下している場合や循環障害などがある場合には、自己判断で冷却せず医療機関へ相談しましょう。
太ももの柔軟性を確認する
オスグッドでは、太ももの前側の大腿四頭筋や太ももの後ろ側のハムストリングスなどの柔軟性も確認されます。
ただし、「太ももが硬いから、強く伸ばせば早く良くなる」というものではありません。
ストレッチをして膝の下の痛みが増える場合には、無理に続けないようにしてください。
痛みが強い時期には、ストレッチそのものが刺激になる場合もあります。
当院では膝だけを見ないようにしています
オスグッド病で痛みが出ている場所は膝の下ですが、スポーツは膝だけで行っているわけではありません。
走るときも、ジャンプするときも、ボールを蹴るときも、
足首、膝、股関節、骨盤、体幹などが連動して動いています。
そこで当院では、医療機関で骨折などの問題がないことを確認したうえで、膝周辺だけでなく身体全体の動きを確認します。
- 股関節は動いているか
- 足首は十分に動いているか
- 太ももの前後の筋肉が過度に緊張していないか
- 左右の動きに大きな差がないか
- しゃがんだときに膝へ負担が集中していないか
- 走り方に無理がないか
- ジャンプや着地の動きはどうか
- 競技動作で痛みが出るポイントはどこか
などを確認していきます。
ここで大切なのは、「骨盤が歪んでいるからオスグッドになった」「姿勢が悪いから治らない」と単純に考えないことです。
オスグッド病には、成長時期、競技の種類、練習量、身体の柔軟性、筋力、動作など、さまざまな要素が関係している可能性があります。
だからこそ、一部分だけではなく、その子が実際にどのように身体を使っているのかを見ることを大切にしています。
当院に来られた中学生の例
以前、運動部に所属している中学生が膝の下の痛みで来院されました。
走ることも難しくなり、医療機関ではオスグッド病と説明されていました。
「成長痛なので様子をみましょう」「運動は控えてください」と言われたものの、「自分では何をすればいいのかわからない」「試合にも出たい」という不安を持っておられました。
当院で身体を確認すると、膝の下だけでなく、太ももの前側の筋肉にも強い緊張がみられました。
そこで膝の痛いところだけを強く触るのではなく、股関節や足首の動き、太ももの筋肉の状態なども含めて身体全体を確認しました。
スポーツをしている子どもでは、「痛いところだけを何とかする」というより、「どの動作で負担が大きくなっているのか」まで確認することが重要だと考えています。
※施術の感じ方や経過には個人差があります。症例はすべての方に同じ経過や結果を保証するものではありません。
痛みが減ったあとも、すぐ元の練習量に戻さない
オスグッドでは、痛みが軽くなってくると「もう大丈夫」と思って、すぐに以前と同じ練習量へ戻してしまうことがあります。
しかし、急激に運動量を戻すと再び痛みが出ることがあります。
スポーツ復帰では、
- 普段の歩行
- 階段
- 軽いジョギング
- ダッシュ
- ジャンプ
- 切り返し
- 実際の競技動作
など、負荷を少しずつ上げながら反応を見ることが大切です。
「昨日できたから今日から全部やる」ではなく、運動中だけでなく運動後や翌日の状態まで確認しながら戻していきましょう。
オスグッドはいつまで続くのでしょうか?
