閉経を迎えて、最近、何故か息苦しくなり、病院に行ったら、更年期障害と診断されました。
薬を飲んでも、あまり変化がありません。
外出先で息苦しくなって、友達に迷惑をかけても嫌だなと思います。
ですので、ちょっと外出も控えるようになってきました。
不安なことがあると調べてしまい、重い病気なんじゃないかと悩みます。
病院の先生には病気じゃないから大丈夫と言われても執着してしまいます。
何か解決策はありませんでしょうか?
このようなお悩みが少しでも解決できたら嬉しいです。
基本的には呼吸についてのお話となります。特にゆっくりと吐きだす深い呼吸ができるか、どうかについてです。
しっかり深呼吸ができれば心の持ちようも変わります。
普段、不安になって息苦しくなったり、怒りでイライラして呼吸が浅くなったりしてしまう方は、どうぞ参考にしてみてください。
更年期障害の息苦しさを乗り切るヒント
閉経の真実
誰にでも起こる可能性のある”更年期障害”。
女性は40歳くらいになったら、知っておいて欲しいことです。
今は不調がなくても「突然」起こってしまう可能性があります。
ちなみに男性は70歳くらいで起こることが多いです。
だいたい閉経の10年前後は更年期と呼ばれていて、身体や心の不調が出てくる可能性があります。これは女性ホルモンのエストロゲンが関係しております。
当院で更年期障害でお悩みの方に、どんなことでお悩みが聴いてみました。
- 息苦しい、胸が圧迫される
- 顔が熱い、汗をかく、ホットフラッシュ
- 手足が冷える、のぼせる、痺れる、震える
- 気分が落ち込む、やる気がなくなる、何もかも嫌になる、イライラする、不安になる
このような事でお悩みの方が多いです。
45歳をすぎたあたりから女性ホルモンが激減することが知られています。特にエストロゲンというホルモンです。のぼせ、ほてり以外でもいろんな症状が出てくる可能性があります。
「こんなものか」とやり過ごせる方もいらっしゃいますが、日常生活に支障が出てしまうと困ってしまいます。しっかりと知識を持ち、対処できれば軽減できることが多いです。
一緒に対処していきましょう。
閉経とは月経が完全に停止した状態です。医学的には月経がこない状態が1年以上続いた時に、1年を振り返って「閉経」と診断されます。
月経が停止するのは、エストロゲンが減少し、卵子や卵胞が減って卵巣の機能が低下しているためです。簡単にいうと赤ちゃんが出来て育つ環境では、なくなった状態のことです。
平均的には、50歳前後に多いといわれています。
更年期の症状が出やすいのは、その前後5年と言われています。
病院を受診するかどうかは以下のチェック表で簡単に確認してみてください。
ただし不正出血の場合は、すぐに病院を受診してください。
症状 | 強 | 中 | 弱 | 無 |
---|---|---|---|---|
顔がほてる | 10 | 6 | 3 | 0 |
汗をかきやすい | 10 | 6 | 3 | 0 |
腰や手足が冷えやすい | 14 | 9 | 5 | 0 |
息切れする、動悸がする | 12 | 8 | 4 | 0 |
寝つきが悪い、眠りが浅い | 14 | 9 | 5 | 0 |
怒りやすくなる、イライラする | 12 | 8 | 4 | 0 |
くよくよする、憂鬱になる | 7 | 5 | 3 | 0 |
頭痛、めまい、吐き気がする | 7 | 5 | 3 | 0 |
疲れやすい | 7 | 4 | 2 | 0 |
肩こり、腰痛、手足の痛みがある | 7 | 5 | 3 | 0 |
合計点数 | アドバイス |
---|---|
0~25点 | これまでの生活を続けてください。 |
26~50点 | 食事、運動に注意してください。 生活習慣でも無理をしないようにしてください。 |
51~65点 | 更年期、閉経外来を一度、受診してみてください。 |
66~80点 | 半年以上の長期間の計画的な治療が必要です。 すぐに病院を受診してください。 |
81~100点 | 各科の精密検査を受けてください。 異常が更年期障害のみであった場合は、長期に渡る治療が必要な場合があります。 |
この他にもエストロゲンの働きで、起こる症状も最近では解明されるようになってきました。
デリケートゾーンの痒み、尿失禁、性交痛、膣炎、膣の乾燥からムズムズして眠れないなども起こるそうです。
男性よりも女性が40代くらいから急激にエストロゲンが減少します。
