
「朝になると学校へ行けない」
「行きたい気持ちはあるようなのに、体が動かない」
「最近、腹痛や頭痛、めまいが増えてきた」
「部屋やトイレにこもって、話をしてくれない」
「親として、どう接したらいいのかわからない」
子どもが学校へ行けなくなると、親御さんは本当に心配になると思います。
「何が原因だったのだろう」
「育て方が悪かったのかな」
「もっと早く気づいてあげればよかった」
「このままずっと学校へ行けなかったらどうしよう」
いろいろなことを考えて、夜も眠れなくなってしまう親御さんもおられます。
しかし、不登校は「誰か一人のせい」「何か一つの原因」で起きるとは限りません。
学校での人間関係や勉強、先生との関係、睡眠不足、身体の不調、不安、頑張りすぎ、生活リズム、発達特性など、いくつものことが重なっている場合があります。
当院にも、不登校そのものだけでなく、
- 朝起きられない
- 腹痛
- 頭痛
- 発熱
- めまい
- 吐き気
- 食欲低下
- 不眠
- 強い疲労感
- 学校へ行こうとすると体調が悪くなる
といった心身の不調を伴って、ご相談に来られるお子さんがおられます。
この記事では「どうすれば無理にでも学校へ行かせられるか」ではなく、「今、この子に何が起きているのだろう」というところから、不登校について一緒に考えていきたいと思います。
そもそも不登校とは?
文部科学省では、不登校を、心理的・情緒的・身体的・社会的な要因や背景によって、登校しない、あるいは登校したくてもできない状態が続き、年間30日以上欠席した場合などとしています。
ただし、「30日休んでいないから大丈夫」という意味ではありません。
朝になると体調が悪くなる、遅刻や早退が増えた、週に何日か休むようになった、学校の話になると表情が変わるなど、早い段階から困っている子もいます。
大切なのは「不登校という名前がつくか」よりも、「その子が今、何に困っているのか」を見ていくことだと思います。
不登校は「誰のせい?」と犯人探しをしなくて大丈夫
子どもが学校へ行けなくなると、理由を探したくなります。
- 私の育て方が悪かったのではないか
- 本人の性格に問題があるのではないか
- 友達に何かされたのではないか
- 先生との関係が悪いのではないか
- 発達障害があるのではないか
- スマホやゲームのせいではないか
原因が一つわかれば、その原因を取り除くことで解決できそうに感じます。
しかし、実際にはそれほど単純ではないことがあります。
もともと不安を感じやすい子が、睡眠不足になり、勉強についていくのがつらくなり、さらにクラスで気をつかい続けた。
あるいは、身体の不調が続いて学校を休むようになり、休んだことで勉強への不安が強くなり、さらに教室へ入りにくくなった。
このように、いくつもの要素が重なっていることがあります。
「誰が悪いのか」ではなく、「この子はいま、何に困っているのだろう」という視点に変えることが、不登校を考える第一歩だと思っています。
学校へ行けなくなる前にサインが出ていることがあります
親御さんからすると、「昨日まで普通に学校へ行っていたのに、突然行けなくなった」と感じることがあります。
しかし振り返ってみると、その少し前から小さな変化が出ていたケースもあります。
- 朝起きにくくなった
- 夜なかなか眠れなくなった
- お腹が痛いと言うようになった
- 頭痛が増えた
- 学校の時間になると熱が出る
- 吐き気がする
- めまいがする
- 食欲が落ちた
- 疲れやすくなった
- イライラすることが増えた
- 家族との会話が減った
- 友達と遊ばなくなった
- 宿題や勉強に手がつかない、勉強がついていけない
- 遅刻や早退、欠席が増えてきた
- 学校の話をすると表情が変わる
もちろん、このような症状があるから「不登校になる」と決まっているわけではありません。
ただ、子どもは大人のように、「最近、人間関係による精神的ストレスが続いていて疲れています」とは説明してくれません。
本人自身も、なぜしんどいのかわからない場合があります。
だからこそ、言葉だけではなく身体や行動の変化にも目を向けてあげてほしいと思います。
不登校の背景は一つではありません
不登校と一言でいっても、一人ひとり状況は違います。
「学校へ行けない」という結果だけを見るのではなく、その前に何が重なっているのかを見ていくことが大切です。
学校や人間関係で疲れている
学校のストレスというと、いじめを想像するかもしれません。
