

手洗いがやめられない、玄関のカギを何度も確認してしまうということで悩んでいます。
なぜ私は普通のことが普通にできないんだろうと落ち込んでしまいます。
どうしたらいいでしょうか?
このようなお悩みの解決のヒントになれば嬉しいです。
誰のせいでもありません。あなたの脳がそのようにしてしまっているのです。
家族など周辺に居る人からの理解が、なかなか得られないことが多いです。
「なんで、そんなこともできないの」
「そんなに確認することないでしょ」
「さっきも確認したでしょ、何回も言わせないで!」
家族からにも、きつく言われることもあるかもしれません。
本当にお辛いですね。
どうぞ一人で悩まずにご相談ください。
きっと解決するヒントがありますので、どうぞご覧になってください。
確認、手洗いがやめられず、何とか克服したい方
強迫観念と強迫行為
強迫的な行為というのは、そんなことをしなくてもいいのは、ご本人がわかっておられるのです。
これは不安と恐れから来ることが多いです。
まずは強迫観念などについて、どんなものかご紹介します。
強迫観念と強迫行為の関係

これの繰り返しなのです。つまり不安など考えすぎることがあって、それを何らかの体の行動などで補って、その苦痛を取り除こうとするものなのです。
ストレスや感情の抑圧の代償行為だともいえるのです。
このような方は神経質であったり、真面目すぎたり、完璧主義の方が多いです。
そして個性(パーソナリティ)にも特徴的なことがあります。
こんな心理テストをやってみてください。
強迫性パーソナリティ障害
育っていく背景の中に、強迫性障害の克服のヒントがあるかもしれません。
まずは、このテストをやってみてください。
これで4つ以上当てはまりますか?
パーソナリティのテスト
4個以上当てはまったらこのタイプとなります。複数のタイプが重なることが多いです。
4つ以上、当てはまった方はこちら
もしも当てはまったら、パーソナリティ障害の「強迫性パーソナリティ障害」かもしれません。
ぜひともご自分では「克服のところ」を参考にしてみてください。
また、ご家族に強迫性障害の方がいらっしゃる場合は「接し方」をご覧ください。
強迫性障害の症状
①洗浄強迫・清掃強迫(綺麗好きが過度なもの、何度も何時間も手を洗ってしまう)
ある特定の状況や、特定の物によって汚染されることを恐れる強迫観念に苦しんでおられます。
例えば鳥が嫌いで、ハトの糞などが当たってないにもかかわらず、飛んできて触れたように感じて必要以上に手を洗ってしまったり、長時間シャワーを浴びたりしてしまいます。
また、何時間もかけて部屋を掃除するなどの儀式行動が現れたりします。死や病気という好ましくない結果を防ぐためだと思い込んでする場合もありますが、だいたいは自分が安心するために行います。
継続時間は1日、30分~10時間に及ぶこともあります。
それが
手を洗う
↓
泡が気になる
↓
蛇口が気になる
↓
ゴミ袋が当たってないのに、自分に触れた感じがする
↓
手袋をするが汚く感じる
↓
洗ったのに、まだ汚く感じる
↓
洗ったのに記憶がない(洗ってないかもと、不安になる)
などと、いろいろと想いがめぐり、不安の堂々巡りとなってしまう方もいらっしゃいます。
とてもお辛いです。
②確認恐怖(何度もカギを確認してしまう)
大災害が起きないように、過剰な点検をします。
通常は火事が起きないようにガスコンロやコンセントなどに執着し、泥棒が入らないように窓や扉の施錠を何回も何回も確認します。
確認→不安→確認
というイライラの堂々めぐりをする人もいます。
自分が安心するために外出するときに第三者に確認してもらい、責任を押し付ける場合もあります。
家族の場合が多いですが、これを巻き込み型といいます。
③繰り返し強迫(考えたくなくても考えてしまう)
一度、恐ろしい考えが心に浮かぶと、それを実現させないようにするためには、ある行為を繰り返さないといけないと感じるのです。
確認強迫との違いはその行為と理由の論理的な関係が説明できません。
例えば配偶者の死を不安に感じているとします。
そんな時に服を脱いだり、着たりします。
それで不安が消えるまで服を着脱します。
④整理整頓強迫(左右対称でないと気持ち悪い、不吉な数字が嫌)
左右対称に並んでいないと気がすまない人です。
イングランドで有名なサッカー選手もこれにあたります。
冷蔵庫の中が左右対象に並んでいないと気がすまないというような感じです。
物事が完璧でないと不快感によって、引き起こされる儀式行動にとりつかれているのです。