また50代中ごろから、生活習慣病、動脈硬化、骨粗しょう症などに注意が必要です。
エストロゲン減少で起こる全身症状
身体の部位 | アクセル | ブレーキ | 症状 |
---|---|---|---|
脳 | 〇 | 〇 | 物忘れ、認知症 |
肌・髪の毛 | 〇 | 乾燥、張りがなくなる、脱毛 | |
乳腺 | 〇 | 乳腺症 | |
肺 | 〇 | ||
心血管系 | 〇 | 〇 | 動脈硬化、心筋梗塞 |
腎臓・副腎 | 〇 | むくみ、疲労 | |
卵巣 | 〇 | 〇 | 卵巣脳腫 |
大腸 | 〇 | 便秘、下痢 | |
子宮・膣 | 〇 | 外陰膣炎、灼熱感、性交痛 | |
泌尿器系 | 〇 | 尿道炎、膀胱炎、頻尿、尿失禁 | |
関節・骨・歯 | 〇 | 手のこわばり、関節の変形、 腱の滑膜の腫れ、骨粗しょう症、 歯周病、ヘバーデン結節、プシャール結節 |
エストロゲンは脳の視床下部から卵巣へ伝わる指令で分泌されます。
このエストロゲンが減少すると視床下部で調整される自律神経も乱れやすくなり、不調の原因になります。またストレスが強くなっても自律神経が乱れます。
そこで気分の落ち込みや、鬱のような症状が出ることもあるのです。
- 親の介護の問題
- 子供の受験、子供の進学、子供の就職の問題
- 子供の結婚の問題
- 自分の体の不調の問題
- 夫婦の仲の問題
GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)について
閉経前後では尿漏れ、頻尿というのも多いです。仕方がないと諦めている方も多いそうです。
しかし、骨盤底筋を鍛えるひめトレなどのトレーニングで改善している方も多いので、一緒に解決策を探していきましょう。当院でお役に立てることもあるかもしれません。私は「ひめトレ」のインスタラクターですので、どうぞご安心ください。
また病院では婦人科と泌尿器科がタッグを組んで治療にあたるところもあるそうです。ウロギネ外来というそうです。
厚生労働省研究班監修「女性の健康増進室 ヘルスケアラボ」より
これに加えて子宮がんの定期健診は受診されることをオススメいたします。
子宮頸がんは30~40代、子宮体癌は50代がピークといわれています。また乳がんの検診も忘れずに受けてください。
睡眠時無呼吸症候群
更年期以降は睡眠時無呼吸症候群も多くなります。
無呼吸、低呼吸が1時間に5回以上、昼間に眠くなったり、だるくなったりする方、もしくは1時間に15回以上無呼吸や低呼吸になる方は要注意です。
無呼吸になりやすい方は、最近、特に肥満になった方、小顔、顎の小さい方、扁桃腺肥大、アデノイド、内分泌などのホルモンの病気がある方、閉経後の女性などです。
足のむくみ
夜間頻尿(夜1回以上トイレに行く)や足のむくみでお悩みの方も多いです。
夕方までに足のむくみを解消することで夜間頻尿を解決することができることがあります。
血液の流れが悪くなると血管から水分が漏れ出して細胞間質にたまって、足がむくみます。夜になって横になると水分が血管に戻り、増えた水分を減らすために尿が作られトイレに行きたいくなるのです。
高血圧や糖尿病などの人は、薬も夜間頻尿を引き起こすことになる可能性があります。
脳梗塞や心筋梗塞の人で水分をしっかり摂取する人も頻尿になりやすいです。
アルコールでの水分摂取は利尿作用があるので、毎日の飲酒は控え、休肝日を作るのをオススメします。睡眠の質が悪くなる可能性があるので生活習慣に注意したいですね。
当院ではストレッチポールを使用して足のむくみを解消するトレーニングも指導しております。また体幹トレーニングのインストラクターでもありますので一緒に指導させていただいております。
更年期障害の呼吸
普段の生活で呼吸を意識する
まずはなんといっても「姿勢」です。
力を抜いた状態で安定した呼吸をします。意識して良い姿勢になりすぎると緊張してしまいます。
姿勢を保とうと意識するというよりも深い呼吸が自動的に繰り返されて、その呼吸が姿勢を緊張なく内側から支えている、そんな感じで、できたら最高です。
エベレスト登頂の三浦雄一郎さんの呼吸
エベレストを登頂成功した三浦雄一郎さんは呼吸に特徴があるそうです。
あれほどの山を登るのですから、そうとうの疲れがたまるはずです。
そんな疲れを上手に逃がす呼吸があるそうです。
トレーニングで三浦さんは、重い荷物を背負い、足にも負荷をかけて鍛えておられます。
そこで呼吸も口から「フ、フ、フ」と強く息を吐きだします。
