

夏休みが終わり、その後、学校に行けなくなりました。
何もやる気がしないんです。
学校が嫌いなわけではないんです。
友達もいますし、先生も優しくて助かっていますが、どうしても朝、起きれないんです。
どうしたらいいですか?
このようなお悩みを解決します。
休み明けに突然、学校に行けなくなった中学1年生の男子学生さんです。
小学6年生のころから、なんとなく朝の寝起きが悪くなったそうです。
病院では特に問題がないといわれて、そのままでしたが、連休があって、休み明けにフラフラ~として頭に血が上って爆発しそうということで学校に行けなくなってしまいました。
同じようにお悩みの方がいらっしゃいましたら、どうぞご覧になってください。
夏休みなどの休み明けから、立ちくらみなどがして、学校に行けなくなって困っている方、またそのご家族
ふわふわしたりするのは、起立性調節障害といって自律神経の血圧の調節がうまくいかないことが原因かもしれません。
解決のヒントは「思い込み」を失くすこと!
新型コロナなどの影響で生活習慣が、かなり変わってしまいました。
2021年になり、かなり生活にも慣れてまいりましたが、まだまだ収束には至っておりません。
それでも日常は訪れます。
仕事、学校は通常通りに始まっております。
長期の休暇などの後は、生活習慣が乱れて、自律神経が乱れやすくなっております。
それに加えて感染症などの影響で心も疲れ、身体も疲れきって、疲労が蓄積されています。
こんな時は、朝、起きれなくなってしまうこともあるのです。
休み明けに学校に行けなくなった男子中学生
K君はゲームが大好きです。
休みの前日は夜中、遅くまでゲームをやっています。
そして深夜まで起きていたので休みの日は、お昼頃まで寝ています。
お母さんも「休みやからええか~」と放任主義でした。
そして中学に入りスマホを持つようになり休みの日は8時間くらいスマホを触っていました。
そんな生活を繰り返していると、目の疲れが強くなり、朝起きれなくなってしまい、学校に行けなくなってしまいました。
そして学校の保健の先生も心配し内科の先生も心配して、ご両親も心配して当院へおみえくださいました。
最初にK君が、お話してくれたのはこんな感じでした。
病院では異常なしといわれる
まずは脳に問題がないかの検査で病院にいかれました。異常はありませんでした。
そして次に耳鼻咽喉科でめまいの検査をしてもらいました。こちらも異常がありませんでした。
そして当院へおみえくださいました。病院では脳や耳などの病気ではないことがわかったのです。
週1回の保健室
そのころ、学校へは週1回、1時間だけ保健室にいくことは、なんとかできておりました。
本人は、「なんとか学校にいきたい」「いかなくてはいけない」みたいな感じの意志は感じました。
性格はおとなしい方で他人と喧嘩することもなく、家でも、お母さんのいうことも良く聴く「いい子ちゃん」です。
それが感情の抑圧につながってしまったのかもしれません。
感情を出さないので体に症状が現れてしまったのだと感じました。副交感神経が優位なタイプのように感じました。(すべての方が同じではございません。)
対策としては運動をすれば交感神経が働きやすくなりストレスが発散されて良い方向へ向かわれる方もいらっしゃいます。
睡眠慣性・睡眠惰性を知る
「睡眠惰性」「睡眠慣性」という言葉を聞いたことはありますか?
簡単にいいますと寝起きは脳がちゃんと起きていないので寝ぼけているということです。
個人差があるのですが、だいたい20~30分は、シャキッとするのに時間がかかるのが普通です。
大事なのは、よく寝たのに、疲労感が取れない、だるい、頭が重い、目がパチッとしない、不快感があることは普通なので、自分は体調が悪いんだと決めつけないで欲しいということです。

体調が悪いんじゃないかと自分で決めつけたり、思い込んだりすることで、精神的ストレスを高めてしまい、自分の体調に自信がなくなり落ち込んでしまうことがあるのです。
まず、寝起きは不快感が強いのは当たり前と理解してください。
そして20分ぐらい経ってから、少しずつ朝の準備・行動をして交感神経を上げ活動し、体の感覚を確かめるのも良いでしょう。朝一番に痛みなどが出る方には、その部位をゆっくりと摩ってから起きてくださいとアドバイスいたします。
特に神経ではC線維という神経を刺激することで痛みが和らぐようにできているのです。
朝一番の体の状態を知る
簡単に言いますと睡眠誘発物質であるメラトニンというホルモンが、朝になるにつれて減っていきます。
覚醒させるホルモンはコルチゾールといいます。このコルチゾールは一気に変わらないので、徐々に覚醒していきます。
だから、寝起きの不快感は当たり前なのです。
自律神経では副交感神経から交感神経に切り替わるタイミングなのですが、一気に変化しないのです。
交感神経が活性化すると、血圧や血糖値、体温が上昇します。
体が温まってくると脳が活動的になるので、「睡眠慣性」「睡眠惰性」の感覚がなくなります。
寒い朝は体の体温がなかなか上がらないので夏より目覚めが辛く感じるのです。
子どもや若い人は元々睡眠ホルモンであるメラトニン量も多いので、寝起きが悪い・中々起きれないのは当然なのです。
だから夏休みはラジオ体操などをして交感神経を正常に上げる訓練をし、身体のリズムや体内時計を整えて自律神経を刺激して正常にしようとしているのです。だから子供さんと一緒に朝に体操するのは、とてもおすすめです。是非やってみてください。
そして疲労困憊の方はラジオ体操でもしんどいです。
そのような方は布団の中で手や足を動かしたり膝を立てて左右に倒したり、少し柔軟体操をしてみてください。すると体温も上がり、覚醒もしてくれるのです。

