

小学校までは楽しかったのですが、中学になって学校に行けなくなってしまいました。
「いじめ」とかではないのですが、自分に自信がありません。
私は、どうしたらいいのでしょうか?

娘は中学になって急に落ち込んで泣いたりすることがありました。
小さい頃から言うことの良く聞く子でしたが、逆に大人しすぎると心配しました。
最近になり、自分の意見をいわないことが心配になりました。
どうしていったらいいのでしょうか?
このようなお悩みを解決します。
学校に行けなくなった女子中学生の方です。
思春期でもありますし、いろいろな不安もあると思います。
親や学校の先生が考える理想とは違ったものがあるかもしれません。
大人の考えが全て正しいということでは、ないかもしれません。
私にも子供がいますが、今一度、自分の物差しだけで接していないかを考えてみたいと思います。
突然、やる気がなくなり、学校に行けなくなってしまった方と、そのご家族
優等生だった女子学生が突然、不登校に!
小学生までは、特に目立つこともなく、親の言うことをよくきいた「いい子ちゃん」の優等生でした。その方が突然、中学になり不登校になってしまいました。
今回は、不登校から抜け出す方法について考えていきます。
当院にお越しの10代、東大阪市の女学生です。
中学に入り、急に挫折を味わったこともあり、不登校、引きこもりになってしまいました。同じようなことでお悩みの方は、どうぞご覧になってください。
当てはまったら、どうぞご相談ください
無気力ややる気がなくなるのは今までの感情を抑えつけすぎてきたためかもしれません。
つまりがんばりすぎていたということです。
親や先生の言う通りに頑張りすぎた「いい子ちゃん」だったのです。
それは自分の感情を押さえ込んでいた可能性があるということです。
発育発達から考える「反抗期」
「反抗期がなかった」というお子さんもいらっしゃいます。
これを考えるのには子供の発育発達を考えていくことが大切です。
乳児期
生後〜1年、1年半くらいの赤ちゃんです。一生で一番、心身共に成長する時期といわれています。
運動もいっぱいできるようになっていきますし、生まれた時は50cm、3000gだったのが1年で約1.5倍、体重は約3倍になります。
だいたい1年で少しお話をするようになります。
思考の発達(ピアジェ)
0~2歳 | 感覚ー運動段階 | おっぱいを吸う。ものをつかむ。触る。叩くということを身につけていく。 |
2〜7歳 | 前操作段階 | 言葉やイメージが急激に発達する。思考は知覚的なものが中心となる。直感に左右される。 |
7〜11歳 | 具体的操作段階 | 具体的な活動、操作があれば論理的に考えることができる。数、量は形に左右されず、不変であるという保存概念が確立される。 |
11~15歳 | 形式的操作段階 | 抽象的な物事に対してでも論理的な思考が可能になる。 |
この時期もっとも大切なのが愛着です。
特にお母さんの愛情です。
ボウルビイ(1958)は子供が養育者との強い結びつきをもとうとする傾向は、おっぱいを吸うというのとは別に皮膚の接触、つまり抱っこがとても大切だといいました。
生きるためにとても大切だと考えました。この頃になると、きちんとお母さんの表情も読み取ります。
お母さんの柔らかな感触が大切なのです。
幼児・児童期
1~6歳くらいまでです。
2歳くらいで反抗期というのがあります。
基本的生活習慣の自立をしていきます。
おしっこに一人で行ける。一人で食べれる。一人で眠れる。一人で服を着れる、などです。
この時期は社会との、つながりも覚えていきます。
家庭だけでなく外の世界を経験します。
友だちのことを考えたり、感じたりすることができるようになります。
人の気持ちを読み取れるようになってくるのです。
共感ができるようになる時期なのです。
青年期
第二次性徴期といわれています。
思春期では自我が強くなり反抗期が現れます。
心も体も成長していきます。
大人への過渡期です。
自我を認識する。社会的な発達です。
老年期
認知機能の変化。心身ともに老化していきます。
反抗期がない
これらの発育発達でみると2歳くらいの時期と思春期12歳くらいの時期に反抗期があります。その反抗期がないということは愛着に問題がある可能性があります。
親に褒められたい、親に怒られたくない、いわゆる優等生のいい子ちゃんのお子さんに多いのです。
それは子供にとって感情を押し殺していることになるのです。
だから、これからは感情を表に出して感じることが大切になってきます。
感情を司る大脳辺縁系を活性化させることが重要なのです。
自分の意志を伝える
最初は何を食べたい?などでもいいので今の自分の感覚や感情を口に出していうことが大切なんです。

