

自宅での仕事が増えて、運動不足になっています。
体重も増えたので、久しぶりに長い距離を歩いたところ、ふくらはぎが腫れてしまいました。
痛みが強くなり、歩くのもつらくなっています。
自宅にあった丸い棒状の健康器具で足をグリグリほぐしたところ、さらに痛みが強くなり、立つことも難しくなりました。
それから足がむくんでだるく、最近は冷えも感じます。
どうしたらよいでしょうか?
足のむくみやふくらはぎの痛みは、長時間の立ち仕事やデスクワーク、運動不足などによって起こることがあります。
また、運動不足の状態から急に歩いたり走ったりしたあとや、健康器具で強くほぐしたあとに、筋肉や周辺の組織へ負担がかかり、痛みや腫れが出る場合もあります。
大切なのは、むくみのすべてを「リンパの流れが悪いから」と決めつけず、現在の状態に合った対策を行うことです。
この記事では、足のむくみやふくらはぎが腫れる主な原因、注意が必要な状態、自宅でできる対策についてお伝えします。
- 夕方になると足がむくんでだるい方
- 長時間の立ち仕事やデスクワークが続いている方
- 急に運動をしてふくらはぎが痛くなった方
- 健康器具や強いマッサージのあとに腫れた方
- 片脚だけが腫れ、左右の太さが違う方
足のむくみ・ふくらはぎの痛みで最初に確認したいこと
足がむくんだときは、すぐに揉んだり動かしたりする前に、片脚だけなのか、両脚なのかを確認してください。
むくみが出たきっかけや、痛み・赤み・熱感の有無も大切です。
片脚だけが急に腫れた場合は注意してください
片脚だけが急に腫れた場合は、筋肉の疲労やケガだけでなく、血管などの問題が隠れていることもあります。
次のような状態がある場合は、自己流で強く揉まず、先に医療機関で確認してもらってください。
- 片脚だけが急に腫れた
- ふくらはぎに強い痛みがある
- 赤みや熱感がある
- 左右のふくらはぎの太さが急に変わった
息苦しさや胸の痛みを伴う場合は、早急な対応が必要です。
一方、立ち仕事やデスクワークのあとに両脚がむくみ、休むと軽くなる場合は、同じ姿勢や運動不足などが関係していることがあります。
腫れている場所を強く揉まないでください
「むくんでいるから、強く揉んで流した方がよいのでは?」と思う方もいらっしゃいます。
しかし、強い痛みや腫れがある場所を、健康器具や指で長時間グリグリ刺激すると、筋肉や周辺の組織への負担が増え、かえって痛みが強くなることがあります。
特に、強く押したあとに痛みや腫れが増えた場合は、さらに刺激を加えず、一度休ませることが大切です。
足がむくむ・ふくらはぎが腫れる主な原因
足のむくみやふくらはぎの痛みには、いくつかの原因が考えられます。
原因を一つに決めつけず、いつから、どのような場面で出たのかを振り返ってみましょう。
長時間の立ち仕事やデスクワーク
足は心臓よりも低い位置にあるため、重力の影響を受けやすく、長時間同じ姿勢を続けると水分がたまりやすくなります。
特に、
- 立ちっぱなし
- 座りっぱなし
- 足を組む
- 膝を曲げた姿勢が続く
- 足首をほとんど動かさない
といった状態が続くと、夕方に足がパンパンになったり、靴下の跡が残ったりすることがあります。
ふくらはぎの筋肉は、動くことによって血液やリンパ液が上半身へ戻るのを助けています。
デスクワーク中でも、足首を動かしたり、時々立って歩いたりすることが大切です。
運動不足の状態から急に身体を動かした
リモートワークなどで外出する機会が減ると、知らないうちに歩く量や足の筋力が低下します。
その状態から、
- 急に長い距離を歩いた
- 久しぶりに走った
- 坂道を歩いた
- マラソンやスポーツを再開した
といった場合、ふくらはぎや膝、足首に負担が集中することがあります。
運動不足の状態から急に走ると、筋肉も「いきなりですか?」とびっくりしてしまいます。
体重が増えている場合は、以前と同じ距離や速度であっても、足への負担が大きくなっていることがあります。
運動は、以前できていた量から始めるのではなく、現在の体力に合わせて少しずつ増やしていきましょう。
健康器具や強すぎるマッサージ
YouTubeやSNSでは、ストレッチや筋膜リリースなど、さまざまなセルフケアが紹介されています。