当院では数字に執着される方がいます。「4」や「9」も一般的に不吉な番号と感じる方もいらっしゃいますが、それが、ものすごく酷くなった場合は、日常生活にも支障がでます。
⑤溜め込み・収集強迫(ゴミが捨てられない)
つまらないものを集めては捨てられない人です。
いつかは必要になるだろうと捨てられないのです。
家がごみ屋敷みたいになる可能性もあります。
⑥想像型儀式行動強迫(同じルーティンでないと気持ち悪い)
苦痛を和らげるために想像型の儀式行動を取ります。
繰り返すのは行動ではなくて、頭の中での考えなのです。
祈り、特定の言葉や文句を繰り返します。
数字を数えたりします。
スポーツ選手のルーティン、日本では元担ぎ(げんかつぎ)というのも過剰になりすぎると儀式行動となることがあります。
それを他人に押し付けたりすると、日常生活に支障が出る場合もあります。
⑦極端な心配症や軽い強迫観念
ネガティブな考えを繰り返します。
日常的な心配などに執着します。
健康のこと、過去のトラウマや傷つけられたことなどをいつまでも考えてしまって、今から行うことでも、失敗するのではないかと考えてしまいます。
予期不安も酷くなると外出できなくなったり、してしまいます。
あなたがどんなタイプなのかを把握することも大切です。
今の自分を知ること、気づくことは大切です。
気づくことは、傷つくことでもありますが、出口の見えないトンネルでずっと迷っているより、今、自分がどの場所で迷っているのかを知ることで、ゴールはどちらの方向で、今ここの自分を知ることができるのです。
次の質問にお答えください。
どんな症状でお悩みですか?
この1カ月で悩んでいる項目をすべてチェックしてください。
【洗浄と清掃】
- 汚染される可能性があるので触らないものがある
- 床に落ちたものを、なかなか拾えない
- 家の中の清掃をやりすぎてしまう
- 自分の手を洗いすぎてしまう
- とても長い時間シャワーを浴びたり、風呂に入ったりすることが多い
- 細菌や病気に異常なほど関心がある
【点検や繰り返し行動】
- 何度も点検しなれば気がすまないことがよくある
- 何度も同じ行動を繰り返し、なかなか終われない
- 悪いことが起こらないように、同じ行為をくりかえしてしまう
- 間違いをすることに過度に心配する
- 誰かが自分のせいで傷つくことを過度に心配する
- 特定の考えが浮かぶと、同じことを繰り返してしまう
【整える】
- 自分の周りのものは、左右対称など、ある特定の秩序にのっとって並んでいなければならない
- 物が正しい位置に収まっているかの確認に時間がかかる
- 自分の物がなくなっているとすぐに気が付く
- ベッドは完璧に整えられていなければならない
- 物事はあらかじめ決まった方法で整理しなければならない
- 自分の物が他人の手で並べられると不快に感じる
【溜め込む】
- なかなか物が捨てられない
- 気が付くと不必要なものを家に持ちこんでいる
- 何年も家の中には収集品でいっぱいだ
- 他人が自分の持ち物に触るのは嫌だ
- 物が手放せないという自分に気づくことがある
- 他人は自分のコレクションを役に立たないと想っているだろうなと思う
【想像型儀式行動】
- 特定の言葉や数を心の中で繰り返すのは心地よい
- 自分が安心するために、あることを何度もつぶやかなければならない
- 宗教的な目的のない祈りに、多くの時間を費やしている
- 「悪い」考えが、自分に「良い」ことを考えさせると想う
- 好ましくない結果を避けるために、出来事を詳しく想いだそうとしたり、心の中でリストを作ったりする
- 落ち着いていられる唯一の方法は「正しいこと」を考えることである
【心配性と軽い強迫観念】(行動的、想像的儀式行動はない)
- 自分の意思に反して生じる不愉快な考えのせいで、よくイラつく
- 自分が毎日している単純なことに、疑いをもっている
- 自分の考えをコントロールできない
- 恥ずかしいこと、驚くこと、暴力的なこと、異様なことがよく心に浮かぶ
- 自分の良くない考えが現実となるのが怖い
- 一度心配し始めると、なかなか落ち着かない
- どうということのない些細なことが、すごく心配になる
この1カ月で、その行動に、どのくらいの時間を費やしましたか
洗浄・清掃 時間 分
点検・繰り返し 時間 分
整える 時間 分
溜め込む 時間 分
想像的儀式行動 時間 分
心配や強迫観念 時間 分
この合計が、1日2時間以上になっている場合は専門家の助けが必要かもしれません。
参考:「強迫性障害を自宅で治そう」より
*自分だけで苦しまずに専門家に相談してください。