もちろん、いじめや人間関係の問題は重要です。
しかし、それだけではありません。
先生の大きな声が怖い、他の子が怒られているのを見るのがつらい、クラスが騒がしくて疲れる、集団行動が苦手、勉強についていけない、周りに合わせ続けるのがしんどいなど、大人には小さく見えることでも、本人にとっては大きな負担になっている場合があります。
まじめで頑張りすぎていた
注意したいのが、それまで問題なく学校へ行っていた子です。
- まじめ
- やさしい
- 周囲の空気をよく読む
- 人に迷惑をかけたくない
- 失敗するのが怖い
- 頼まれると断れない
- 本音を言うのが苦手
- 「いい子」でいようとする
このような子は、周囲から見ると「何も問題がない子」に見えることがあります。
しかし本人の中では、長い間ずっと無理をしていたのかもしれません。
我慢して頑張り続け、心身の余力が少なくなったところで、突然動けなくなったように見えることがあります。
朝起きられない・身体がしんどい
不登校のお子さんには、身体の不調が重なっていることがあります。
特に、
- 朝起きられない
- 立つとめまいがする
- 頭痛
- 腹痛
- 吐き気
- 動悸
- 強いだるさ
- 食欲がない
などがある場合です。
睡眠不足、生活リズム、心身の緊張などが関係していることもありますが、起立性調節障害など医療機関での確認が必要な状態が隠れている場合もあります。
「学校へ行きたくないから起きない」と最初から決めつけず、身体の状態も確認してあげてください。
朝起きられない、めまい、動悸などには、自律神経の働きが関係することもあります。自律神経と身体の不調については「自律神経整体」のページで詳しく解説しています。
症状が続く場合や強い場合は、まず小児科など医療機関に相談することをおすすめします。
睡眠不足や昼夜逆転
学校へ行けなくなった後、眠る時間と起きる時間が少しずつ遅くなることがあります。
反対に、もともとの睡眠不足が心身の余裕を減らし、朝のつらさにつながっていることもあります。
睡眠、ストレス、生活リズムなどはお互いに影響します。
ただし、「昼夜逆転しているから不登校になった」「スマホをやめれば解決する」というように、一つだけを原因にしないことが大切です。
発達特性や感覚の敏感さ
音、人の多さ、光、におい、予定変更、集団でのコミュニケーションなどが大きな負担になる子もいます。
ASDなど発達特性がある場合もありますが、診断の有無にかかわらず、学校という環境そのものに大きなエネルギーを使っている子もいます。
「みんなできているから」ではなく、「この子にとって、何が特につらいのだろう」と考えてみることが大切です。
▶発達グレーゾーン!自閉症スペクトラム症(ASD)の方が少しでも生きやすくなるヒント
同じ「学校へ行けない」でも、背景は一人ひとり違います
不登校といっても、同じ理由で学校へ行けなくなるわけではありません。
当院に来てくれていた中学2年生の男の子は、テストの成績についてお母さんから強く叱られた翌日から、学校へ行けなくなりました。
本人は「学校が怖くなった」と話し、学校へ行く時間になると熱が出ることもありました。
強い恐怖を経験したあと、学校や登校時間になると、その時の怖さを思い出すように強い不安や身体反応が出ることがあります。
※プライバシー保護のため、以下の事例は性別や趣味など一部を変更しています。
一方で、まったく違う形で頑張りすぎている子もいます。
ある女の子は、とてもやさしく周囲に気をつかうタイプで、「お母さんを怒らせたくない」「お母さんのためにも学校へ行かなければ」と、自分のつらさを後回しにしているように見えました。
学校でも勉強についていこうと頑張り、家庭でも周囲の感情を気にし続けることで、心と体の余力が少なくなっていた可能性があります。
▶親の顔色をうかがう子どもが不登校に|「いい子」「頑張りすぎる子」に起きていること
この2つのケースは、一見するとどちらも「学校へ行けない」という同じ状態です。
しかし、一人は強い出来事をきっかけに「学校=怖い」と感じるようになり、もう一人は周囲に気をつかいながら頑張り続けていました。
だからこそ、不登校では「どうやって学校へ行かせるか」を最初に考えるより、「この子の場合は、何が負担になっているのだろう」と一人ひとりを見ていくことが大切だと思っています。
「学校に行きたくない」と言われたら、まずどうする?
