

私は親に、あまり褒められた記憶がありません。
両親はよく喧嘩をしていて、家の中で安心できないことが多かったです。
兄弟は褒められるのに、自分は大事にされていないように感じていました。
抱っこやハグをしてもらった記憶も、あまりありません。
大人になった今も、人の顔色が気になります。
職場でも「嫌われたかもしれない」と考えてしまいます。
友人や家族との関係でも、相手の機嫌が気になってしまいます。
彼氏ができても、いつ嫌われるのか、いつ別れを言われるのかと不安になります。
会っている時は幸せなのに、それ以外の時間は「どうせ私なんて」と思ってしまい、毎日つらいです。
どうしたら、もう少し楽に生きられるのでしょうか。
「嫌われたかもしれない」
「見捨てられたらどうしよう」
「私が悪かったのかな…」
相手の機嫌が気になったり、LINEの返信が遅いだけで不安になったり、自分よりも周りの人を優先してしまったり…。
頭では「考えすぎだ」とわかっていても、不安が止まらず苦しくなることがあります。
実は、その背景には、子どもの頃の経験から育まれた「愛着」や「自己否定」、そして身体の緊張が関係していることがあります。
大切なのは、無理に性格を変えようとすることではありません。
自分がなぜ不安になるのかを理解し、身体と心の両方から安心感を育てていくことです。
この記事では、見捨てられ不安の原因や自律神経との関係、当院で大切にしているアプローチについてお伝えします。
子どものころの安心感が今の不安に影響することがある
ご相談くださった方は、親からハグをしてもらった記憶がほとんどないとのことでした。
兄弟と比べても、自分だけ少し違う育てられ方をされたように感じておられました。
「あなたはお姉ちゃんなんだから、しっかりしなさい」と言われて育ったそうです。
このような体験があると、「自分は大切にされない人なのかもしれない」「甘えてはいけない」と思いやすくなることがあります。
もちろん、すべてが親だけで決まるわけではありません。
ですが、子どものころに安心できる関わりが少なかった場合、大人になってからも不安の出やすさにつながることがあります。
このようなお悩みはありませんか
- 人の顔色や機嫌が気になってしまう
- LINEの返信が遅いと、嫌われたのではないかと不安になる
- 自分に自信がなく「どうせ私なんて」と考えてしまう
- 嫌われるのが怖くて本音が言えない
- 人に頼ることが苦手で、一人で抱え込んでしまう
- 恋愛や人間関係で安心できず、心も身体も疲れている
このようなお悩みには、これまでの経験で身についた考え方や、人との関わり方が影響しているかもしれません。
見捨てられ不安はなぜ起こる?愛着と自己否定の関係

見捨てられ不安とは
見捨てられ不安とは、「嫌われたらどうしよう」「見放されたらどうしよう」といった不安が強く出やすい状態です。
例えば、恋人からLINEの返信がないと「もう嫌われたのかな」と考えてしまう。
職場で上司の機嫌が悪いと「私が何かしたのかな」と不安になる。
このように、相手のちょっとした反応を自分への否定として受け取ってしまうことがあります。
その背景を考えるうえで大切なのが「愛着」です。
愛着は安心感の土台
愛着(アタッチメント)とは、身近な人との関わりの中で育まれる情緒的な絆のことです。
子どもは、不安な時に守ってもらったり、困った時に助けてもらったりする経験を通して、少しずつ人への信頼や安心感を育てていきます。
これを「安全基地」と呼びます。
一方で、家庭内で喧嘩が多かったり、気持ちを受け止めてもらえなかったりした場合、人の顔色をうかがうことが習慣になることがあります。
ただし、親子関係だけですべてが決まるわけではありません。生まれ持った気質や、その後の人間関係も影響します。
愛着には、主に次のような傾向があります。
- 安定型: 人を信頼しやすく、必要な時に助けを求められる
- 不安型: 相手に嫌われることや、見捨てられることを心配しやすい
- 回避型: 人に頼ることが苦手で、自分だけで解決しようとしやすい
人を単純に分類するものではありませんが、自分の傾向を知るヒントになります。

