高校2年の陸上部の長距離選手です。
練習をたくさんした次の日から足のスネが痛くて走れなくなりました。
整形外科では「シンスプリント」と診断され湿布と痛み止めの薬をもらいました。
少し痛みがラクになったので練習を再開すると痛みが再発してしまいます。
根本的に治して、思いっきり走れるようになりたいです。
それはお辛いですね。
僕も中学、高校、大学とサッカーをやっていたので、捻挫や肉離れに泣いた経験があります。
当時は整形外科や整骨院も近所になかったので放置してしまったので足首が曲がりにくくなる後遺症があります。
歩いたり軽く走るには問題はありませんが、長距離を走ると膝や腰、足首が痛いくなることがあります。
ミカちゃんが思いっきり走れるように全力でサポートします。
一緒にがんばりましょう。
足のスネの下側が痛くなる「シンスプリント」についてです。この「シンスプリント」は1958年ごろは疲労骨折と考えられていた時期がありました。ですが少しづつ解明されていき、今でもハッキリとは解明されていませんが骨膜の炎症という考えが主流になってきています。
硬い地面を反復して走ることによって、その力が足に伝わり、足の筋肉が異常に緊張してしまって炎症が起こってスネの下1/3の内側を痛めてしまいます。
最近では「シンスプリント」ではなく2012年ごろからは「MTSS」という呼び名の方が有名になってきました。ランニングに多いスポーツ外傷です。
2015年にアスリートや新兵などで、よく歩いたり、走ったりする人で、足に衝撃を伴う運動の繰り返しでスネ(脛骨)に出る、使いすぎによるケガ、皮下骨膜炎といわれています。
MTSS(内側脛骨ストレス症候群):Medial Tibial Stress Syndrome
足のスネの痛みが軽減しスポーツ復帰できる
シンスプリントとは?女子陸上選手の闘いの始まり
シンスプリントはⅠからⅢまで分類されています。
Ⅰは脛骨内側の皮下骨膜炎、水ぶくれになっている状態です。
Ⅱはふくらはぎの後ろの内側に強い痛みがあり、ヒラメ筋、長趾屈筋の脛骨に付着するところの痛みです。
Ⅲは上記2つのどちらもあり、若い人、骨密度が低い方に多くみられます。発生原因はハッキリとわかっていませんが①圧縮力がかかり疲労骨折のようになっている②牽引力により発症していると言われています。
私が専門学校で学んだ時は「後脛骨筋」が主な原因だと学びましたが、最近では「長趾屈筋」が原因とする説が有力です。
発生メカニズム的には内側のアーチに関係することは間違いありません。膝も着地の時に内側に捻じれている方が多いです。
発症しやすいのは女性で、急に体重が増加した場合やアーチが低い偏平足、足が着地した時に内くるぶしが内側に捻じれやすい人、ランニングをよくする人、足の先を上げるのが苦手な人、股関節が硬く膝が内側に入りやすい人などに起こりやすいです。
また姿勢では猫背、巻き肩、浮指なども原因だと考えれます。
シンスプリントの基本概念
女子陸上部のエース、ミカちゃんはいつも走ることが大好きでした。ですが、突然、練習中に「ズキッ」とくる足のスネの痛みが彼女を襲いました。その痛みは一方向に収まらず練習もできない状態になってしまいました。
それが「シンスプリント」です。 医学的には、脛骨(すねの骨)の内側に炎症が起こることを指します。 走るたびに鋭い痛みを感じ、まるで足の骨が「ギブアップ」と叫んでいるような感覚になります。
女子陸上選手に多い理由
シンスプリントが女子陸上選手に多い理由の一つに、骨の構造や筋肉の付き方があります。 特に女子は、男性よりも骨密度が低く、筋肉量も少ないため、繰り返しの負荷に耐えられず、痛みが出やすいのです。
原因の1つである長趾屈筋という筋肉も女性の方が男性よりも筋肉量が少ないことがわかっています。
痛みの原因と症状を探る
「なんでこんなに痛いんだろう?」と不安に思うミカちゃんでした。
シンスプリントの原因は、主に筋肉の使い過ぎやトレーニングの強度が関係しています。 特に、硬い床、地面での無理なトレーニングを続けると、骨膜に炎症が起こります。最初は軽く違和感から始まりますが、やがて歩くだけでも痛みが起こるようになり、青あざまでできることもあります。
ミカちゃんはその症状が出ていました。
でも陸上部のエースだったミカちゃんは 「もっと頑張らなきゃ」と自分を追い詰めるあまり、シンスプリントという見えない敵が彼女の夢を阻んでいきました。
練習とシンスプリントの関係
練習中の痛みとそれに伴う症状
練習中、全力で走りたいと思うのですが、ミカちゃんの足は「これ以上ダメだよ」と言っている感じがしたそうです。 それでもミカちゃんは痛みを我慢して練習を続けていました。 徐々にタイムが落ち、体が思うように動かなくなっていきました。