例えば、あなたの心の中の感情が100のエネルギーだとします。
すると、そのエネルギーを出さないために仮面をかぶっているんです。
すると101以上のエネルギーを使って押さえ込んでいるんです。
これが感情の抑圧です。
これが、ずっと続いたらどうなると思いますか?
やがて疲れ切ってしまうんですよ。
だから、やる気がなくなったり、無気力になって生命維持をしてくれているんです。
体を休ませて回復しようとしてくれているんです。
自律神経を整える

体の本質は「動く事」

私たちは動物です。つまり動くことが基本です。
私たちの心臓は生まれてからずっと動いてくれています。
そして脳や体全体に血液を循環させてくれています。
それによって各器官が働いてくれているのです。
心臓が「ドクン」と動くには交感神経が働いてくれて、心臓から動脈を流してくれているのです。
交感神経が働くことによって酸素を隅々まで送り続けてくれています。
そして戦ったり、動いたりする時は、休んでいる時よりも、たくさん血液を流さなければいけませんので、より交感神経が頑張って、血圧を上げて血流を上げてくれているのです。
これが興奮した時のメカニズムです。
ただし、興奮と抑制、交感神経と副交感神経は同じ量だけシーソーのように上がり下がりするのが理想的です。
ですが、ストレスが強くなりすぎてると交感神経ばかりが優位に働いている方が多いのです。
これが続くと血圧が上がり、眠れなくなってしまうこともあるのです。
心と体と頭を休ませる方法
カラダの休ませ方
横になるだけでも十分です。重力に対して抵抗する力を使わなければいいのです。
整体で筋肉や骨格や関節を緩めることも有効です。
そして呼吸を深くして、スマホなどを控えて目も休ませてください。
耳についてもイヤホンで大きな音量で一日聴いているとストレスになります。
たまには自然の中で小川の流れる音や小鳥のさえずりを聴いてみてください。
心の休ませ方
心を休ませるには「やりたい事をやる」が大切です。
休みたい、だらだらしたい、家事はしたくない、ずっと寝ていたいなど、たまには○○しなければならないを「しない!」と決めて本能に従うことが大切です。
頭の休ませ方
頭で考える時間を減らすことが大切です。脳と自律神経は否定形が通じませんので、悩み事があったら考えたくなくても考えてしまいます。
理性もそうです。これは人間がどの動物よりも頭が発達したからなのです。
こんな時は、別のことを考えることがおすすめです。
体の感覚を感じるのです。
- 自分の呼吸を感じてみる
- 足の感覚を感じてみる
- お腹がどれだけすいているか感じてみる
- 姿勢ができているか感じてみる
- 近くの音を感じてみる
- 遠くの音を感じてみてみる
- 近くの物を見る
- 遠くのものを見る
こうすることで思考、理性を、その時は中止することができるのです。
つまり頭を休ませることができるのです。
愛着とは

生まれて〜12週ころ | 人見知りはない
人の区別がつかない | 人の声を聴くと泣き止む
誰か区別はつかない |
12週〜6カ月 | お母さんを認識
特定の人を認識できる | 笑う
人によって反応が変わる |
6カ月~2、3歳 | 後追い
おばあちゃんの所へお泊りできない | 誰かを区別して明らかに反応が違う
警戒心も出る 養育者を安全基地として周囲の探索行動をするようになる |
3歳~ | 協調性形成
おばあちゃんの所へお泊りできる | 養育者の感情などを推察することができるようになる
人の行動の予測ができるようになる 自分の行動を修正できるようになる |
参考:心理学概論「愛着の発達段階(4段階)」(ボウルビイ1969年)より
この6カ月~1歳半くらいの時期に養育者に愛情いっぱいで育てられていると大人になってから自分をしっかりと守れるようになります。
過保護でサポートしすぎると、子供の主体的な探索行動を妨げることになり子供にとって良い安全地帯とはいえなくなってしまいます。
依存的で不安の強い、自立できない子供となってしまうことがあるのです。
4種類の愛着パターン

