私は親に褒められたことがありません。
両親は喧嘩ばかりで父親からは機嫌が悪いと暴力を振るわれたこともあります。
他の兄弟は褒められるのに私は愛されていないと感じてしまいます。
お母さんからは厳しく躾られて育ったように感じます。
抱っこやハグの記憶はありません。
彼氏ができたのですが、いつ別れ話をされるか不安になります。
常に嫌われるのが怖いと思っています。
会っている時は幸せですが、それ以外は、どうせ私なんか振られるに決まっていると思い、毎日泣いてしまいます。
どうしたらいいのでしょうか?
このようなお悩みの解決のヒントになれば嬉しいです。
愛着の問題についてです。
日常生活に支障が出てくると愛着障害となります。
当院にお越しの20代女性の方で親の愛情が極端に不足して育ち、今でも親からの心の束縛から逃れられず、毎日お悩みの方が来てくださいました。
どうぞ同じようなことが思い当たる場合は、解決のヒントにしていただければ嬉しいです。
親からのハグの重要性
その方は親から「ハグ」をしてもらった記憶がないということでした。
兄弟がいて、明らかに他の兄弟とは違った育てられ方をされたそうです。
長女だから親の面倒をみるのは当たり前だと、今でも「心を束縛されているみたい」とおっしゃておられました。
これは「認知の歪み」もある可能性があります。
愛着って親の愛情の度合いみたいなイメージです。
そんな愛着について考えていきたいと思います。
日本人は触れ合うことが苦手
日本人ってあまり「ハグ」しませんよね。
昔、テレビ番組でそんなことがあったのを覚えています。
若い男の子が待ちゆく人に「ハグしてください!」と言ってまわります。
意外とみなさんしてくれて、特におばさんたちは「ハグ」してくれていました。
するとみんな幸せそう~な笑顔になるんですね。
これが僕、すごく印象に残っているんです。
「ハグ」って大人になっても素晴らしいものだと思います。
研究では幼少期に子供へ触りすぎるくらい触られて育った子と、そうでない子では触られて育った子の方が思春期に自立的に行動できるというのが、わかっているそうです。
逆にあまり触られていないと「自分は甘えられなかった」と心の空白を埋めようと注意を向けるために危ないことをやったり心の問題を発症することもあるそうです。
そして「触れる」ということはオキシトシンというホルモンも分泌されるそうです。
哺乳類の特徴でもあります。
愛着とは
子供の愛着には4パターンあります。半年から3年までに形成されます。養育者、特に母親との関係性が重要です。愛着が形成されていると副交感神経がきちんと働いてくれます。
人間は生まれてくる時は交感神経が優位で生まれます。
愛着の土台で思考や感情や行動があります。
愛着が歪むと思考や感情や行動も歪んでしまいます。
結婚したくない、人と関わりたくないなど、愛着が形成されていないと思考が歪むこともあります。
その思考の癖は意識していないと80%は一生続くといわれています。また親子で伝承されやすいです。
①安定型(60%)
ママが見えなくなると泣いてしまいます。見えたら泣き止んで抱っこしてもらおうとします。
ママが安全基地として機能していて、ストレスを感じると適度な愛着行動を起こせます。
お母さん自信が安定型だと、この型になりやすいです。
②回避型(15~20%)
ママから離されても無反応です。ママが来ても目を合わせないという行動をとります。自分から抱かれようとしないことが特徴です。
小さいころから児童養護施設で育った典型的なパターンです。虐待を受けていたりしてもこのパターンになりやすいです。
また思春期には反抗や攻撃性が見られやすいです。
人のことを信用していないことが多いです。
このような子供には安全基地がないことが多いです。
スカイダイビングなど危険なことを好む人は、このタイプの方も多いです。
社会的に優秀な方が多いとされています。
スティーブジョブズは、このタイプと言われています。
お母さんが、あなたのためにいるのではないという感じだと、この型になりやすいです。
③抵抗:両価型(10%)