突然、「学校に行きたくない」と言われると、親御さんも動揺します。
「何があったの?」「誰かに何かされた?」「先生?」「友達?」と、つい質問を続けたくなると思います。
しかし、本人自身も理由が整理できていないことがあります。
そんな時は、「何かあった?」「今、一番しんどいのは何かな?」「今は話したくなかったら、また話したくなった時でいいよ」くらいでも十分です。
答えを急いで出そうとするより、「話しても大丈夫」と思える関係を残しておくことの方が大切な場合があります。
トイレや部屋にこもる子もいます
不登校のお子さんの中には、学校へ行く時間になるとトイレにこもったり、部屋から出てこなくなったりする子もいます。
親御さんからすると、「いつまで入っているの!」「早く出てきなさい!」と言いたくなると思います。
しかし本人にとっては、狭くて一人になれる場所へ移動することが、その場の緊張から少し離れる方法になっている可能性があります。
このテーマについては個別の記事で詳しく解説しています。
▶トイレにこもる子どもの心理とは?中学生・不登校のときの対応
学校へ行けたことだけが前進ではありません
不登校になると、「今日は学校へ行けた」「今日は行けなかった」ということに、どうしても目が向きます。
しかし、学校へ行けたかどうかだけで、その子の状態を判断する必要はありません。
例えば、
- 前より眠れるようになった
- 朝ご飯を少し食べられた
- 家族と話すようになった
- 笑うことが増えた
- 好きな動画を見るようになった
- ゲームを楽しめるようになった
- 外へ出られた
- 家族と買い物に行けた
- 自分の気持ちを話せた
- 将来のことを少し考えられるようになった
こうした変化も大切です。
不登校からの変化は、一直線ではなく、波がありながら進むことがあります。私は、その時々の心身の余力を、わかりやすく『心のエネルギー』と表現することがあります。
不登校からの変化は、全員が同じ順番を進むわけではありません。
昨日できたことが、今日はできないこともあります。
一歩進んで一歩戻ったように見える時期もあります。
そのたびに、「また振り出しに戻った」と思わなくて大丈夫です。
「親の課題」と「子どもの課題」を少し分けて考える
子どもが学校へ行けなくなると、親御さんも不安になります。
「このまま高校へ行けなかったら」「将来仕事ができなかったら」「周りからどう思われるだろう」心配だからこそ、先のことまで考えてしまいます。
すると、「明日は学校へ行ける?」「勉強はどうするの?」「宿題は?」「いつまで休むの?」という言葉が増えることがあります。
そこで、一度「誰の課題なのか」を分けて考えてみます。
子どもの人生を放っておくという意味ではありません。
親が全部を決めるのでもなく、子どもを突き放すのでもない。
子どもの気持ちや選択を尊重しながら、助けを求められた時には一緒に考える。
私は『見放すのではなく見守る』という距離感を大切にしています。
親御さん自身が疲れ切らないことも大切です
不登校の子どもを支えていると、親御さん自身が消耗してしまうことがあります。
学校への連絡、仕事との両立、家族との相談、進路への不安。
さらに、「私の育て方が悪かったのではないか」と自分を責めている方もおられます。
子どもを支えるためにも、親御さん自身の心身のケアは大切です。
子どもが学校を休んでいる時に、お母さんやお父さんが笑ったり、趣味を楽しんだりしてはいけないわけではありません。
親御さんまで生活のすべてを不登校中心にすると、家の中全体が苦しくなってしまうことがあります。
親御さん自身も、
- 睡眠をとる
- 自分の時間を作る
- 誰かに相談する
- 好きなことをする
- 必要なら専門家を頼る
ということを忘れないでください。
学校だけを唯一のゴールにしない
学校へ戻ることを希望しているお子さんもいます。
その気持ちはもちろん大切です。
ただ、「以前とまったく同じように毎日教室へ行く」だけが選択肢ではありません。
学校と相談しながら、別室登校、短時間登校、保健室、教育支援センター、フリースクールなどを利用する方法もあります。
年齢や地域、学校によって利用できる制度は異なりますので、学校や教育委員会などに相談しながら、その子に合う方法を考えてください。
大切なのは、「学校へ行かない=学べない」と決めつけないことです。
子どもに少し元気が戻ってきたら、「これからどうしたい?」と本人と一緒に考えていけばいいと思います。
実際にいただいた感想|環境が変わったことで一歩を踏み出せたケース
ここで、実際に当院へ来られたお子さんのケースをご紹介します。
約1年間、不登校で悩まれていた方です。
新しい学年になり、クラスなどの環境が変わったことで、少しずつ学校へ行けるようになってこられました。

このケースで私が大切だと感じたのは、「本人が頑張ればすべて解決する」ということではありません。
- 環境が変わった
- 人間関係が変わった
- 本人の心身にも少し余力が戻ってきた
いくつもの条件が重なり、一歩を踏み出しやすくなったのかもしれません。
もちろん、すべてのお子さんが同じ経過をたどるわけではありません。