まずはこれから!
まずは体のバランスを整えて呼吸と血流を上げるように施術していき体力を増やしていきました。
そして痛くない整体で背骨の歪みや動きを整えていきました。
そして次に感じる訓練から始めました。グラウンディングで足の感覚をつけていきました。
そして、その次に自己尊重感を高めていく訓練を毎回いたしました。
30個自分の好きなところを紙に書いてもらいました。
どんどん書くスピードも速くなっていきますので根拠のない自信が生まれてきたみたいで良かったです。
- できたことを褒めて、確認し自分を認める
- 自分のことを許してあげる
- 自分にできるもの、あるものを確認してもらう
- 紙に書いた自分の好きなところを目につくところに貼る
思考を働かせて、考えたり、実際に動いたりするには、エネルギーが必要です。
何も感じなかったら、動かなくてもいいし、心も傷ついたりしなくて済むのです。
だから、しんどすぎると防御反応で辛さや感情を感じなくさせてしまうのです。
これを「失体感症」「失感情症」といいます。
しんどすぎると、このようになってしまうことがあるのです。
対策と施術の経過
施術では、特に背骨と骨盤、首の骨を重点的に調整させていただきました。
調子があがってくると頭とお腹の調整の割合を増やしていきました。
これをさせていただいたから、良くなったということではなく、毎回させていただくことも違う場合もあります。
しっかりと検査して、その時、その時のオーダーメードの施術をさせていただきます。
徐々に表情も明るくなられ学校に行けるようになってこられました。
心へのアプローチ
感情に関しては、自分の言いたいことがあまり言えていなかったので、感情を出すような訓練をしていきました。
特に目立ったのが「嫌だ」ということが友達に言えない状態でした。
それが感情の抑圧となって筋肉緊張が無意識に起こってしまい、血流が悪化し脳の酸欠状態を起こしているものだと判断しました。
すると機能低下を起こし、血圧を上げたりするコントロール能力も低下するので、朝起きれないという状態になっているとお伝えしました。
ですので感情を出す、家では自分の言いたいことを素直に言ってもらうように伝えました。3か月くらいかかりましたが、少しづつ意志を伝えることができるようになってきました。
毎日、学校に行けるようになった!
今では学校に毎日行けるようになられました。
メンテナンスで月に2度、おみえくださっておりますが最初はじっとしていられなかったのが、かなり止まっていられるようになられました。
原始反射にも注目し、モロー反射などが統合されていませんでしたが、慣らせていったり、いろんな刺激や体の調整をすることで、落ち着いてこられました。震えなどもなくなり、表情が明るくなりました。
5つの気をつけたこと
- 運動をできる範囲でしてもらった(運動と大きな声を出してもらった、起きる時はゆっくりと起きてもらった)
- 意識して笑ってもらった
- 睡眠の質を注意してもらった(特に朝起きる時間を決めて守ってもらうようにしました)
- 食べる時によく噛んでもらった(自分の感情にアプローチするため、好きなものを感じてもらった)
- 学んでもらった(知識をつけると不安が少なくなりますので勉強してもらった)
- 情緒的サポート
- 対処能力
- 体力
- 自己肯定感

起立性調節障害の起こるメカニズム
小中学生に多く、自律神経の調整がうまくいかず、起立時に体や脳への血流バランスが悪くなる病気といえます。
- 10歳以上くらいの子供さんに多い
- 女の子に多い
- 春先や夏休み明けに症状が酷くなることが多い
- 学校の成績が下がることが多い(脳への血流不足、集中力不足)
- イライラしやすくなる
- 寝つきが悪い
- 家族でも同じ症状で悩んでいる人が多い
- 聞き分けの良い「いい子ちゃん」が多い(自分の感情の抑圧をする)
- 「ノー」と言えない
- 自我、我がままを言わないのでストレスを溜め込む
確認のために次のテストをやってみてください!
【テスト】
- 学校を休むと症状が軽減する
- 身体症状が再発、再燃を繰り返す
- 気にかかっていることを言われたりすると症状が悪化する
- 一日で何度も身体症状の変化がある
- 身体的な訴えが二つ以上ある
- 日によってカラダの調子が違う
この中で4つ以上、週1~2回あると心理社会的因子があるといわれています。あくまでも参考にしてください。診断は医師におまかせください。
4つのサブタイプ
①起立直後性低血圧
立ったらすぐに起こる
②体位性頻脈症候群
立ったら血圧低下はあんまりないが、心拍が増える
③血管迷走神経性失神
立っていて突然、血圧が下がって、意識がもうろうとしてしまう
④遷延性起立性低血圧
立って3~10分たって血圧が低下する
他の似た病気との違い
うつ病
起立性調節障害は朝が起きられない。頭痛やめまいがあっても夜には別人のように元気になることがあります。うつ病は興味や、やる気がなくなってしまうことが多いです。
鉄欠乏性貧血
体内の鉄が欠乏すると酸素が運べません。動悸、息切れ、倦怠感、頭重感、立ちくらみが起こることもあります。小腸の吸収能力の問題やガンジダ菌が原因の場合もあります。
脳脊髄液減少症
打撲や交通事故で起こってしまうこともあります。硬膜が破れて起立性頭痛、首の痛み、全身倦怠感、めまい、疲れやすい、吐き気、耳鳴りなどの症状が出る場合があります。
甲状腺機能低下症、亢進症
体温が下がったり、全身の倦怠感がでる場合があります。亢進では頻脈になったりします。
まとめ
- 朝一番のだるい感じだけで判断しない
- 睡眠惰性という脳の覚醒が不十分な時間があるということを知る
- 夏休みでもラジオ体操などの運動をしてリズムを整える
- 交感神経も副交感神経も働くように規則正しく生活する