

突然、耳鳴り?
幻聴みたいなものが聴こえて来て、だんだん声がハッキリしてきました。
「殺してやる」など、とても怖い声で襲われるような感じを受けました。
最初は夜になると聞こえるようになり、次第に昼間も聴こえるようになりました。
強いストレスは常に感じていて、自分で一人で抱え込んでしまう癖があり、誰にも相談できないことが辛かったです。
仕事は止めることになり絶望感でいっぱいです。
その後、病院への入退院も繰り返しています。
どうか少しでも良くなって欲しいです。
できれば仕事への復帰もしたいと考えています。
なんとかならないでしょうか?
このような、お悩みの解決のヒントになれば嬉しいです。
この方は統合失調症の方です。
現在、人口の約1%は、いるといわれている統合失調症です。
病院と連携を取り、薬をきちんと飲んでいただけることが、予防にもなりますし、必要だと私は考えております。
この方は、いつもストレスを抱えておられて、普段は、おとなしく明るい方なのですが仕事でパワハラを受けて我慢が限界にきて爆発してしまわれたそうです。
幻聴が聴こえるようになり、とても攻撃的になられした。最近では被害妄想も出てきました。
親にも「私を殺そうと3という番号の車が追いかけてくる」と行ってみたり、「インターネットで常に監視されている」と言う感じで、毎日、違うことを言っていたそうです。
だんだんエスカレートし、常に「死にたい」と言うようになられました。
ご家族も、とても心配で大変だったそうです。
病院とも連携して、良くなっていかれましたので、同じようにお悩みの方に参考にしていただけたらと思います。
すべての方が同じような効果があるということではありません。
参考程度に、ご覧いただき、少しでもお役に立てたら嬉しいです。
- 統合失調症で諦めている方
- 家族が統合失調症で心配な方
- 幻聴が聴こえてきて困っている方
- 被害妄想を考えてしまい、困っている方
統合失調症に苦しんだ20代女性の解決法
統合失調症とは
脳の病気と考えられています。
脳の中からドーパミンという物質が分泌されるのですが、そのドーパミンが過剰に分泌されてしまう病気だと考えらえています。
逆にドーパミンが少ない病気がパーキンソン病です。
ですので、お薬はドーパミンを出にくくする作用があり、副作用として、パーキンソン病のような症状が出ることがあります。
お薬は定型抗精神病薬といって昔から使われている薬と、非定型抗精神病薬という、新しく開発された薬に分かれます。
陽性症状(急性期)
- 幻聴
- 被害妄想
- 不安定な感情
- 奇異な行動、奇声など
- 思考の混乱
陰性症状(消耗期)
- 引きこもり
- 感情鈍磨、無関心
- あまり話さなくなる
- 意欲がなくなる、やる気がしない
- 集中力低下、注意力低下
作業能力の低下
- 記憶力の低下
- 融通が利かない
- 作業スピードが遅くなる
- 認知、了解、承認が悪くなる
- 疲れやすくなる
- 手足がムズムズする
- じっとしていられない
- 手が震える
- 舌がもつれる、滑舌が悪くなる
- 姿勢が前かがみになる
- ぼんやりする
- 目が上を向く
- 生理が止まる
- 首や肩や背中が緊張して引きつる、突っ張る、痛い
- いつも眠い
- 便秘
- 唾液が出にくくなる、口が乾く、または唾液が出過ぎる
- 脈が速くなる
- 立ちくらみが起こる
仕事のパワハラのストレスが引き金に

この方の症状の発症のきっかけは職場のパワハラでした。旅行会社に勤務されていました。その上司からの罵声です。
もともと大人しい性格で平和主義な方なのですが正義感が強く理不尽なことに対しては、とても許すことができないことが多かったそうです。
たとえば赤信号を渡ったりする子供をみるとイライラしたり、電車でお菓子を食べている子供を注意しない親にイライラしたりするそうです。
このような場合はパーソナリティ障害もある可能性があります。
特に強迫性パーソナリティ障害はこちらです。
でも文句をいったり、喧嘩したりすることはなかったそうです。その場は、我慢されるのです。
今、考えれば感情の抑圧(イライラ、怒り)を、ずっと我慢してしまっている状態だったのかもしれません。
性格は生真面目で、完璧主義なところがあり、誰からみても頑張り屋さんで社会的に、とても優れた方なのですが、自我が小さくなっているような方です。自分よりも他人という感じで、とても優しい方なのです。

感情の抑圧=症状として現れる
そして、ある日、仕事でちょっとしたミスをしてしまった時に上司に、とてもとても怒られたそうです。しかも、みんなの前で!