オスグッド病は成長期に起こることが多く、一般的には骨の成長が落ち着くにつれて症状も落ち着いていくケースが多いとされています。
ただし、数週間で落ち着く子もいれば、数か月以上症状を繰り返す子もいます。
成長のスピードやスポーツの負荷などによって個人差があります。
また、痛みがなくなったあとも、膝の下の骨の出っ張りが残る場合があります。
そのため、「何日で治りますか?」と一律に期間を決めることはできません。
大切なのは、痛みだけを見るのではなく、「日常生活でどうか」「運動した後はどうか」「翌日に痛みが残らないか」などを確認しながら少しずつ活動量を戻していくことです。
試合に出たいという気持ちも大切にしたい
中学生や高校生にとって、部活動の大会や試合は何度でもあるものではありません。特に最後の大会や大切な試合を控えている場合、「できれば出たい」「チームのみんなと一緒にプレーしたい」と思うのは自然なことです。
そのため当院では、単に「痛いから休みましょう」と考えるのではなく、本人がどの大会を目標にしているのか、どの程度まで部活動を続けたいのかといった希望も伺うようにしています。
もちろん、痛みを我慢して無理に練習を続けることをおすすめしているわけではありません。現在の痛みの程度や歩行、しゃがむ・走る・ジャンプするといった動きを確認しながら、練習量を減らした方がよいのか、避けた方がよい動作があるのかなどを一緒に考えていきます。
また、整形外科で運動を控えるよう指示されている場合や、日常生活にも影響するほど痛みが強い場合には、医療機関の判断を優先することが大切です。
目の前の試合に出ることだけではなく、その後も好きなスポーツを続けていけることまで考えながら、今できることを整理していきたいと考えています。
よくある質問
- Qオスグッドは成長痛ですか?
- A
一般には「成長痛」と説明されることもありますが、単に身長が伸びることで起こる痛みではありません。成長期の脛骨粗面に、スポーツなどによる繰り返しの牽引力が加わることが関係すると考えられています。
- Qオスグッドになったら部活を全部休まないといけませんか?
- A
必ずしも全員が完全休止するわけではありません。痛みの程度や歩き方、運動後の状態などによって練習量を調整します。強い痛みや跛行がある場合には休止が必要なこともあります。
- Q膝の下の出っ張りは元に戻りますか?
- A
痛みが落ち着いても、脛骨粗面の出っ張りが残る場合があります。出っ張りがあることと痛みが続くことは同じではありません。強い痛みなどが続く場合には整形外科へ相談してください。
- Qストレッチをすれば良くなりますか?
- A
太ももの柔軟性を保つことは対応のひとつですが、ストレッチだけですべて解決するとは限りません。痛みが増えるような強いストレッチは避け、状態に合わせて行うことが大切です。
- Qオスグッドは整骨院・整体院でもみてもらえますか?
- A
身体の動きや筋肉の状態などを確認することはできますが、病名の確定やレントゲンなどの画像検査はできません。初めての膝痛や強い症状がある場合には、まず整形外科で確認してもらうことをおすすめします。
まとめ|オスグッドは「成長痛だから仕方がない」で終わらせない
オスグッド病は、成長期にスポーツをしている子どもによくみられる膝のスポーツ障害です。
大切なポイントをまとめます。
- 膝のお皿の下にある脛骨粗面が痛くなる
- 成長期に走る・跳ぶ・蹴るなどの反復負荷が加わることが関係する
- 膝の下が痛いからといってすべてオスグッドとは限らない
- 初めての膝痛では、まず整形外科で確認してもらう
- オスグッドだから全員が運動を完全中止するわけではない
- 痛みの程度に合わせて練習量を調整する
- 膝だけでなく股関節や足首、筋肉、競技動作なども確認する
- 痛みが減っても急に元の練習量へ戻さない
- 強い痛みや歩行の異常がある場合は無理をしない
「成長痛だから仕方がない」「部活を全部休むしかない」その二択だけではありません。
まず現在の膝の状態をきちんと確認したうえで、スポーツを続けるために何ができるのかを一緒に考えていくことが大切です。
当院では、膝の痛い場所だけではなく、股関節や足首、太ももの筋肉、走り方やジャンプ・着地など、その子の身体の使い方も確認しています。
医療機関でオスグッド病と言われたけれど、「このあとどうしたらいいかわからない」「できれば部活を続けたい」「試合に向けて身体の状態を整えたい」という方は、一度ご相談ください。
できること、控えた方がよいことを整理しながら、その子が安心してスポーツを続けられるようサポートしていきます。

参考文献・参考情報
- 日本整形外科学会「オスグッド病」
- 日本スポーツ整形外科学会「スポーツ損傷シリーズ オスグッド病」
- Cambridge University Hospitals NHS Foundation Trust「Osgood-Schlatter disease」
- York and Scarborough Teaching Hospitals NHS Foundation Trust「Osgood-Schlatter’s Disease」
- 日本スポーツ協会「発育期におけるスポーツ活動のあり方」




