急に運動をしたらふくらはぎが筋肉痛になりました。
痛いので湿布を貼りましたが変化がありません。
急にダッシュして太ももの裏が肉離れしたこともあります。
予防法と解決法を教えてください。
このようなお悩みの方の解決のヒントになれば嬉しいです。
- 柔道整復師「おおくま整骨院」院長
- 自律神経の専門家「日本自律神経研究会上級認定」
- 整体技術セミナー講師:教えた人100人超
- youtube「くまチャンネル」:解決方法など多数
- insutagram「不安・パニック解決サポーター」
肉離れと筋肉疲労と筋肉痛についてです。
最近、私は運動不足なので縄跳びをしました。すると次の日から膝周辺が痛くなってしまいました。痛みがなくなるまで1週間かかってしまいました。💦
肩を痛めた時も「倒立して腕立て伏せ」をして痛めてしまいました。たまにやらかします。アホでしょ!(笑)
運動をして筋肉痛になってお辛い方、湿布を貼っても、なかなか治らずお困りの方、予防法と対処法を御覧ください。
筋肉痛の対処法と予防法を知ることができる
RICE(ライス)処置が基本です。R(REST:休む)I(Ice:冷やす)C(COMPRESSION:圧迫固定)E(ELEVATION:挙上)の頭文字です。私が専門学校で学んだ時は、この「ライス処置」が基本でした。
最近ではPOLICEに変更になりました。
- P(PROTECTION:保護)
- OL(OPTIMAL LORDING:適度な負荷)*安静から軽い負荷になりました。
- I(ICE:冷やす)
- C(COMPRESSION:圧迫)
- E(ELEVATION:挙上)
安静にしたいのは48~72時間です。ここまでは急性期といわれています。生理学的には受傷後4日目くらいから亜急性に変わっていきます。
筋肉痛のメカニズム
筋肉を使うときにはエネルギーが必要です。
少し専門的にいいますとカラダの中では筋肉が収縮するときATP(アデノシン三リン酸)という物質が使われます。緩ませる時にもエネルギーが必要です。まずは筋肉に貯金されていたATPが使われます。これは最大収縮した時に1~2秒で、すぐになくなってしまいます。
これがなくなると解糖系(40~50秒の運動)やクエン酸回路でブドウ糖を分解してエネルギーを得るようになっているのです。
そして使いすぎると炎症が起こり修復する時に痛みが出てしまうのです。
筋肉痛の原因とは?
トレーニングなどで普段使わない筋肉を使ったり、同じ動作を繰り返したりすると、筋肉の中にある筋線維に小さな傷ができます。
その傷を修復する時に炎症が起こり、プロスタグランジンやブラジキニンという痛みを出す物質が作られて、筋肉痛が出ると考えられています。
肩こりなどの慢性の疲労は血行不良が原因といわれています。血行不良ということは酸素欠乏です。酸素が少なくなり酸欠を起こすと脳では痛みとして認識します。
炎症とは
何かに足をぶつけたり、足首を捻じったりすると炎症が起こります。この炎症が起きている時とは身体の中では次の3つのことが起こっています。
- 白血球が集まり腫れる(火傷した時のように水分が集まる)
- 痛みが起こる(プロスタグランジンなどの物質が痛みを伝える)
- 熱を持つ
なぜ疲労や痛みが起こる?