トレーニング方法の見直し
ミカちゃんは、顧問の先生に相談しました。 「それじゃ、少し練習を見直そうか」と、トレーニング内容を少しずつ変えていくことになりました。
当院ではフォームのチェックをスロー再生などを一緒に確認していきました。足が着地した時に、極端に過回内(内側に倒れる)になってしまう状態でした。内側のアーチが完全に崩れていました。
ですのでアーチを持ち直すトレーニングとふくらはぎのほぐし、ストレッチ、骨盤周辺の調整を念入りにやっていきました。
練習ではペースを落としたり、柔らかい床での練習に切り替えたりしていき 「休む勇気」も必要だと知りました。
運動していないときの影響
練習がない日でも、階段を降りるたびに痛みが彼女を襲いました。
「これ以上、陸上を続けられるの?」と、心が折れそうになっていた時期でした。でも、ミカちゃんは「諦めない!まだできる」と自分を信じていました。
シンスプリントの予防法
足首と脛骨のストレッチ方法
「ストレッチってそんなに大事なの?」と最初は軽く考えていたミカちゃんでした。 でも、シンスプリントの予防には、姿勢、歩き方、そしてケアが大事だとわかってもらい、特に足首とふくらはぎ、スネの前の筋肉をほぐすことを指導しました。
当院の指導で、毎日寝る前にストレッチをしていただくようになり、少しづつ痛みも減っていきました。
適切なシューズ選びの重要性
「靴は軽かったら何でも良い」と思っていたミカちゃんでした。ですが、実はこれが大間違いです。
当院では踵の硬さ、捻じれすぎないシューズ、アーチサポートのインソールなどを合わせながら走ってもらいました。これにより驚くほど痛みが和らいでいきました。
シンスプリントのメカニズムに踵は回内(内側に捻じれる)、足の中央部は外転、足のつま先は回外、外転します。こうならないようなシューズ選びも重要です。
アライメントの調整とサポーター
当院での全身調整を重ねていき「体のバランスも大事なんだ」とアライメント(姿勢や角度など)の重要性を知ったみかちゃんでした。
全身の調整をし足首にサポーター、時にはテーピングを巻いて調整していきました。少しでも負荷を軽減する工夫をしていきました。
シンスプリントの施術法
施術の種類と効果
当院ではバランスを重視しております。痛いところはもちろケアしていきますが、そこだけが原因でないことが多いのです。
最初は「全身って本当に効くの?」と半信疑半のミカちゃんでしたが、パフォーマンスが上がるのを実感していただき、走るフォームも変わってきたので楽しく走れるようになってきました。
当院の全身調整は筋肉、関節、靭帯などや血流やリンパ、脳脊髄液などの体液循環を正常に近づけることで自然治癒力が発揮できるお身体になっていただきます。また内臓の位置やリズムなども調整していく全身の調整となります。
リハビリにおける重要なポイント
「無理しないで、少しずつ」と当院では、ミカちゃんに指導しました。リハビリの基本は「低負荷高回数」です。少ない刺激を何回も重ねていくことが治癒に繋がるのです。
青あざや痛みを伴うシンスプリント
症状の進行と経過
「この青あざ、なんとかできるの?」と心配になるミカちゃんでした。
炎症が進むと、血管が内出血を起こすことがあります。青あざは体からの「休んで!」というサインなのです。この時は修復にある程度時間がかかりますので、休むことも大事です。
青あざが示す問題点
青あざができるほどの痛みは、既に重症化していることが判明した警告サインです。休むようにしてください。
適切な安静の重要性
「休むことも重要だ」とは、有名なスポーツ選手の言葉です。
無理をせず、体を回復させるための時間を持つことが、次の回復ステップへの大切な準備期間であることを理解してください。ジャンプする前にかがんだり、助走するのと同じです。
競技別シンスプリント分析
陸上競技における特有の問題
長距離走や短距離走、陸上では多くの競技にシンスプリントのリスクはあります。継続的な高負荷がスネにかかるので、陸上選手に多い病気の1つです。
特にフォームが乱れている選手やアーチが崩れている選手は要注意です。
バスケットボール・サッカー選手のシンスプリント
急なストップ&ゴーの動きが多いバスケットボールやサッカーでも、シンスプリントはよく見られます。中学生くらいでは、まだまだ筋力などが負荷の強い練習についていけないことも多いので練習内容などを見直すことも必要です。
バレーボール選手のシンスプリント
ジャンプの繰り返しが多いバレーボールでは、脛骨や足首に大きな負担がかかります。正しいシューズ選びや、ジャンプのフォームを見直すことが、ケガ予防のカギになります。
体操選手のシンスプリント
体操でもジャンプの着地の時には、体重の何倍も負荷がかかります。ここでエネルギーの衝撃をやわらげる構造の足のアーチが崩れているとダイレクトに負荷が足にかかってしまいます。