健康器具やセルフケアそのものが悪いわけではありません。
ただし、
- 痛いほど強く押す
- 同じ場所を長時間刺激する
- 腫れている場所を繰り返し揉む
- 痛みを我慢してストレッチする
といった方法は、身体の状態によっては合わないことがあります。
「痛いほど効いている」というわけではありません。
セルフケアのあとに痛みや腫れが強くなった場合は、その方法をいったん中止してください。
静脈やリンパ、身体の状態が関係することもあります
足のむくみには、同じ姿勢や運動不足だけでなく、静脈やリンパの流れ、薬の影響などが関係する場合もあります。
また、心臓・腎臓・肝臓などの状態によって、両脚にむくみが出ることもあります。
原因を考えるときは、次の点が重要です。
- 片脚だけか、両脚か
- 急に出たか、徐々に出たか
- 朝より夕方に強いか
- 痛み・赤み・熱感があるか
- 休むと軽くなるか
- むくみが繰り返されているか
むくみがあるからといって、すべてがリンパの問題というわけではありません。
健康器具でふくらはぎの痛みが悪化した方の施術例
当院には、マラソンの練習後に健康器具でふくらはぎを強くほぐし、痛みや腫れが悪化した方が来院されました。
来院されたときの状態
この方は、マラソンの練習後に膝裏からふくらはぎにかけて違和感があり、丸い棒状の健康器具で長時間ほぐしておられました。
すると、そのあとから痛みと腫れが強くなり、足を引きずるようにして来院されました。
健康器具で強く刺激したあとに症状が悪化していたため、ふくらはぎの筋肉や周辺の組織に負担がかかっている可能性を考えました。
一度傷めた組織の回復には、ある程度の時間が必要になることもお伝えしました。
当院で確認したこと
ふくらはぎの痛む場所だけでなく、次の点を確認しました。
- 腫れや熱感の状態
- どの動作で痛みが出るか
- 足首と膝の動き
- 股関節や骨盤との連動
- 立ち方や歩き方
また、足首を曲げたときに膝が内側へ大きく入らないかを確認するD-testや、必要に応じてバランスディスクを使った動きも確認しました。
痛む場所を強く押すのではなく、状態を見ながら膝裏や足首、膝、股関節などの動きを整え、痛みを強めない範囲で少しずつ身体を動かしていただきました。
その後の経過
3回目頃には、「痛みが楽になり、歩きやすくなった」とお話しくださいました。
むくみはまだ残っていたため、無理に運動量を増やさず、経過を確認しながら対応を続けました。
これは当院での一例です。身体の状態や回復までの期間には個人差があります。
ふくらはぎを急に痛めたときの対処法
急な痛みや腫れが出た場合は、早く元に戻そうとして無理に動かすよりも、まず症状を強めないことが大切です。
痛みや腫れを強める動作を避ける
痛みが強い間は、次のようなことは避けてください。
- 痛む場所を強く揉む
- 健康器具を繰り返し当てる
- 痛みを我慢してストレッチする
- 長い距離を歩く
- 急に走る
- 深くしゃがむ
まったく動いてはいけないという意味ではありません。
動いたあとに痛みや腫れが増える場合は、その動作や運動量が現在の状態には多すぎる可能性があります。
患部を守りながら状態に応じて動かす
以前は、安静・冷却・圧迫・挙上を行うRICE処置が広く知られていました。
現在は、必要以上に長く安静にするのではなく、患部を守りながら、状態に合わせて少しずつ動かすことも重視されています。
- 痛みを強める動作を避ける
- 必要に応じて患部を保護する
- 腫れが強いときは足を少し高くして休む
- 痛みが落ち着いてきたら、無理のない範囲から動かす
冷やすことで痛みが楽になる場合もありますが、長時間冷やし続ける必要はありません。
痛みや腫れの状態を見ながら行いましょう。
運動を再開するときの目安
組織の回復に必要な期間は、傷めた場所や程度、年齢、生活環境などによって異なります。
「何日たったから大丈夫」と、期間だけで決めるのではなく、次の状態を確認しながら少しずつ運動を再開します。
- 日常生活で強い痛みが出ない
- 腫れや熱感が落ち着いている
- 歩くときに大きくかばわない
- 足首や膝の動きが戻ってきている
- 軽い運動をしても翌日に悪化しない
