

わかってはいるのですが、手洗いを止められません。
まだ汚れがついていると感じたり、ちゃんと洗えていないと思ってしまいます。
いつも家族に横で見てもらっています。
早く自分で手洗いができるようになりたいです。
このようなお悩みを解決します。
トリガーとなるものがわからないこともありますが、何かのきっかけで、手洗いを何時間もやってしまったり、何度もカギを確認したりして、日常生活に支障が出てしまう方がいらっしゃいます。
多少は神経質なくらいなら、それほど問題ではありませんが、家族にまで、その儀式的な行動を強制することがあります。
もしもお悩みの方は、どうぞご覧になってください。
強迫性障害と診断され薬は飲んでいるが、一向に変化がない方
強迫性障害とはどんなものか
症状としては、何度もカギを確認してしまう、何度も手を洗ってしまう、左右対称でないと気が済まない、汚れてしまったのではないかと不安になるといったことが頭から離れず、それを消し去りたいために手洗いを何時間もやってしまったり、鍵の確認を何十回もしてしまったりします。
中学のころから不潔恐怖があった
中学のころから不潔恐怖というのがあり、自分以外は、すべて不潔に思えてきます。
触れられるのは絶対に嫌で、一緒にいて、近くにいるだけでも触れたんじゃないかと不安になり、手を洗いたくなられるそうです。

本人には「聖域」というのがあって、そこには誰にも入られたくないのです。たとえ家族でもです。
特に寝るところの布団だけは母親であっても入ったり、触ったりするのはご法度なのです。
スマホを一日触っているのですが、スマホも触る時は必ずシャワーを浴びないと気がすみませんので「聖域」に近い存在です。「聖域」とは他人に支配されない自分だけの安心できる場所のようなものなのです。
ご家族の対応も、とても大変です。一緒になって同じように手を洗ったり、儀式を求めるようになります。
ご本人が一番、大変なのですが、家族は「なんでこんなこともできないの!」と強く言ってしまったり、「なんでこんなことで手を洗わないといけないの!」と言ってしまったりしてしまいます。
本人もわかっているのです。でも気持ち悪くて洗わずには、いられないのです。
なかなか家族の対応も難しいです。強迫行為を無理にやめると、頭では「まだ汚れているに違いない」と考えてしまっているからなのです。
自分で納得するのがいいので、「この歌を歌いながら、順番通りやったら、できていることにする」というのがオススメです。
聖域が生まれる理由

聖域が生まれるのは、汚れが広がっていって、伝染してしまうのではないか、汚れてしまうのではないかと「脳」が勝手に想いこんでしまうからです。一種の予期不安です。
汚れているかわからないので、少しでも不安要素があると汚いとみなしてしまうのです。
100%綺麗でないと気が済まないのです。
ここでは「認知の歪み」がある人が多いです。
認知の歪みの中の「○○ねばならない」「全か無かの法則」「完璧主義」と強い思い込みがある人が多いです。
このような思考にがんじがらめになって、自分のことも許すことができなくなってしまうのです。
また、同居の家族にも同じように「儀式」を強要してしまいます。これを「巻き込み」といいます。
強迫症がよくなっていく順番
軽快
前よりは少しマシになってきたが、再発することが十分にあるので、注意が必要です。
寛解
かなりよくなってきている状態。強迫観念が浮かんできても、儀式行動をしなくても大丈夫な状態です。
回復
恐怖に感じたり、避けたいものが、ほとんだないか、あっても日常生活に支障がない状態です。
注意したい事
薬でよくなった場合、薬をやめると中止後2~3カ月で半分以上は再発することが多い
参考文献:「やさしくわかる強迫性障害」より
不安や強迫を和らげる体操
強迫性障害を治すヒント
辛かった体験

私は、他の人に汚れが広がったらどうしようという不安がありました。
また自分も汚れてしまっているんじゃないかと思っていました。
何度も手を洗っていました。
ひどい時は2時間くらい・・・
手がふやけてしまいます。
痛いです。
手を洗っている時、歌を歌うのですが、途中で雑音が鳴ったりすると、また初めからになるのです。