人格や親まで否定されるような罵声をあびせられたそうです。
それがキッカケで仕事場では、それ以来、萎縮してしまい、ほとんど会話ができなくなってしまったそうです。
だんだん休みがちになり、とうとう休職しなくてはならなくなりました。
誰かが自分の悪口や陰口を言っていて、影で笑われている、または本当に、そんな声が耳の奥でハッキリと聴こえてきたそうです。
自宅へ帰る時も常に誰かに見張られて、追いかけられているように感じたそうです。
たまたま見た車の番号が33-33だったら、その番号がとても気になって自分を殺しに来る殺し屋の車の番号だと勝手に思い込んでしまうそうです。

そして日常生活にも支障がでてしまい自分の部屋から窓の外に向かって理由もなく(本人には理由があるそうですが)文房具を投げてしまったりして、だんだんエスカレートしていきました。
両親が止めようとしても、ものすごい力で暴れます。とても女性の力とは思えないくらいです。
「精神科にも通院しているのですが、どうしようもなく、困っています」という内容のご相談をいただきました。
精神科病院では入退院を繰り返し、入院中は、自殺願望も出てきてしまったり、自傷行為をしてしまったりするので、ベッドに拘束されたりしていたそうです。

当院へおみえくださった時は、お顔の表情に笑顔はありませんでした。無表情で生気がなく、目の輝きが、ほとんどなかったですが私の話は素直に聞いてくださいました。
これは薬の影響もあるかもしれません。ドーパミンの過剰分泌を抑える薬を処方されるので、パーキンソン病のような症状が出てくる可能性があるのです。
時々、手が震えておられるのを確認いたしました。
施術も、させていただけましたので刺激の少ない手技で、ごく弱く、より短時間でさせていただき体への負担をなるべく少なくさせていただけますように心がけました。
気分的には、ゆったりとしていただけたようでした。
すると帰り間際には少し笑顔にもなられ呼吸が楽になられたようでした。
でも、まだまだ愛想笑いで、我慢しておられた感じです。
その時、一緒に来てくださったお母さんも、とても喜んでくださいました。
少しでも希望の光が見えたとおっしゃっていただけました。
ですが、また1週間たつと症状は悪化していきました。
そして1カ月後くらいには、精神病院に再入院することになりました。
このように症状は繰り返すことが多いです。
約2年経過しましたが、現在は、お仕事にも復帰され、現在は、発作的なことも出ておりません。
薬は継続して飲んでいただていおります。
こんなことはないですか?

最初のサインとして多いものをあげておきます。ご家族の方も注意してくださいね。
まずは早めに心療内科か精神科へ受診してください。
これらの状態が一時的ではなく、1週間以上たっても消えない、場所や状況を選ばずに出てくる、友達や先生も以前と変わったと感じる、などの場合は特に注意が必要です。
精神科、心療内科の受診を、まずは、おすすめします。
場合によっては一時的に入院も必要な場合がございます。
きちんとした知識を持つこと
厚生労働省の統合失調症のページがございます。こちらです。
昔は精神分裂病といっておりました。
簡単にまとめますと幻覚、妄想が出て、思考・感覚・行動が病気のために歪んでいる状態です。
そして、そのことを自分で理解しにくい状態です。
必ずしも育った環境、その方の性格だけが原因ではありません。
なんらかのストレスも引き金になると思います。
脳でみてみると脳の中の神経伝達物質のドーパミンの流れに問題があり、ドーパミンの神経回路が集中している前頭葉や側頭葉に問題があるのではないかといわれています。(小さくなっている可能性があるそうです)
ドーパミンとは中枢神経系にある脳内の伝達物質です。
運動やホルモン、感情のコントロールをしてくれています。
統合失調症ではこのドーパミンがたくさん分泌され、異常に亢進することで幻覚、幻聴がおこるのではないかといわれています。
お薬の副作用は、ドーパミンを減らす、お薬なので、パーキンソン病のような症状になったりすることがあります。表情が乏しくなり、足取りが細かくなり突進するようになったり、筋肉が緊張したりすることもあります。
病院との連携

仕事にいけなくなって2年、入退院を繰り返しておられました。
そして退院されたときには、当院へおみえくださいました。
統合失調症の場合は、どうしても家族の方への危害などがある場合は入院される選択肢も必要に感じます。
そして、お薬もきちんと飲まれるように管理されることが必要です。
頭と体と心の連携がしっかりと、とれていないと、なかなか回復しにくいと考えられます。
それには最初はエネルギーが必要です。体力ですね。
当院ではまず構造的ストレスを減らすことをやっていきます。
当院でのお身体の調整は背骨を介して血流アップと正しい刺激を脳へ送りますので脳の管理能力が正常に近くなっていってくれます。
すると神経伝達もスムーズになっていきますので時間はかかることもありますが検査がクリアになってまいりますと、だんだん症状にも良い変化が出てまいります。
全身をユニットとしてみてまいります。
2年が経ち、表情も変わってこられました。
おみえくださいまして2年経過したころ、仕事に復帰するメドがたってまいりました。
この仕事復帰するタイミングも、とても重要となってきます。
いきなり、フル勤務ですと、また、すごいストレスにさらされることになるからです。
最低でも2時間は連続で歩けるだけの体力が必要です。
そして、これらのストレス耐性の能力をつけていくことが大切なのです。
統合失調症を克服するために必要なこと