だからこそ、その子だけを見るのではなく、
- 本人の心身の状態
- 睡眠
- 食事
- 家庭での安心感
- 学校環境
- 人間関係
などを一緒に見ていくことが大切だと思っています。
当院では不登校だけを見るのではなく、心と体の両方を見ていきます
当院では、「整体で不登校を治す」という考え方はしていません。
不登校のお子さんの中には、
- 朝起きられない
- 頭痛
- 腹痛
- めまい
- 食欲がない
- 呼吸が浅い
- 身体に力が入り続けている
- 眠りが浅い
- 疲れやすい
など、身体のしんどさを伴っている方がおられます。
そのような場合には、まず身体の緊張や呼吸、生活リズム、睡眠、食事などを確認します。
施術についても、強い刺激を加えたり、無理に身体を動かしたりするのではなく、お子さんの状態を見ながら行います。
また必要に応じて、
- 睡眠や生活リズム
- 食事や栄養
- 運動
- 不安との付き合い方
- 考え方のクセ
- 家庭での関わり方
について一緒に考えることもあります。
不登校という結果だけではなく、「その子がもう一度、安心して生活できる状態を作るには何が必要なのか」を考えることを大切にしています。
このような場合は医療機関などへ早めに相談してください
不登校だからといって、すべてを家庭だけで抱える必要はありません。
特に、
- 水分や食事がほとんど取れない
- 強い頭痛や腹痛などが続く
- 急激な体重減少がある
- 長期間ほとんど眠れていない
- 「死にたい」「消えたい」という発言がある
- 自傷行為がある
- 薬を大量に飲んだ
- 激しい暴力があり本人や家族の安全が保てない
- 呼びかけに対する反応がおかしい
「死にたい」「消えたい」という言葉がある場合や、自傷行為がみられる場合は、子どもだけで抱えさせず、小児科、児童精神科などの医療機関や相談機関につないでください。
大量に薬を飲んだ、意識や反応がおかしい、重大な自傷があるなど、命に関わる可能性がある場合は、当院への相談より119番や救急医療を優先してください。
よくある質問
- Q子どもが「学校へ行きたくない」と言ったら、休ませてもいいのでしょうか?
- A
状況によって異なりますが、無理に登校させることだけを優先せず、まず体調や本人が困っていることを確認することが大切です。頭痛、腹痛、めまい、強い倦怠感などが続いている場合は、医療機関への相談も検討してください。
- Q不登校は親の育て方が原因なのでしょうか?
- A
不登校は一つの原因だけで説明できるものではありません。学校環境、人間関係、身体の不調、睡眠、心理面、発達特性など複数の要素が重なっている場合があります。「親が悪い」「子どもが悪い」と犯人探しをしないことが大切です。
- Q朝だけ起きられません。甘えているのでしょうか?
- A
甘えと決めつけない方がよいでしょう。睡眠不足、生活リズム、疲労、不安、起立性調節障害など、さまざまな可能性があります。めまい、頭痛、動悸、強いだるさなどを伴う場合は医療機関で確認してください。
- Q本人が学校のことを何も話してくれません。どうすればいいですか?
- A
無理に聞き出そうとすると、さらに話しにくくなることがあります。「話したくなったら聞くよ」と伝えて、まず学校以外の雑談ができる関係を保つことも大切です。本人自身も理由をうまく説明できない場合があります。
- Qいつ頃学校へ戻れるのでしょうか?
- A
不登校の経過には大きな個人差があるため、一律には言えません。学校へ行けたかだけでなく、睡眠、食欲、会話、外出、好きなことへの興味など、心身の余力が戻っているかも見ながら考えていくことが大切です。
まとめ
子どもが学校へ行けなくなると、「早く何とかしなければ」という気持ちになるのは当然だと思います。
しかし、不登校には一つの原因だけではなく、学校でのストレス、身体の不調、睡眠、生活リズム、不安、頑張りすぎ、発達特性など、さまざまな背景が重なっていることがあります。
だから、「誰が悪いのか」を探すより、「この子はいま、何に困っているのだろう」と考えてみてください。
学校へ行けたことだけが前進ではありません。
少し眠れた、食べられた、笑えた、家族と話せた、好きなことができた、外へ出られた。
そうした変化も、その子にとって大切な一歩です。
そして、親御さんだけで抱え込まないでください。
学校、医療機関、スクールカウンセラーなど、必要な場所を頼りながら、その子に合った方法を一緒に探していけばいいと思います。
当院でも、朝起きられない、頭痛、腹痛、めまい、不眠、食欲低下、身体の緊張などが重なっている場合には、身体・心理・栄養・生活の面から一緒に考えています。
「うちの子の場合は、まず何を考えればいいのだろう」「身体のしんどさも関係しているような気がする」そんな時は、お気軽にご相談ください。

参考文献
- 『不登校は99%解決する』:森田直樹
- 『嫌われる勇気』:岸見一郎・古賀史健
- 『自己肯定感の教科書』:中島輝
- 『運動脳』:アンデシュ・ハンセン
- 文部科学省『不登校対策(COCOLOプラン等)について』
- 文部科学省『生徒指導提要(令和4年12月)第10章 不登校』