安定型(60%)
ママから離れると不安になり、すぐに泣く。
ママが現れると、とても喜ぶ。他の人と楽しみながら取り組むことができる。
回避型(15~20%)
ママから離れても無反応。
ママと再開しても喜ばない。
児童養護施設などで育った子供に典型的といわれている。
反抗や攻撃的になるといわれている。
相手が傷ついていることが気づかなかったりする。
突然攻撃的になったりすることもある。
人に頼られると面倒だと思う。
抵抗・両方型(10%)
ママから離れると激しく泣く。
ママが現れると嫌がったりする。
親がかまってくれるときと、そうでないときの差が激しい場合や神経質で過干渉な親の場合に多いとされる。
不安障害の子供になることが多い。
混乱型(回避と抵抗が混じっている)
一貫性がない。境界性パーソナリティ障害になりやすいといわれている。
特徴としては、過去に囚われやすいということがあります。
そして、過剰な反応をして、思い込みも激しいです。
白か黒かハッキリしている方が多いです。
愛着障害の人は意地っ張りで、こだわりが強い方が多いです。
極限まで自力で対処しようとするので結果的に潰れてしまって自分のことがあまり好きでなかったり自分のいいところをなかなか言えない方が多いのです。
依存もしやすいのでアルコールやスマホ、ギャンブルなどにも注意が必要です。
不安型と回避型のタイプは病院に行きたくないので、治療をちゃんと受けない傾向があるといわれています。
愛着障害の克服のヒント

克服していくには親との関係を改善していく必要があります。
安全基地を作ることが大事です。
良い安全基地
- 安全感を保証する
- 感受性・共感性がある
- 応答性がある(求めた時に応じてあげることが大切・相談できる・守ってもらえる)
- 安定性ある
- 何でも話せる
大人になっても愛着を求められたら幼い子供のように優しく抱きしめてあげて、失われた時間を少しでも取り戻してあげることが重要です。
愛着の傷を修復するためには安全基地を確保して子供のころの不足を取り戻し周囲に受け入れてもらっているという共感をもらうことが大切です。
そして無意識的な過去の記憶、もやもやしたものネガティブに考えてしまうこと、これらをすべて語りつくすことが大切です。
すると今まで親の否定的なことばかりが目立っていたのが自分のためにいろいろしてくれたんだな~と良かった面や愛情を受けたことにも向き合えるようになってきます。
「愛着障害」より 岡田尊司著
まずは休んで感じること
やる気を出していくには順番があります。
不登校で苦しんでおられる、わが子をみて怒ってしまったり、なんでうちの子は学校に行くことができないんだろう、そう悩んだりしていませんか、お子さんも自分は行きたいけど行けないと悩んでいるんです。
克服には順番があります。その順番をみていきます。



このような順番で気づくことが大切なんです。
すべての物事がその方にとって必要なことが起こっています。
ポジティブにとらえて対応することが大切なんです。
気づくことは傷つくこと
このような順番で対処しようとしても自分の心の中にドリームキラーと呼ばれるもう一人の自分がいます。
これは天使と悪魔みたいなものです。
こうやったらいいとわかっていてもできない、こんな時は、もう一人の自分、ドリームキラーが邪魔をしてくることになるのです。
それを振り払い、また前を向いて改善する方向へ向かうのは自分なのですが、そのサポートを私たちがさせていただいているわけです。
問題にぶち当たった時それに気づくことになります。
しかし、それは今まで潜在意識で見ない様に感じない様にしていた部分ですので、とても辛いことに気づくかもしれません。(「臭いものには蓋をしろ」みたいなことですね)
気づくことは傷つくことになるかもしれません。
それでも、それを克服することで明るい光が見えてくるのです。
なかなか、これをやったからすぐによくなっていくということではございません。
すべての方にはあてはまるということではありません。
参考程度にご覧ください。
子供にかける言葉