登山中も口から「フ、フ、フ」と息を吐いておられます。
これは口から疲れを吐きだす呼吸法なのです。
日常的なトレーニングでは、三浦さんのお父さんから教えられた呼吸法をやっておられるそうです。
片方の鼻をふさぎ、口は閉じて片方の鼻だけで呼吸をするそうです。
それで呼吸が鍛えられるそうです。風邪もひかなくなったそうですよ。
そして口をあけて、舌を前に出すという訓練をするそうです。
普段使わない筋肉を使うのでインナーマッスルを鍛えることになるそうです。
簡単なのでやってみるといいですね。
参考文献:「三浦雄一郎の歩く技術」より
腹式呼吸でセロトニンの分泌が活発になる
呼吸と心身のつながりには深いつながりがあります。
10代~20代くらいの女の子はよくため息をつくと言われています。これは不安の現れです。
呼吸は吐くことが大事なのですが吸うことばかり意識していると過呼吸になってしまうこともあります。過呼吸になると手足のしびれや動悸、めまいなどを起こすことがあります。
普段からゆったりと吐くことを意識してくださいね。
そうするとセロトニンの分泌が増えます。セロトニンは自律神経を整えてバランスをとる役目があります。
フラダンスなども一定のリズムでセロトニンの分泌が増えます。
参考文献:「セロトニン呼吸法」より
深呼吸がやりやすくなる方法
笑いながら深い呼吸で心を整える
心にはこの3つがあります。
- 欲望
- 感情
- 理性
そして、何か困難にぶち当たった時は鏡に映る自分のほっぺをあげて、口角をあげてください。
笑った顔になりますよね。それだけでいいんです。免疫力もあがりますよ。
簡単に笑顔になるには、奥歯に割り箸を挟んでください。表情筋が笑顔にしてくれます。
笑顔の「形」になると、脳は、楽しくなって勘違いしてくれるのです。
だから意識して笑顔になると心も軽くなるのです。
また、深い呼吸をするだけで副交感神経が働きます。そうするとリラックスして穏やかなお気持ちになって心を整えることになるのです。息苦しさの対策にもなります。
- 笑顔になる
- 大きく息を吐く
- 吐き切ったら、1秒、息を止める
- 鼻から大きく息を吸う
- 吸い切ったら、1秒、息を止める
- 1~4を10回繰り返す
更年期の不調でお悩みの方
不安になった時の解決法
脳の思考の部分が「不安」でいっぱいになっている時は別のことを考えるといいです。
別のことを考えると不安が減ります。
例えば、いつも不安に考える癖のある人は、「ボー」としたときにも、その癖が出てしまいます。だから、意識して「別のこと」を考えることが必要なのです。
どんどん意識すると不安が減りますよ。
不安に考えている時は、交感神経が優位になり、「動悸」「息苦しい」「血圧が上がる」「汗が出る」「呼吸が浅くなる」「筋肉が緊張する」「喉が渇く」「にきびや吹き出物、アトピーがひどくなる」「お腹がすかない」「胃腸の調子が悪くなる、便秘になる」「光が眩しく感じる」などの症状が出ることがあります。
更年期障害の症状と似てますよね。ストレスから交感神経が優位になり症状を出しているかもしれません。更年期障害のお薬でも効果が見られない場合は、自律神経の乱れかもしれないのです。また自律神経とホルモンは表裏一体です。バランスをとっているものなので、良くなったり悪くなったりも影響をお互いに受けることもあります。
閉経のメリット
閉経はエストロゲンが減ってしまい、身体にも心にも悪影響ばかりが目立ちますが、閉経のメリットもあります。
まずは月経のわずらわしさから開放されます。
月経のあるうちは、制限があった水にまつわるアクティビティも楽しめるようになります。
温泉にいつでも行ったり、プールにいつでも行けたりするのもメリットです。
また月経があることによっておこる卵巣や子宮の病気の不安も軽減します。
人生を考えると閉経後の人生も楽しんでいただけると良いと思います。
これぞ第二2の青春ととらえて、楽しんで欲しいのです。
これまで家族のために一生懸命尽くして来られたのですから、自分のために生きれるようになるのです。
朝からヨガのレッスンに行き、友人とランチを楽しみ、演劇やコンサート、たまには旅行なんかも行けたらいいですよね。
どうぞ楽しんでワクワクするようなことを考えながら寝るようにしてくださいね。
まとめ
- 更年期の息苦しさにはストレスを減らすこと、運動、深呼吸が大切
- しっかりとタンパク質を摂る、大豆製品はオススメ
- 自律神経を整えるために朝の起きる時間を定めて朝日を浴びる