自己否定が不安を強めることも
「私には価値がない」
「どうせ嫌われる」
「全部、自分が悪いんだ」
このような考え方が習慣になると、相手の何気ない言葉まで否定的に受け取りやすくなります。
すると、不安になる→自分を責める→さらに不安になる、という悪循環が生まれることがあります。
大切なのは、相手の反応と自分の価値を結びつけすぎないことです。

安心しても、また不安になるのはなぜ?
見捨てられ不安で特につらいのは、安心したと思っても、また不安が戻ってくることです。
例えば、こんな経験はありませんか?
LINEの返信がない
↓
嫌われたかもしれないと不安になる
↓
何度もスマホを確認する
↓
返信が来て安心する
↓
しばらくすると、また不安になる

心理学では、不安を減らすために繰り返す確認などを「安全行動」と呼ぶことがあります。
もちろん、確認や相談そのものが悪いわけではありません。
しかし、安心するための確認が増えすぎると、「確認しないと落ち着かない」という状態につながることがあります。
これが不安を長引かせる一つの仕組みです。
大切なのは、不安を完全になくしてから行動することではありません。
少しずつ「確認しなくても大丈夫だった」という経験を増やしていくことです。
その結果、心だけでなく体も緊張しやすくなり、
- 肩こり
- 首こり
- 頭痛
- 胃腸の不調
- 不眠
- 不安感
など、自律神経の不調につながることもあります。
だからこそ大切なのは、無理にポジティブになることではなく、まずは「なぜ自分がそう感じるのか」を知ることです。
その理解が、少しずつ自分を責めることを減らす第一歩になることがあります。
相手の機嫌まで背負わない|心の境界(バウンダリー)
当院へご相談くださる方にも、相手の気持ちを自分のことのように受け取ってしまう方がおられます。
例えば、職場で上司が不機嫌そうにしている。
すると「私が何とかしなければ」「きっと私が悪いんだ」と考えてしまうのです。
でも、上司は単に疲れているだけかもしれません。
ここで大切なのが「境界(バウンダリー)」という考え方です。

境界とは、自分と相手の気持ちや責任を分ける心の境目です。
自分の気持ちや行動は自分のもの。相手の気持ちや行動は相手のもの。
相手を思いやることは素晴らしいことですが、相手の感情まですべて背負う必要はありません。
これは冷たい人になるという意味ではなく、自分も相手も大切にするための考え方です。
「私はどうしたいんだろう?」
そんなふうに自分に問いかけることが、安心感を育てる第一歩になることがあります。

エネルギーサークル|自分の気持ちに気づくことから始めよう
当院では、心理的なアプローチの一つとして「エネルギーサークル」という考え方をお伝えすることがあります。
これは、自分の感覚や欲求に気づき、行動して満たされるまでの流れを理解するためのモデルです。
例えば、お腹がすいた時。
感じる→お腹がすいてきた
気づく→何か食べたい
感情・欲求→ラーメンが食べたい
行動→ラーメンを食べる
満たされる→お腹いっぱいになる
収束→食べ物のことが気にならなくなる
このような流れです。