ママから離されると激しく泣きます。ママが見えると拒んだり、嫌がったりします。
しかし、いったんくっつくと離れようとしないことが多いです。ママの安全基地の機能が十分ではない可能性があります。
親が、かまってくれる時と無関心なときの差が大きい場合や神経質で厳しく過干渉な親の場合が多いです。不安障害になるリスクが高く、いじめなどに遭いやすいとされています。
お母さんは厳しく無干渉で、どうしていいかわからないことが多いです。
すごく甘えん坊で年齢に合わないような感じになることがあります。
④混乱型
回避と抵抗が混じっているパターンです。無秩序な行動パターンです。
境界性パーソナリティ障害になるリスクが高いとされています。
(必ずそうなるということではありませんので注意してください)
簡単なイラストを描きましたので参考にしてくださるとうれしいです。
参考文献:「マンガでわかる 愛着障害」より 岡田 尊司 氏著
こんな感じで、いつでも怖いことがあったら安全地帯に逃げ込むことができるということが大切なんです。
この愛着が形成されていないと、自分では冒険的なことができにくいのです。
親が敷いたレールでしか行動できなくなってしまうことがあるのです。
間違ったことでも、親の言うことを聞いていれば大丈夫だと考えてしまう可能性があるのです。
簡単にいうと自立ができないんです。
子供も親も両方とも自立できない場合も少なくありません。
自分の愛着スタイルを知る
愛着障害の4つのパターンのどれにあてはまるかをみていきます。
こちらのテストをやってみてください。
ちなみに私は「安定型 愛着スタイル」でした。(安定24、不安が4、回避8、未解決0)
自律神経失調症などになる確率
上の段のストレスを減らし、下の段のストレス耐性を増やすことで病気になりにくくなります。
ここで重要なのが分母は×になっているので、一つでも「0」にならないように注意したいということです。
愛着に関係するのが情緒的サポートです。これはあなたの周りに、無条件に、あなたのことをわかってくれる人がいるかどうかです。これはパートナーもそうですし、親や友人などの家族もそうです。
もしそのような方がいなければ、私たちも情緒的サポーターになりますので、どうぞご相談ください。
当院の20代女性が解決したヒント
お母さんは共働きで、忙しく、この方には、幼少期、あまり構ってあげられなかったといっていたそうです。
そんな愛情が不足して育った、この女性は、「私は人に甘えたらいけないんだ」「人に対して甘え方がわからない」とお悩みでした。
ここでは、認知の歪みに気づいていただき、甘えてもいいんだということから初めてみました。
それがわかっていただくと自分も他人も許すことができました。
そして、大人になっても母子関係は変わりませんので、それをじっくりとわかっていただきました。
また境界がわかりにくいので、他人のことも、すぐ自分のことのように考えて反応してしまいます。
それをわかっていただくようにしていただきました。
お母さんとお話することができましたので、「一度、抱きしめてあげてください」とお願いし、その夜から背中を摩って寝ていただくようにしてもらいました。
何十年ぶりにグッスリと眠っていただけました。
すると、物凄く安心されて、自然と涙が出てきたそうです。
これは、感情の抑圧もあって、今まで、ずっと我慢してきたからなのだと思いました。
ご本人にも確認させていただきました。
大人になっても愛着の形成というのは、できるものだと実感した瞬間でした。
それからは、とても笑顔になられ、お体の症状も少しづつ減っていきました。
解決するために、ご説明させていただいた「エネルギーサークル」という概念です。
執着が手放せない方には、こちらを説明させていただき、心理ワークなどで一緒に解決へ向かってまいります。
まとめ
- 育った環境から「認知の歪み」があることを知る
- 誤った偏った思考が苦しめることがある
- 認知の歪みを知り、修正することで楽になることもある
- 大人になっても愛着形成をすることができる
- 愛着形成で自己肯定感を増やす