*薬にあまり頼りたくないでしょうが、日常生活に支障が出ている時は必要な分だけ必要な時だけ頼らないといけないこともあります。
ある考えに強く囚われることを恐れるとき、あなたのカラダは防御態勢に入ります。
その時、エプネフリン(アドレナリン:副腎髄質のホルモン)という化学物質を出します。
強い刺激に備えるホルモンです。
筋肉が緊張し、心拍数があがり、呼吸も速くなります。
そして、いろんな考えが浮かんできます。
それと自分が安心するために手を貸してくれる人を探します。
手を洗う回数を家族に数えてもらったりして完璧さを要求し、それで安心するのです。
ですが、それでも、なかなか安心することができず、しばしば家族と喧嘩になったりしてしまいます。
これをコントロールするには自分で「気づく」ことが第1歩となります。強迫観念とは戦うことをやめることです。受け入れて、うまく受け流すことも必要なのです。
エネルギーサークルから考える

まずは、強迫行動を起こしたくなったときには、自分の心や体について感じることが大切です。今、肩や首が緊張しているな~、足元に感覚がなくなってフワフワしているな~、心臓がバクバクして息苦しいな~、わかっているけど洗いたくてしょうがないのでイライラするな~と感じるのです。
次に気づくことです。
感情にも気づいてあげてください。そんな、あなたの今の感情や感覚であることに気づいてあげることが大切です。
今まで、辛くて自分を押し殺して完璧になんでも物事をやりたくて、でも自分だけでは難しくて我慢ばかりしてこられたのではないですか?だから、そんな自分に気づいてあげることが大切なのです。
あなたはよくやっているんです。
できていることにフォーカスしてください。
そして強迫行動に入っていったとします。
その行為に罪悪感を持たずにやってみてくだい。
あなたは、ちゃんと手を洗えているか不安になります。
歌を歌いながらでもいいです。できるだけ自分の納得できるようにやってみてください。
ここまで出せれば交感神経は終了です。
その日、その日の体調にも変化がありますので昨日はできたのに今日はできないということもあります。
それも想定内です。
大丈夫です。
ここからが大事です。
他人の承認というのが大事です。
できたら家族の方に手を洗うのを見てもらったりしてください。
それで大丈夫なんだと承認してもらうことが大事です。
くれぐれも順番が大事なんです。
自分の承認が先ではなく他人の承認が先です。
そして自分の承認です。
ここでもすぐに納得できる時もあれば、出来ないときもあります。
落ち込まないで、すべてあなたにとって必要なステップなんだと理解してください。
そして、それができて納得できて、しっくりきていたら、注意の引きこもりという執着からの手放しが少しづつ、できるのです。
お辛いのは自分でも「やりすぎているな~」と十分にわかっていることなんです。
ゴム手袋をやっていても、それが汚れているんじゃないか?
手を洗っても、洗っても100%ではない、まだ汚れているんじゃないか?
自分では不安で不安でしょうがいない!わかっているんです。
本当にお辛いですよね。
原因は
まだよくわかっていません。
セロトニンが関係しているという研究報告がございます。
克服するための考え方のヒントです。
これが全てではありません。
どれか一つでも少し心が軽くなれば嬉しいです。
課題1:自分の問題を克服すると決意する
「自分で克服できるんだ」と信じることです。信じ続けることが信念となります。
課題2:自分の心配には根拠がないと気づく
自分の強迫的な心配は、かなり誇張されたものであると理解してください。
詐欺にあった感覚で、心の声が聴こえたら、「詐欺だから無視しよう」と考えてください。
課題3:儀式行動は苦痛を取り除くための唯一の方法ではない
他のやり方も効果的かもしれないと想うことが、強迫行為を取り除く第一歩なのです。
パターンを変えると、不安が少なくなって、うまくいくときもあります。
課題4:強迫観念には逆らわず、受け入れる
非現実的だと想いながら、認めることも必要なのです。
逆らえば逆らうほど、より長い時間、心の中にとどまるからです。
受け入れて、受け流せたらいいですね。
強迫観念にとらわれているときにすること

参考:「強迫性障害を自宅で治そう」より
反応を遅らせる
注意を払うと決めます。
心配する時間をはっきりさせます。
考える時間を延期します。
悩み方を変える
●自分を一歩引いて映画を観ているように冷静にみてみます。
(ディソシエイションといいます。詳しくはこちらをご覧ください。)
●その時の感情に気づくようにしてください。