最初から以前と同じ距離や強度に戻すのではなく、短い時間、ゆっくりした動きから始めてください。
足のむくみとリンパの関係
足がむくむと、「リンパが詰まっているのでは?」と考える方も多いと思います。
リンパはむくみに関係しますが、むくみの原因はリンパだけではありません。
むくみのすべてがリンパ浮腫ではありません
むくみとは、皮膚の下などに余分な水分がたまった状態です。
長時間の立ち仕事や座り仕事、静脈の流れ、筋肉の動き、リンパの働き、薬や身体の状態など、さまざまな原因が関係します。
リンパ浮腫は、その中でもリンパ液の回収がうまくいかず、むくみが続いている状態です。
夕方に一時的に足がむくむことと、慢性的なリンパ浮腫は同じものではありません。
リンパの3つの役割
リンパには、主に次の役割があります。
- 組織にたまった余分な水分やたんぱく質を回収する
- 腸で吸収された脂質を運ぶ
- 免疫反応に関わる細胞や物質を運ぶ
リンパ管の途中にはリンパ節があり、リンパ液が通る際のフィルターのような役割をしています。
リンパ液の流れは、リンパ管自体の収縮だけでなく、筋肉や呼吸の動きにも助けられています。
そのため、長時間動かずにいるよりも、足首を動かしたり、短い時間歩いたりすることが大切です。
リンパ液が静脈へ戻る流れ


両脚や腹部などから集められたリンパ液は、胸管という太いリンパ管を通ります。
胸管は、多くの場合、左の内頸静脈と左の鎖骨下静脈が合流する「左静脈角」付近で静脈へ合流します。
つまり、両脚から集められたリンパ液は、最終的に左肩へ戻るのではなく、首のつけ根付近にある静脈へ戻ります。
左静脈角へ流れ込むからといって、左肩に大きな負担がかかるという意味ではありません。
慢性的なむくみが続くと
リンパ浮腫などによる慢性的なむくみが長く続くと、皮膚や皮下組織が硬くなったり、感染を起こしやすくなったりすることがあります。
ただし、立ち仕事やデスクワークのあとに現れる一時的なむくみが、すぐにこのような状態になるわけではありません。
必要以上に不安になるのではなく、むくみがどのようなときに出て、休むとどう変わるのかを確認することが大切です。
自宅でできる足のむくみ対策
日常的なむくみでは、特別な健康器具を使わなくても、こまめに身体を動かすことで楽になる場合があります。
強い刺激を加えるよりも、毎日続けられる小さな動きを取り入れましょう。
同じ姿勢を長く続けない
立ち仕事でもデスクワークでも、同じ姿勢を長く続けないことが大切です。
30~60分を目安に、
- 一度立ち上がる
- 少し歩く
- 姿勢を変える
- 足首を動かす
などを行ってください。
トイレへ行く、飲み物を取りに行くなど、日常の動きでも構いません。
足首とふくらはぎを動かす
椅子に座ったままでも、足首をゆっくり曲げ伸ばしできます。
痛みがない場合は、立った状態でかかとをゆっくり上げ下げする運動も、ふくらはぎを動かす方法の一つです。
- 足首の曲げ伸ばしを10回
- かかとの上げ下げを5~10回
- 室内を1~2分歩く
最初から回数を増やす必要はありません。
動かしたあとに痛みや腫れが強くなる場合は、いったん中止して運動量を減らしてください。
強く揉みすぎない
日常的な軽いむくみで、痛み・赤み・熱感がない場合は、足をやさしくさする程度で楽になる方もいます。
しかし、強く押したり、痛みに耐えて揉んだりする必要はありません。
特に、
- 急に腫れた
- 強い痛みがある
- 熱を持っている
- 赤くなっている
という場合は、強いマッサージを避けてください。
食事と生活習慣を見直す
塩分を多くとる食事が続くと、水分を身体にため込みやすくなることがあります。
加工食品や外食、ファストフードが続いている方は、味つけが濃くなりすぎていないか確認してみましょう。
食事は、特定の栄養素だけを増やしたり減らしたりするのではなく、主食・主菜・副菜を組み合わせることが基本です。
また、次の点も大切です。
- 水分を極端に減らさない
- 睡眠と休養を確保する
- 急に運動量を増やさない
- 毎日少しずつ身体を動かす
- 体重の急な増減を確認する
完璧に行う必要はありません。
できることを一つずつ続けていきましょう。
よくある質問
- Q足がむくんでいるときは、動かない方がよいですか?