本当にお辛いですね。
大変ですが、1回だけというルールを作って、完全に依存するのではなく、誰かに見てもらうのも一つですね。
ご家族もルールを決めて、いつまでも見守るのではなく、「今日は1回だけ見るね」とあらかじめルールを決めるのも、時には必要です。
新型コロナウイルスに関しては、強迫性障害の方は、「疫病恐怖・洗浄強迫」ということが悪化することがございます。
自分が感染しているのではないか、異常に他人の唾液などを恐れたり、すでに感染していると思い込み、トイレなどの共有を介して家族にうつしてしまうのではないかと、しつこく掃除したりします。
その事に異常にエネルギーを使うので、とっても、とっても疲れてしまいます。
眼に見えないような小さなシミなどでも、何か悪いウイルスや虫、唾液、血液、鳥の糞などではないかと思い込んでしまうこともあります。
性格的なものも影響することがあり、克服のカギとなることもあります。こちらの強迫性パーソナリティ障害も参考にしてください。
ですが、原因を探すよりも強迫性行為をしないトレーニングが必要であることが多いです。
強迫性障害チェック
こちらのサイトからチェックできます。どうぞやってみてください。
解決のコツ
- わかってもらえる人が近くにいる
- 原因を探しても強迫行為はよくならないと知る
- 強迫行為をやめていくトレーニングが必要と知る
- たくさんの症状がある場合は、まず一つ小さな目標を持ち治していくように決める
- 小さな成功が自分の自信に繋がる
- ストレスを減らす
- セロトニンを分泌させる
- 体力をつける
- 生活習慣を見直す
- 確認してしまうのは、念のため確認している場合があるので、1か所でいいので、1回だけでも減らす
- 確認している場所の写真を撮る場合は、自分の目が信じられなくなるので、1か所でも写真を撮るのは減らす
- 手洗いをしてしまう場合は、少しでも時間を減らしたり、回数を1回でも減らしてみる
- ドアノブ、スイッチ、リモコンなど触れない人は、家族も触っているので1箇所でいいので素手で触って手洗いをしないようにする
- 物の順序、位置などのこだわり、無意味だとわかっていてもやってしまう儀式行動を1つでもいいので順序を変えてみたり、「まあいいか」とちょっと止めてみることを受け入れてみる
- 車の運転をしていて人を挽いてしまったと考えてしまう場合も、勇気をだして確認を1つでもいいので止めてみる
- 自己コントロールができるようになれば強迫行為を止められる(強迫観念を無視する)

専門医の元でエクスポージャー(暴露療法)テストをやってみる
実際に「嫌」だと感じるものに触れてどう感じるか
例えば、ドアノブが嫌だとして、それに実際に触れてみて、想像していたのと実際に差があるかどうかを確認していきます。最初に想像していたのと少し違うなと感じたり、頭で考えていたことと実際には差があるもんだと感じれたら、このテストは成功です。
チャレンジ項目 | 嫌悪感レベル | 身体感覚 | 身体感覚の強度 |
トイレのドアノブを触る | 80 | ゾワゾワ、ドキドキ | 60 |
玄関の土間 | 50 | ゾワゾワ | 50 |
台所のシンク | 85 | ゾワゾワ、ウワー、ゲー | 90 |
風呂場の残り湯 | 90 | ゲー、ゾワゾワ | 90 |
家族の下着 | 60 | ゲー、ゾワゾワ | 75 |
便器 | 95 | ゾワゾワ、ドキドキ、ギュワー | 85 |
トイレの床 | 95 | ゾワゾワ、ドキドキ、ギュワー | 80 |
雨に濡れた服 | 80 | ギュー、ドキドキ | 85 |
エクスポージャーや認知行動療法などは、専門の医師やカウンセラーにしていただいてください。
これらを実践するには、ご自身の決意が必要です。実践するには3つの条件があります。
- 家族の協力はありますか
- 自分のきれいな体など今まで守ってきたものよりも大切にしたい何かはありますか
- バンジージャンプのように思い切りが必要です。それでも自分でやってみようという意志がありますか?
まとめ
- 重症の方は、まずは一つ小さな目標を決めて治していくようにする
- 手洗いをしている時に体のどの部分がどう感じるかを確認してみる
- もし手洗いをしなかったら、身体の部分がどう感じるか確認してみる
- 手洗いができているのに不安になる時は誰かに見てもらい確認する(ずっと見てもらうとなると相手の負担が重いのでルールを決める)
- 強迫行為の原因探しよりも止めるトレーニングの方が大切