運動をして暫くしてから痛くなるのを遅発性筋痛といいます。一般的には、この痛みを「筋肉痛」と呼んでいます。
なぜ?筋肉痛は暫くしてから痛くなるのか
普段から、よく使っている筋肉には、毛細血管にも血がよく通っています。
道路でいいますと高速道路は渋滞なくスイスイ走れる感じです。
ですが、あまり通らない山道などは、流れもスムーズではない状態と同じで、身体の中の毛細血管も流れが悪くなっていると考えられます。
痛みの物質も血流と関係しますので、それだけ血流が悪いと痛みを感じるのも遅いという理屈なのです。ちなみに年齢によって、「筋肉痛が次の日にくるのは若い証拠」という人がいますが、確固たる証拠はありません。
言えるのは、普段から運動を続けている方は、筋肉痛になっても、早く良くなる方が多いです。
それは血流が良い人は痛みを出している物質も早く流れやすくなり筋肉痛も早く良くなっていくものと考えられます。ですので私は急にたくさん運動するよりも、普段から少しづつ軽い運動をすることをオススメしています。
また最初に痛かった部分の近くの筋肉も脊髄神経の関係で一緒に痛く感じるということも起こり得ます。
神経が過敏になると痛みを感じやすい
筋肉を使ったことで筋肉の深い部分にあるセンサーが感じ取って神経の端にある痛みを伝えるところが興奮して脳に「痛み」を伝えます。これが筋肉痛ですが最近の研究では激しく筋肉を使うと「神経成長因子」と呼ばれる物質が出て神経が「過敏」になり、ちょっと動かしたり触れるだけでも痛みを感じやすくなってしまうということがわかりました。
例えば正座をした時に5分くらいすると、足が痺れてきます。最初のうちは、めっちゃ痛みを感じます。この時は「神経過敏」の状態です。
これを放っておくとだんだん感じなくなります。これが「麻痺」の状態です。このような仕組みを「神経変性」といいます。
当院では重症の方が多いので長年の慢性の肩こりの場合、あまり肩の痛みを感じにくくなっている方が多いです。いわゆる「麻痺している」状態なんです。
そのような方は美容院に行くと「凄い肩こりですね」と言われることが多いです。「いつもこんな感じだから肩こりを感じないの」と言われます。これって実は失体感症のようになっていて「麻痺」状態になって痛みを感じにくくなっている可能性があるのです。
参考文献:「運動に関わる筋肉のしくみ」石井 直方 著 より
筋肉疲労から筋肉痛になる症状と特徴
お寺の長い階段を登っていると、だんだん足がだるくなってきますよね。これは筋肉が疲れている状態の筋肉疲労です。
筋肉疲労には急性と慢性がある
筋肉の疲労には急性と慢性があります。
運動のスピードが遅くなったり動作を続けられなくなる急性の疲労はエネルギーの不足もひとつの原因です。
例えばチーターは走るのが早いですが、持続力がありません。これは筋肉疲労が関係します。
急性の疲労の原因はエネルギー不足
筋肉は収縮するためにエネルギーを使います。まずは筋肉の中にあるクレアチンリン酸という物質からエネルギーを取り出します。このエネルギーはすぐ使えるのですが7〜8秒しか持ちません。
そうしたら次に筋肉の中に溜め込まれているグリコーゲンからブドウ糖を取りだし、まず酸素を使わない解糖系でエネルギーを供給します。
そして次に酸素を使う有酸素のプロセスでブドウ糖を分解してエネルギーを得るのです。
しかし有酸素のプロセスには時間がかかります。だから、その前の段階で得たエネルギーを使い果たしてしまうと筋肉が動きにくくなってしまうのです。
乳酸が必ずしも筋肉疲労の原因ではない
先程のエネルギーのお話ですが解糖系でエネルギーを使うと乳酸ができます。これが筋肉疲労の原因であるという説がありますが医学的根拠はないそうです。
最近では、乳酸ができる過程で水素イオンが作られるため筋肉が酸性に傾き、エネルギー源である筋肉の中のグリコーゲンの蓄えが少なくなる事などが関係していると考えられています。
スクワットやダンベルなどで筋肉痛になりやすいのですが、これは伸張性収縮といって、伸ばされながら大きな力を使う時の運動です。
この時に筋肉痛になりやすいといわれています。
筋肉痛の特徴と症状
炎症が起こりますので動かすと痛いというのが特徴です。
足の場合は歩きにくいということになります。急性期や重症になりますと、じっとしていても痛みを感じます。
部分的に痛みを感じることもあれば関連して全身に痛みを感じることもあります。
太ももの肉離れの場合は、重症の場合は内出血を起こすことが少なくありません。
筋肉痛の予防法
筋肉痛を予防する方法とは?