では、人間関係ではどうでしょうか?
本当は悲しかったのに、その気持ちを我慢する。
本当は助けてほしいのに「迷惑をかけてはいけない」と頼れない。
すると、自分が何を求めているのかわからなくなり、同じことを何度も考えてしまう場合があります。
そんな時は、「どうしてあの人は?」と相手のことばかり考えるのではなく、「私は本当はどう感じたんだろう?」と自分に問いかけてみてください。
相手を変えることよりも、まず自分の気持ちに気づく。
これは見捨てられ不安と向き合ううえでも、大切にしたい考え方です。
当院では身体・心理・栄養の3つから考えます
見捨てられ不安や自己否定が強い方は、心だけでなく身体も緊張していることがあります。
例えば、相手の反応が気になっている時、無意識に肩が上がり、呼吸が浅くなっていないでしょうか?
これはストレスを感じた時に起こる身体の反応の一つです。
緊張状態が長く続くと、自律神経の働きにも影響し、肩こり、頭痛、胃腸の不調、眠りにくさなどが重なることがあります。
だからこそ当院では、次の3つの視点を大切にしています。
身体へのアプローチ
首や肩、背中、お腹などの緊張や、呼吸の状態を確認します。
当院では、オステオパシーの考え方も取り入れながら、痛みの少ないやさしい施術で、身体がリラックスしやすい状態を目指します。
身体の緊張がやわらぐことで、気持ちにも余裕が生まれる方がおられます。
心理へのアプローチ
「どうせ私なんて」「人に頼ってはいけない」といった考え方のクセや、人との境界について一緒に整理します。
エネルギーサークルなども活用しながら、自分の感情や欲求に気づくことを大切にしています。
栄養・生活習慣へのアプローチ
睡眠不足や偏った食事、疲労なども心身の状態に影響します。
当院では、分子栄養学の視点も参考にしながら、食生活や休養についてお話をうかがいます。
不安を性格だけの問題とせず、身体・心理・栄養・生活環境を合わせて考えることが当院の特徴です。
実際に来院された20代女性のお話
ご相談くださった20代の女性は、子どもの頃から「人に甘えてはいけない」「迷惑をかけてはいけない」と考えていたそうです。
人に頼ることが苦手で、何でも自分で抱え込んでしまい、人間関係にも強い不安を感じておられました。
「どうせ私なんて、人に好かれることもない」
そんなふうに自分を否定することも多かったそうです。
当院で取り組んだこと
まずは身体の緊張をゆるめる施術を行いながら、考え方のクセを一緒に整理しました。
エネルギーサークルや心の境界についてお伝えし、「相手の問題」と「自分の問題」を分ける練習も行いました。
また、ご自宅では、その日にあった良いことを3つ書く習慣にも取り組んでいただきました。
ご家族にも協力していただき、安心できる関わりを増やすことも大切にしました。
身体と気持ちの変化
ご本人からは、以前より眠れるようになり、お通じや食欲にも変化があったとお聞きしました。
少しずつ自分を責めることが減り、人との距離感も保ちやすくなったそうです。
いただいたご感想
以前の私は、「人に迷惑をかけてはいけない」「甘えてはいけない」といつも思っていました。
人に頼ることが苦手で、何でも自分で頑張ろうとしてしまい、いつも心も体も緊張していました。
少しずつ自分の考え方のクセに気づけるようになり、「頼ってもいいんだ」「一人で抱え込まなくてもいいんだ」と思える場面が増えてきました。
今では以前より眠れるようになり、人と話すことへの不安も少しずつ減ってきています。
まだ不安になることはありますが、以前のように一人で抱え込まずに過ごせる日が増えました。
※個人の感想であり、効果を保証するものではありません。
院長より
この方は、とても真面目で優しい方でした。
だからこそ、人に迷惑をかけてはいけないという思いが強く、自分自身を苦しめていたのかもしれません。
今回印象的だったのは、身体のケアとともに、自分の考え方や人との関わり方を見直すことで、日常生活にも変化がみられたことです。
大人になってからでも、安心できる経験を積み重ねていくことはできます。
今日からできる!見捨てられ不安を軽くする4つのセルフケア
① 不安が来たら「肩ストン」を3回!
不安になると、無意識に肩やあごに力が入ります。
まず肩を耳に近づけ、3秒間ぎゅーっと力を入れます。
そして一気にストン!と脱力。
これを3回繰り返したら、口からゆっくり息を吐いてみましょう。
身体の緊張をゆるめることで、気持ちも落ち着きやすくなることがあります。
② 「事実」と「想像」を分ける
