一人でいると不安になり誰か傍にいないと不安になります。
そわそわして居てもたっても、いられなくなります。
自分で物事を決められないことも多いです。
人には人格というものがあります。単なる性格ではなく脳の機能的な問題も含まれます。その人格によって日常生活に支障が出てくる場合をパーソナリティ障害といいます。その障害のために社会になじめず「うつ病」になってしまうことがあります。
共通の特徴としては「子どもの時の生き辛さ」があって、生き抜いていくためにしょうがなく無意識に適応して身に付けてきたものと考えられます。ですので非常に偏った考え方や行動や能力が身に付いてしまいます。そのある意味「特殊能力」を大人になっても使い続けてしまいトラブルを起こしてしまうことになります。
その中で今回は「誰かに頼りたくなってしまう」という特徴を持っている依存性パーソナリティ障害について詳しくみていきます。
誰かに頼りすぎてしまう「依存性パーソナリティ障害」
誰かと一緒でないと不安で行動できないことが多いです。物事を一人で決める事ができないことが多いです。両親には過保護に育てられたという自覚はあります。
テスト⑨
参考文献:「パーソナリティ障害」岡田尊司著より
他のパーソナリティ障害をチェック
一言でいうと・・・ | パーソナリティ | チェックしてください |
自分が嫌い | 境界性 | テスト① |
ナルシスト | 自己愛 | テスト② |
他人の評価こそ重要 | 演技性 | テスト③ |
違法なことを繰り返す | 反社会性 | テスト④ |
人を心から信用できない | 妄想性 | テスト⑤ |
マイペース | 失調性 | テスト⑥ |
一人が好き | シゾイド | テスト⑦ |
自分に自信がない | 回避性 | テスト⑧ |
誰かに頼りすぎてしまう | 依存性 | テスト⑨ |
白と黒がハッキリしすぎる | 強迫性 | テスト⑩ |
依存性パーソナリティ障害の特徴
- 自分の主体性を放棄、他者にゆだねてしまっている
- 自分で決めることが苦手
- ひとりが苦手、いつも誰かがいないと不安になる
- 自己主張を抑える
- 相手に合わせてしまう
- 周囲に流されやすい
- パニック障害やうつ病、身体疾患などを抱えることも多い
- 宗教にのめりこみやすい。利用されやすい
- 溺愛されて育てられ、かわいがられたが、本人の気持ちを受け止めてもらう機会はほとんどなく育てられた(親は自分がに何もいわずともほしいと想われるものを与えられた)
- ノーといえない
- 自分は劣っているという思い込みが強い
- 自分に対する評価が低いのは「回避性」と共通するが、他人に執着し、必死にしがみつく点が大きくことなる
- 過保護で支配的な親に育てられた
- 親に忠実すぎるのが「強迫性」であり、親に潰されたのが「回避性」であり、親に頼りすぎたのが「依存性」である
- 親の顔色を見るようになる(ちょっとでもつまずくと「できない」と人に頼る)
- 薬物やアルコール依存にも注意
依存性パーソナリティ障害の方との接し方
- 失敗してもいいから自分で判断したり、そう仕向けることが大切である
- 早いうちに失敗を経験すること
- 親切や助けは、依存性パーソナリティ障害の方のためにならない
- すぐに答えをいわない(頼ってしまうから、自分で考えさせる)
- できるだけ本人の気持ちをきくこと(言葉に出して気持ちをいうような習慣をつけること)
- 違う意見を言えたときには、特に褒めたたえる
依存性パーソナリティ障害を克服したい方
- いつも母親の顔色をうかがいながら育ってきた、自分の自我を殺してきたことを知り自分の気持ちに向き合う
- 母親が持ちかけてきた無理難題をはっきり拒否する
- 自分の気持ちを口に出す「どっちでもいい」「同じでいい」「あなたが決めて」というのはやめて、ひとつひとつ自分で決める癖をつける
- 人生とは自分が望んでいるようになっていくものだと理解する
- 奉仕的な仕事が向く(依存から自律へ向かう)
当院の依存性パーソナリティ障害の方の症例
20代女性、会社員です。彼氏がいますが、とても依存している様子でした。
どこに行くのも一緒で、デートする場所や食べ物、洋服なども全て彼に聞いて、自分で決めることができません。
二股をかけられていても、彼に依存しているので、別れようとしません。殴られても別れられないのです。友人に相談しても「早く別れた方がいい」と言われますが、別れられません。仕事も休みがちになってしまいました。
その彼の前にも不倫関係の男性がいたそうですが、毎日、日に100件くらいラインをして、「重い」といわれたそうです。
家族はお姉ちゃんんと妹の3人姉妹、父親には可愛がられた記憶がないそうです。母親はこの方にべったりで、すべて母親の言いなりで育ったそうです。
依存性パーソナリティ障害の特徴として、常に誰かに支えてもらおうとします。
ですので、別れや死別などがあった場合、すぐに他の人に依存しやすくなる可能性が高いです。
もしも、いなくなってしまうと「うつ病」になってしまうことも多いのです。
当院では、自己肯定感を上げていく事と、自分の意志を持つ訓練をさせていただきました。
まずは、「昼ごはん、何を食べたい」ということから始めました。
そして、それを自分の口で、ハッキリと言う練習をしました。お母さんと一緒でいいとか、お母さんの言うものでいいというのは無しです。
そして少しづつ、自分に自信を付けてもらい、彼氏とも別れて自立され、仕事にも行けるようになり、頑張っておられます。
まとめ
- 自己肯定感を上げる
- やりたい事、やって欲しい事、どう思うなどを口に出してもらう
- 自信を持てるように少しづつハードルを上げていく