筋肉が疲れにくくしたい場合は、適度な運動の習慣をつけることが大切です。
いきなり負荷の強い運動を短期的にするのではなく、負荷の小さい運動から始めて、コツコツとそれを継続していただくことが大切です。
筋肉痛を予防するためのポイント
運動前後にはクールダウンとウォーミングアップをしっかりとやってください。
ストレッチの注意点
筋肉は三層構造になっています。
まずは表面の大きな筋肉で浅い皮膚に近い部分です。ここは瞬発力に関係します。
中層の筋肉は安定筋です。横隔膜などの呼吸するために使う日常生活で最低限動かすことができる筋肉です。中層筋は血液やリンパの循環に影響します。
そして深い部分の深層筋です。関節の近くの筋肉で靭帯を守ってくれています。インナーマッスルといわれています。
大切なのが深部までストレッチすると危険ということです。この深い部分を伸ばしすぎるとパフォーマンスが低下したり、ケガをする確率が高くなってしまうこともあります。
ですのでストレッチをして深い部分まで伸ばしすぎないように注意してください。ストレッチをするのは中層部分にしてください。
- パートナーから背中を勢いよく押してもらうのはダメ
- 膝を外に曲げて太ももの前を伸ばさない(膝はねじりに弱い)
- 伸ばしたい筋肉を意識してストレッチすることが重要
参考文献:「伸ばさずに縮めるマッスルユニットトレーニング」より
筋肉痛の予防に効果的な方法
お風呂でぬるま湯につかりリラックスすることも効果がありますので、運動後は、ゆったりとお過ごしください。
食事では炭水化物や脂肪ではなくタンパク質を中心とした食事を心がけてください。
特に私は筋肉の疲労回復に鶏の胸肉、ササミをオススメしております。
筋肉痛を早く治す方法
筋肉痛を早く治すためには?
- できるだけ痛めた筋肉を使わない(軽い負荷はOK)
- 痛みが強い場合や熱がある場合は一時的に冷やす
- 血行障害による運動直後に冷やしたら悪化する場合があるので注意する
- 痛いところをテーピングやサポーターで保護する
筋肉痛が早く治る食べ物
- タンパク質(大豆・魚・肉)とビタミンB群を摂取する
- 疲労回復にビタミンCとE、ポリフェノールを摂取する
筋肉痛を早く治す方法
- 筋肉に熱感がなく痛みが落ち着いてきたら蒸しタオルなどでゆっくり温める
- お風呂に入って全身を温めてリラックスする
筋肉痛が治らない時の対処法
なんといっても回復には睡眠が大切です。それと前述したようにタンパク質などの栄養を摂取してお風呂で温めることも大事です。
それでも1週間以上、長引く場合は、必ず病院を受診されてください。病気から炎症が起こっていることが考えられます。例えば、慢性関節リウマチ、線維筋痛症、痛風、自己免疫疾患なども考えられるからです。
筋肉痛が治らない場合の注意点
良かれと思ってyoutubeなどを見てストレッチや運動をしていませんか。運動をするには時期が早いのです。まず痛い時は休んでください。ある程度、痛みが取れてきてから対処法の運動などをすることをオススメします。
ただしyoutubeなどの情報は全ての人に当てはまりませんのでご注意ください。あなたに合ったものを続けてください。
太ももの裏の肉離れ
太ももの肉離れになる原因は「前と後ろの太ももの筋肉に柔軟性がないこと」「太ももの前後の筋肉の強さの差が激しいこと」があげられます。
サッカーをしていてジャンプ動作と急激なターンの繰り返しで太ももの裏を痛めた方です。
施術の後、痛みが減り歩きやすくなられました。
他の症例
まとめ
- 運動前後のウォーミングアップとクールダウンを念入りにする
- タンパク質中心の食事を心がける
- いきなり激しい運動をしない
- 負荷の少ない運動を継続する