(感情を感じるということです。不安に想う、恐れ、恥ずかしいなど)
●一時的に強迫観念を持っても大丈夫だと言い聞かせてください。
●強迫観念は理にかなっていないと自覚してください。(分析はしないでください。)
●特定の行動をとることで感情的な反応を変えてください。(紙に書く、手洗いの時に歌にして口ずさむなど)
心配や緊張を解き放つ
浮かんでくる考えやイメージを受け止めると決意してください。
自信に満ちた言葉で決意してください。
(それは私には関係ない!間違っていてもかまわない!完璧である必要はない!今、この考えは役に立たない!などを唱えてください。)
不安を消すためにリラクセーションを優先してください。
(深呼吸、ヨガなど、良い姿勢、副交感神経を優位にする整体などもおすすめです。)
新しい行動に注意を向けてみてください。
脳の違うところが働くことで、変化を感じられることもあります。
これらはあくまでもヒントです。
専門家の助けが必要な場合もございますので自分だけで頑張りすぎないようにしてください。
それと家族の対応を少しお話します。
応援してくれる家族、不安を少しでも見守ってくれる家族、時には助けを借りることも必要なんです。
家族の対応
これらの行為は感情の抑圧から行っていることが多いので「承認」してあげることが大切です。
同じ行動の繰り返しに対して「自分で勝手に確認したらいいだろう!」「毎日、毎日、同じことやらせるなよ!」といって怒鳴ったりしないようにお願いします。
「もう大丈夫だって!」とは絶対に言わない方がいいです。
基本的にはその方の欲求を満たしてあげるようにするのがいいのです。
ですので本人は「良くない行為」と感じていることが多いので、あなたには今、これは必要な行為なんだから無理にやめようとしないでいいよ!と認めてあげるのがいいと想います。
急いで克服しようとしても効果がすぐには現れないこともあります。
参考文献:「家族に贈る強迫神経症の援助法」より
といっても本当に家族の負担も相当、増えてしまいます。
イライラすることもあると思います。
ですのでご家族の方も一人で悩まず、病院の助けを借りることも必要です。
そしてストレスをまずは減らすことです。
構造的なストレスにも目を向けるべきです。
ココロとカラダはつながっています。
ですから身体が楽になるとココロも楽になりやすいのです。
逆に薬だけで抑えようとするよりもカラダも楽にしてあげる方が楽になられる方も多いのです。
不安についてのメカニズムも参考にしてください。
簡単に風邪のように熱が引いて、そしたら明日から元気に走り回れるか?といったらなかなかそうはいきにくいですよね。
薬も一気にやめるのではなく、徐々にという感じになる方が多いのが現状です。
ですので自己判断で一気に薬を減らすようなことはしないでくださいね。
きちんと医師に相談してくださいね。
最初がとくにお辛い方が多いです。
ですので、それを乗り越えてください。
そうすればきっと明るい未来が見えてきます。
私のできる限りのサポートをいたしますので一緒に頑張りましょう。
私の経験上、一度良くなっても、また再度ぶり返すことも少なくありません。
その時は前よりもお辛くなることも多いです。
でも大丈夫です。
あなたは一度、克服できているんです。
成功体験をされています。
大丈夫です。
自分を信じてください。
安心してください。
例えば、最初は不安すぎますよね。
しかも知らない人にいろいろ話なんてできませんよね。
最近は「先生はやさしそうやったからラインに相談しました~」とよく言ってもらえるんです。
先日いただいた質問は「手を洗うのをやめたいんやけど、どうやったらやめれるかな?」「鍵を締めたけど、締めたかどうか不安になるときはどうしたらいいですか?」「ガスを締めたかどうか不安になって、何回も何回も見直して、遅刻することもあるんですが、どうしたらいいですか?」「不安に想うと外にでれないし、物音がすごく敏感に感じてしまう時はどうしたらいいですか?」「鳥の糞がかかるわけがないとわかっているのに、かかったように感じてしまうので、どうしたらいいのかわからない。情けなくて泣いてしまう」こんな質問をいただきました。
おひとり、おひとりにアドバイスできる時にはすぐにお返事いたします。
自律神経の不調やココロの不安などはパッとすぐに良くなるものではないことが多いです。
ココロの癖も関係します。
どうぞ諦めないで一緒にがんばっていきましょう。
全力でサポートいたします♪
(参考文献)
まとめ
- 自分の特徴を知る
- 脳の問題だと理解する
- 違うことを考えることも重要