すぐにアーチが回復するものではありませんが「足のアーチ」を増やしていくトレーニングは必要となります。
最低でも3か月はしっかりとトレーニングをしてください。
シンスプリントとの向き合い方
メンタル面のケア
「心が折れたら、体も折れる」
これは、ある有名な心理学者の言葉です。心と身体と頭は繋がっていますので、ケガをしたり体が不調な時というのは「不安」になったり「イライラしたり」することもあります。
私はケガをした時ほどサッカーの本田圭佑選手の言葉を思い出します。
ケガしたことをポジティブにとらえて、「今、自分ができるトレーニング!例えば足をケガしたら上半身の体幹トレーニングをする」をする時期なんだと理解してください。
ステージや環境要因
次にミカちゃんがぶつかったのは、「環境」という名前の壁です。
陸上のトラックの状態は硬く、足にかかる負担は大きいです。また学校の練習と実際の試合では環境が違います。
毎日の練習で、「走りたいけど痛い。痛いけど走りたい」という状態で頑張っていました。
そんな時、「環境を変えることも大事だよ」とアドバイスをさせていただき、彼女は自分に合った練習方法を見つけるために、坂道、アフファルト、芝生や土の上で走るように、その時の自分の状態に応じて調整しながら変更していきました。
仲間とのコミュニケーションの重要性
ミカちゃんが次に知ったのは「仲間」の大切さです。陸上は基本的には個人競技ですが、一緒に頑張る仲間の存在はとても大きいです。
「一人で頑張らなくても大丈夫だよ」
友達のそんな言葉に、彼女はどれだけ救われたかわかりません。痛みを抱えて泣いていたミカちゃんのために、何よりも仲間の存在が心の支えとなりました。
練習後、みんなでストレッチをしながら話しながら、笑って過ごした時間が少しずつ彼女の心を癒してくれました。
「一人で戦うんじゃなくて、みんなで乗り越えるんだ」と、ミカちゃんは気づきました。
経過観察と再発防止の方法
定期的なメンテナンスの必要性
痛みが和らいだら「もう大丈夫!」と思いがちですが、シンスプリントはそんなに甘くはありません。
「症状が軽くなった」と慎重に走ると、またすぐに痛みがぶり返します。
無理をして結局、何度か再発を経験することが多いです。ですので痛みが減っても当院には定期的に通院し、しっかりとフォームの見直しやバランスボードを使ってのトレーニグなどにも取り組んでいきました。
当院の目標としてはケガをした時よりも、パフォーマンスを上げるということに取り組んでおります。ですのでさまざまな角度からアドバイスをすることがあります。
時には栄養指導もすることがあります。
負荷の見極めと調整
「今の自分に合った負荷って、どれくらいが適正なのか?」というのは、自分でも分からないことが多いですよね。
ミカちゃんに負担・違和感を感じたらすぐに日記をつけるようにしてもらいました。
「今日の練習、ちょっと無理だったかも」とか「なんだか違和感があった」とか感想でも良いのです。 すると、体からの警告のサインに敏感になり、自分の体の状態を把握できるようになっていくのです。
実績に基づく練習計画の立て方
「過去は未来への道しるべ」と言われますが、その通りです。
ミカちゃんは、過去の経験をもとに、今の自分に合った練習計画を自分で立てることができるようになりました。少しずつ距離を伸ばし、負担の少ない方法で「走る喜び」を感じておられました。
彼女は、過去の失敗を恥じるのではなく、それを「自分の成長の証」として見つめることができたのです。
その結果、痛みはやがて減っていき、心も強くなっていきました。
最近の急性の処置
急性期の処置として以前はRICE(ライス)処置ということが言われてきましたが、最近ではPOLICE(ポリス)処置が有効だということになっています。
RICEとはR(レスト:休む)I(アイシング:冷やす)C(コンプレッション:圧迫固定)E(エレベーション:挙上)です。
POLICEとはP(プロテクション:保護)OL(オプティマル ローディング:適切な負荷)I(アイシング:冷やす)C(コンプレッション:圧迫固定)E(エレベーション:挙上)です。
まとめ
「シンスプリント?もう、そんな怖くないよ」
その言葉通り、彼女は痛みの不安も克服し、軽やかにトラックを駆け抜けていきました。
ミカちゃんの物語は、シンスプリントに苦しむすべての人へ、そして「諦めない心」を持つすべての人への勇気と希望を届けるものでした。
- 休む勇気を持つ
- 自分を把握し適した負荷、フォームを実践
- ケガした違うところを鍛えることができる時期だとポジティブに考える
- ケガの予防が大事
- 自分に合った練習法を修正・変更していく