友達からLINEの返信が来ない。
「嫌われたのかも…」
ちょっと待ってください!
事実は「まだ返信がない」だけ。
「嫌われた」というのは、今のところ想像です。
紙に「事実」と「私の想像」を1行ずつ書いてみましょう。
不安な考えと少し距離を取る練習になります。
③ 安全確認を10分だけ待ってみる
不安になると、何度もLINEを確認したり、「怒ってる?」と聞きたくなることがあります。
そんな時は、確認するまで10分だけ待ってみましょう。
その間にお茶を飲む、好きな音楽を聴く、少し歩く。
不安をゼロにするのではなく、不安があっても自分の時間を過ごす練習です。
最初は1〜2分からでも大丈夫です。
④ 「これは誰の問題?」と自分に聞く
相手が不機嫌そうだと、「私が何とかしなきゃ」と思っていませんか?
そんな時は、心の中で質問してみてください。
「これは私ができること?それとも相手が決めること?」
相手の気分を全部背負う必要はありません。
相手と自分の問題の間に、そっと線を引いてみましょう。
4つ全部やる必要はありません。
まずは一つ、今日から試してみてください。
よくある質問
- Q会社で怒られている人を見ると、自分も怒られているように感じたり、大きな声で話されるとビクッとします。どうしてですか?治りますか?
- A
大きな声に驚くのは、身体が危険を察知した時の自然な反応です。過去に緊張する経験が多かった方は、警戒しやすくなる場合があります。まず足の裏を床につけ、「今は自分が怒られているわけではない」と確認してみましょう。安心できる経験を重ねることで、反応がやわらぐ可能性があります。
- Q友達の悩みを聴いていると、自分も胸が苦しくなったり、肩が凝ったり、呼吸が浅くなったりします。どうしてですか?
- A
相手の気持ちに強く共感すると、自分の身体まで緊張することがあります。そんな時は、足の裏を床につけ、肩の力を抜きましょう。そして「相手の気持ちは大切。でも全部背負わなくてもいい」と心の中で伝えてみてください。自分と相手の気持ちを分ける、バウンダリーの練習になります。
- Q病院では原因がわからず、本当に困っています。なんで私だけ朝からしんどくて起きられないのでしょうか?
- A
朝のだるさには、睡眠の質、ストレス、疲労、栄養状態などが関係する場合があります。長く緊張していると、休んでも疲れが残ることがあります。当院では身体・心理・栄養・生活習慣から状態を整理します。強いだるさが続く場合は、貧血や甲状腺など身体的な原因も確認することが大切です。
- Q夜眠れないことが多いです。いつも考え事をしているように思います。どうしたらいいですか?
- A
寝る前に心配事や反省が始まると、身体も緊張して眠りにくくなります。おすすめは、気になることを紙に書き出し、「続きは明日」と区切ること。そして肩を3秒すくめてストンと脱力する動きを3回。眠ろうと頑張るより、心と身体を少しずつ休ませることから始めてみましょう。
- Q子どもの頃に褒められた記憶が少なく、愛情を感じた記憶もあまりありません。こんな私でも結婚して子どもができたら、子どもを愛せるのでしょうか?
- A
子どもの頃の経験だけで、将来の親子関係が決まるわけではありません。愛情の伝え方や安心できる関係は、大人になってからも学べます。完璧な親になる必要はありません。子どもの気持ちに耳を傾け、間違えたら謝り、一緒に成長していくことが大切です。まずは自分自身を大切にすることから始めてみましょう。
まとめ
「嫌われたらどうしよう」
「どうせ私なんて…」
そんな不安には、これまでの経験や考え方のクセ、身体の緊張などが関係していることがあります。
でも、過去が未来のすべてを決めるわけではありません。
自分の気持ちに気づき、相手との境界を大切にし、安心できる経験を少しずつ増やしていくこと。
当院では、身体・心理・栄養の視点から、一人ひとりのお悩みに寄り添っています。
一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。

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参考文献
- 『アタッチメント 生涯にわたる絆』:ジョン・ボウルビィ
- 『愛着障害 子ども時代を引きずる人々』:岡田尊司
- 『痛みからの解放』:ピーター・A・ラヴィーン/マギー・フィリップス
- 『からだは嘘をつかない』:アレクサンダー・ローエン
- 『心がボロボロがスーッとラクになる本』:水島広子