ついつい言ってませんか?
実は、私も子供に対して、よく使ってしまっていた言葉もあります。
これは子供の愛着形成にも非常に関係しています。
そうしたら、どう話したらいいのか見ていきますね。
言ってしまいガチな言葉 | どう話したらいいのでしょうか(これが全てではありません) |
そんな子は大嫌い | 例え悪いことをしても、お母さんだけは、あなたの味方ですよ、「あなたのことを大切に思っている。あなたは私の子供だ!」と語りかけてください。 そんなことをしたら、お母さんは「とても悲しいと思っているよ」と諭してあげてください。 |
早く寝ないとお化けがでるよ | 寝るときは安心させてあげてください。眠る時の恐怖や不安は悪夢になったり、心の傷になりかねません。 「いい子で寝ようね」と話してあげると、お子さんは、きっといい夢が見れますよ。 |
もうやらないと約束したよね | これからどうしていこうか |
いつも言われているだろ | こういう時、何って言われている? |
やる気あるのか | 今、君はどんな気持ちかな |
試合やテストの前は緊張する | 緊張するのは真剣で本気になった証拠だ |
勉強についていけなくて焦っている | 焦りとは、ついていきたい、やる気がある気持ちの証だ |
ミスをするな | 自分のベストを尽くそう |
ビビルな | 勇気を出して、やってみよう |
参考:「スクール・ペップトーク」より
両親の夫婦仲が良いことも重要
両親がケンカばかりしていると、それを見て育った子供さんは、悲しくなったり、うまく甘えられなくなったりします。すなわち愛着に問題がでることがあるのです。
両親の夫婦仲は子供の結婚生活の手本となるものです。相手の短所も長所も認め合っている、優しい思いやり満ちた夫婦が理想だと私は思います。
自他は違いますが、お互いの価値観と愛情で結びついているでしょうか。そんな夫婦であれば、お子さんにとって未来の幸福な結婚生活の手本となるものだと信じております。
愛されて育つと自己肯定感が上がる
親に愛されて育った子供は頑張れる子供で親切な人に成長してくれます。
自分を肯定できて、愛することができる人間に成長してゆきます。
愛情に満ちた関係を理解しているので、愛し愛される関係を築いていくことができるのです。
スキンシップが大切な理由
触れる事、スキンシップは人間にとって大切な癒しです。オキシトシンという幸せホルモンが分泌されることもわかっております。
これは治癒力を高めることもわかっているのです。
ちょっと抱きよせてもらうだけでも、心も体も穏やかになるのです。

当院のあるお母さんは、子供のことが、とっても大好きなのに愛情表現がうまくできず、悩んでおられました。そんなお母さんに、言葉も大切ですが、「抱っこしてあげるだけで伝わるんですよ」とお伝えしたところ、とても良い関係になられ「私、自信が癒されました」とおっしゃっていました。
できるだけ多く、子供さんを抱きしめて、やさしく触れてください。
子供さんは、そんな親の愛が、とてもとても必要なのです。
参考:「子供が育つ魔法の言葉」より
参考:「子供を追い詰めるお母さんの口癖」より
自己肯定感をあげる

自己肯定感を上げていく、自分の感情をコントロールしていくなどという、心理的なサポートもしておりますので、どうか一緒に頑張ってまいりましょう。
まずは紙と鉛筆を用意します。
そして1分間で自分の好きなところを10個書いてください。
それを毎日書いていきます。
最初は、あまり書けないかもしれませんが、ちょっとづつ筋トレのように上手になっていきますので継続してやってくださいね。
参考:「愛着障害」より
愛着の問題はこちらがわかりやすいですよ。
↓↓↓
まとめ
- 自己肯定感をあげて自分に自信を持つ
- 愛着形成ができているか、大きくなってもハグが大切
- 自分の意見を言えるような訓練をしていく