- A
強い痛みや急な腫れがある場合は、無理に歩いたり運動したりしないでください。
立ち仕事やデスクワークによる日常的なむくみで、強い痛みがない場合は、短時間歩く、足首を動かすなどの軽い運動が役立つことがあります。
動いたあとに症状が悪化しない範囲で行いましょう。
- Q片足だけ急にむくんだ場合、揉んでもいいですか?
- A
片脚だけが急に腫れ、痛み・赤み・熱感がある場合は、自己流で強く揉まないようにしてください。筋肉の疲労だけでなく、血管などの問題が隠れていることもあるため、先に医療機関で確認してもらうことが大切です。
- Q夕方になると両足がむくむのはなぜですか?
- A
立ちっぱなしや座りっぱなしが続くと、重力の影響で水分が足にたまりやすくなります。
また、足首やふくらはぎを動かす機会が少ないことも関係します。
時々立って歩く、足首を動かすなど、同じ姿勢を長く続けないようにしてください。
- Qむくみは冷やした方がいいですか?温めた方がいいですか?
- A
急に痛めて熱感や腫れがある場合は、痛みを和らげる目的で短時間冷やすことがあります。一方、慢性的な冷えやだるさでは、無理のない範囲で温めると楽になる方もいます。状態によって異なるため、強い痛みや腫れがある場合は自己判断で温め続けないようにしてください。
- Q足のむくみや痛みは整体で相談できますか?
- A
筋肉や関節の動き、姿勢や歩き方などが関係している場合は、整体で身体への負担を減らすサポートができることがあります。ただし、片脚だけの急な腫れ、強い赤みや熱感、息苦しさや胸の痛みがある場合は、医療機関での確認を優先してください。
- Qむくんだ足は強くマッサージした方がよいですか?
- A
痛み・赤み・熱感のない日常的なむくみであれば、やさしくさする程度で楽になる方もいます。
ただし、痛いほど押したり、健康器具で長時間刺激したりする必要はありません。
マッサージのあとに痛みや腫れが強くなる場合は、その方法を中止してください。
まとめ
足のむくみやふくらはぎの痛みは、長時間の同じ姿勢、運動不足、急な運動、筋肉への強い刺激などによって起こることがあります。
また、静脈やリンパ、身体の状態や薬などが関係している場合もあります。
大切なのは、むくみのすべてを「リンパの流れが悪いから」と決めつけないことです。
特に、片脚だけが急に腫れ、強い痛み・赤み・熱感がある場合は、自己流で強く揉まないようにしてください。
日常的な足のむくみには、
- 同じ姿勢を長く続けない
- 足首やふくらはぎをこまめに動かす
- 強く揉みすぎない
- 急に運動量を増やさない
- 食事や睡眠を見直す
といった対策が基本です。
早く何とかしようと無理をするよりも、現在の身体に合った動きを少しずつ続けていきましょう。


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参考文献
- 『標準整形外科学 第16版』:田中栄・髙木理彰・松田秀一・谷口昇・今釜史郎 編集
- 『足部・足関節理学療法マネジメント』:片寄正樹 監修、小林匠・三木貴弘 編集
- 『スポーツ外傷・障害ハンドブック―発生要因と予防戦略』:Roald Bahr・Lars Engebretsen 原書編集、陶山哲夫・赤坂清和 監訳
- 『カラー図解 人体の正常構造と機能』:坂井建雄・河原克雅 総編集
- 『リンパ浮腫診療ガイドライン 2018年版』:日本リンパ浮腫学会 編集