この頃になると自己コントロールができてきておりますので、いろんな課題を出してもこなしていただけるようになっていました。思考がきちんと働いてくれる状態ですね。
統合失調症の回復スピード
統合失調症の回復のスピードは、人によってさまざまです。良くなったり悪くなったりを繰り返すことが多いです。

- 前兆期(不眠・焦り・過敏HSP)
- 急性期(幻聴幻覚、妄想、興奮などが激しく現れる)
- 消耗期(急性期にエネルギーを使い果たし、症状は変わらないが、元気がない)
- 回復期(身体をゆっくり休め、少しづつ日常生活が過ごせるようになる)
- 慢性期(病的な症状が持続し、波がある)
これを繰り返すことが多いです。
参考文献:「わが家の母はビョーキです」より
約100人に1人の割合といわれている統合失調症、自分だけで抱え込まず、専門家などに相談することをおすすめします。
生活習慣で気をつけていただきたいこと
- 良く眠る事
- 生活習慣、リズムを整えること
- 薬は必ず飲むこと
- 疲れをためないこと、疲れすぎないこと
- 環境の変化には要注意(転勤、就職、進学、一人暮らし、家族の死、旅行など)
- 苦手なことは避ける、まずは好きなことから始める
- 孤独にならないようにする
- 困った時は、周りに相談する
- ドクターや関係者とは情報を共有する
- 家族はそれぞれ自分の楽しみを持つ
- 家族同士の距離感を守る
- 毎日、会話をする
- 思いやりと共感と感謝をする
このようなことに気をつけていただくようにアドバイスいたしました。
そして、ご家族さまは本当に終わりのないゴールの見えない、トンネルに入った感じになられて、とても疲弊してしまいます。
だから意識ではこんなことに注意していただけたらと思います。

- 引け目を感じて、それを隠そうとして人とのコミュケーションを避け、孤立してしまわないようにする
- なぜこんなことが起こるのか不安になるので知識をつける
- 怠け病や、やる気がないだけで、根性がないだけだと責めてしまわないようにする
- ダメな人間だと思い込んでしまわないようにする
- 精神病院を受診することに引け目を感じると思うが早期に受診される方が早く治療を始められると理解する
すべての方がこれだけで、うまくいくとは決していえません。
とても苦しくお辛いと思います。
もちろんご家族も本当にお辛いと思います。
ですが何かのきかっけ、何かの参考になれば幸いでございます。
今ではメンテナンスで1~2カ月に一度ですがおみえくださいます。
毎日、元気で笑顔で仕事にも行けるようになられました。
本当に良かったです。
よく頑張って通ってくださいました。ありがとうございます。
最後までご覧いただきまして本当にありがとうございました。心より感謝いたします。
こんな栄養素が不足しているかも
統合失調症の疑いがある場合や、再発を繰り返す場合は、ナイアシン(ビタミンB3)を1日に1~3g使用をすることがあるそうです。
ナイアシンは血管拡張作用があります。ですので急に大量に服用すると上半身にほてりや痒みがでることがあります。最初は0.5g以下から少しづつ様子をみる方が良いとのことです。糖質制限も合わせて行うと良いそうです。幻聴や妄想の改善以外に総コレステロールの低下やHDLコレステロールの上昇が期待できるそうです。
参考文献:「ココロの不調回復 食べてうつぬけ」より 奥平 智之 著
社会制度を検討してみる
- 医療機関(病院、ソーシャルワーカー、医療相談など)
- 保健所
- 精神保健センター
- 地域生活支援センター
- 精神保健福祉士
- 当事者の会など
- 障害年金の給付(国民年金→市役所、厚生年金→社会保険事務所、共済年金→共済組合)
- 自立支援医療(精神通院医療)→市役所
- 高額療養費(国民健康保険→市役所、健康保険→社会保険事務所、組合)
- 生活保護(市役所)
- 精神障害者手帳(市役所)
- 通所施設(デイケア、作業所)
- 仕事を探す(障害者就労支援センターなど)
- 一人で暮らす練習(グループホーム、援護寮など)
- 統合失調症~正しい理解と治療法~
- わが家の母はビョーキです(中村ユキ著)
まとめ
- 統合失調症の場合は病院との連携をしっかり取る
- 幻聴・幻覚の場合は、心療内科、もしくは精神科を受診する
- 自律神経が乱れる生活習慣を見直す